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シボレーは6月20~24日、世界でひとつだけの「ミントグリーン仕様コルベットZ06のNFTアート」をオークション形式で販売しようとしたが、期限までに誰も入札しなかった。

このNFTは、アーティスト「xsullo」が、NFTを発行する行為を”minting”と言い表すのをヒントに、ミントグリーンカラーのコルベットを描いたデジタルアートに付与されたもので、落札者には本物のミントグリーンのコルベットZ06(特別チューニングのZ07パッケージ、カーボンホイールなどのオマケ付き)が付属し、このカラーは2023年ラインナップには含まれないことを保証するとしていた。

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たしかにコルベットは格好良く、ミントグリーンも似合っている。収益は慈善団体に寄付されるのだから、購入するのは単なる贅沢のためではないと主張することもできる。お膳立ては完璧だったはずだ。

このオークション、入札は暗号通貨のEthereum限定で、開始価格は206ETHからだった。このオークションが開始したときの1ETHあたりの価格は1160ドルだったので、206ETHは23万8000ドルに相当(日本円に換算すれば3200万円程度)する。ちなみに通常のコルベットZ06の価格は、およそ9万ドルからだ。

実車の2.5倍の値段からスタートでも、世界にひとつだけの色のコルベットの「NFTアート」なのだから、NFT信奉者たちは目の色を変えて購入に名乗り出るだろうという考えが、シボレーとSuperRareにはあったのかもしれない。

シボレーとともに本件を手がけたオークション主催者SuperRareは、入札ゼロで終わったのは、6月20~23日にかけて開催されたNFTのお祭りイベント「NFT.NYC 2022」に皆が気を取られていたからだと主張。急遽入札期限を24時間延長した。だが、延長期限が終了しても、やはり入札はゼロのままだった。

シボレーは、会社初のNFT販売が失敗に終わったことについて、この経験は「教育的」だったとコメントした。オークションで発生した収益は、米国内の教育関係の慈善団体に寄付する予定だったが、自分たちが勉強させられる羽目になってしまったようだ。

ちなみにNFTとは、Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略語で、暗号通貨の技術ブロックチェーンの上に記録される、一意で代替性のないデータ単位のこと。これをデジタルアートなど容易に複製できるものや物理的な資産と紐付けることで、ある種の使用ライセンスのように扱えるとされている。

一般的には、紐付けられた対象物が本物であるという証明や所有権の根拠になると説明されることも多い。だが実際には、贋作にNFTを紐付けて販売された例もあるうえ、購入したNFT自体は所有できても、それで対象物の所有権が手に入るとは限らない。

また、ひとつの対象物にいくつでもNFTを関連づけることができるなど、不明瞭な点も多数指摘されている。著名人ではビル・ゲイツなども、NFT売買に否定的な考えをたびたび述べている。