登録車と軽の違いで真っ先に思いつくのがナンバープレートの色であるが、じつは最大の差はリアナンバーに封印があるか否かである。登録車には使用する地域の頭文字が刻印された封印が装着されるのだが、なんで軽にはそれが必要ないのか!? この区別は一体なんなんだ!?
文:山本晋也/画像:SUZUKI、HONDA、TOYOTA
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■登録車と軽は行政的にまったく別モノ! 登録者は使用者と紐付けが強固
日本の乗用車は大きくわけて白ナンバーの普通自動車と、黄色いナンバーの軽自動車が存在している。この2つは様々な行政区分においても別物で、普通自動車の排気量で区分される自動車税は都道府県税で、軽自動車に一律で課せられるの軽自動車税は市町村税といった違いがあったりするのは知られているだろう。
さらに、軽自動車はナンバープレートが黄色地を基本としているが、よく見るとナンバープレートの封印がなかったりもする。はたして、この違いはどこから生まれているのだろうか。
逆説的だが、普通自動車のリヤ側ナンバープレートに封印がある理由を調べると軽自動車との違いを理解しやすい。道路交通法でいうところの普通自動車は、大型のトラックバスなど含めてすべて「登録車」という呼び方をされることもある。
簡単にいうと所有者と車両を紐づけて、登録してあるということを意味している。普通自動車を購入したり、名義変更をしたりするときに印鑑証明が必要なのは、所有者をしっかりと紐づけるためだ。その証明としてナンバープレートに封印が施されるのだ。
一方、同様の表現をすると軽自動車は「届出車」と呼ばれる。これは所有者と車両がしっかりと紐づけられていないことを意味する。そのためナンバーを取るときには印鑑証明が不要であり、三文判で名義変更をすることもできるくらいだ。当然ながら、ナンバープレートには封印がつかない。行政的にはまったく別のクルマなのだ。
ナンバープレートの正式名称も異なっている。普通自動車などに取り付けられる封印が施されたナンバープレートは「自動車登録番号標」、 軽自動車等に取り付けられているのは「車両番号標」というのが名称で、完全に別物なのだ。
■軽=黄色はパッと見て判断するため!? ETC登場前は色の役割がデカかった
ところで、軽自動車のナンバープレートが黄色ベースとなっていて、一目で普通自動車と識別できるようになっているのは、主に高速道路での運用によるところが大きい。
ご存知のように、高速道路の料金というのは、多くの路線で軽自動車と普通自動車は異なっている。今のようにETCが存在していなかった時代には、料金所で職員が軽自動車を識別する必要があった。そのために黄色ナンバーになったといわれている。
同じく高速道路において、かつて軽自動車の制限速度は80km/hが上限だった。速度違反を取り締まる警察が、やはり一目で軽自動車と認識するために黄色ナンバーは必須だったという。
現在では、軽自動車の制限速度は普通自動車と同じになっており、また料金収受についても、ETCの普及率が9割を超えるなど、一目で識別する必要はなくなっている。そうしたこともあって、ラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピックの特別ナンバープレートでは軽自動車でも白ベースとすることができたのだという。
■封印があるのは登録車だけ! バイクも原則なし
では、ナンバープレートの封印がないのは“軽四輪車”だけなのかといえば、そんなことはない。じつは自動二輪(バイク)については、どんなに排気量が大きくともナンバープレートは封印されていない。なぜなら、排気量125cc超の二輪車のナンバープレートも軽四輪車と同じ「車両番号標」であり、税金の分類としては軽自動車税が課される車両だからだ。
ちなみに、50cc以下の原動機付自転車、125cc以下の原付二種については「原動機付自転車番号標」という異なる分類のナンバープレートがついている。そして、原付二種には黄色いナンバーとピンク色のナンバーの2種類がある。
原付二種の黄色ナンバーは51cc~90ccのバイクに与えられるもので、最近では目にすることが少なくなっているが、それでも黄色いナンバーは軽自動車だけでなく、原付二種にも存在することは豆知識として覚えておきたい。
いずれにしても、基本的にバイクのナンバープレートには封印はない。日本の公道を走るモビリティを総合的に捉えると、軽自動車には封印がないというよりは、普通自動車以上のクルマにだけ封印があるといったほうがいいかもしれない。
■軽のナンバーは課税対象! 登録車より断然金額が高かった
こうしたナンバープレートの違いにより、取得費用も異なっている。費用については地域によって異なるが、概ね軽自動車のほうがナンバープレートの取得費用が高かったりする。
このあたり意外かもしれないが、普通乗用車ではナンバープレートが交付であり、非課税であるのに対して、軽自動車のナンバープレートは頒布となり消費税がかかるという違いも影響している。
ちなみに、原付バイクのナンバープレート「原動機付自転車番号標」については、基本的に無料で、市町村の役場で申し込む仕組みとなっている。 無料である理由について、市役所に訊ねたところ「市民の皆様から納税していただくためなので」という説明を受けたことがある。所有者が「自分に課税してください」と申し込んでいるという見方をしているわけだ。
普通自動車については所有者と車両を紐づけた“登録”を公的にしている部分に価値があるので、有料となるのは理解できなくはないが、原付バイクのナンバープレートが無料となっているのであれば、軽自動車のナンバープレートについても無料配布すべきだと思うが、いかがだろうか。
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