元ホンダの山本雅史氏が、シルバーストン・サーキットで開催されているF1第10戦イギリスGPを訪れた。現在レッドブルは第4戦エミリア・ロマーニャGPから連勝を続けているが、山本氏はフェラーリの速さを警戒し「油断はできない」という。ただ、総合力ではレッドブルが上回っているとの見解を示した。
またアルファタウリではピエール・ガスリーが2023年の残留を確定させたが、角田については「2年目の成長を示さなければならない」と語った。
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──5月のモナコGP以来ですね。その間もレッドブルはアゼルバイジャンGP、カナダGPと連勝を続け、現在第4戦エミリア・ロマーニャGPから6連勝です。
山本雅史氏(以下、山本氏):でも、まだ油断はできません。このイギリスGPを含め、7月の4戦はフェラーリがクルマ的には強いと思います。だから、レッドブルはフェラーリに対して戦略や総合力でいかにうまく戦い抜くかがポイントだと思います。ただし、フランスGPが行われるポール・リカールはレッドブルのほうがアドバンテージはあると思うので、ハンガリーGPが終わった時点でチャンピオンシップで逆転されるとは思っていませんが、どれだけフェラーリに差をつけた状態で夏休みに入るかがポイント。この4戦は、1戦1戦すべてが重要になってくると思います。
──フランスGP以外は厳しいですか。
山本氏:レッドブルリンクは五分五分で、クルマの性能だけで言ったらストレートが長くないので、52対48でフェラーリかなと。ただ、フェラーリはいろんな意味で総合力がレッドブルより弱いから、なんとか負かしたい。
──ハンガリーは厳しい?
山本氏:そうですね、フェラーリの方が有利だと思います。
──パワーユニットに関しては、信頼性も含めた総合力ではホンダが頭ひとつ抜け出している?
山本氏:ホンダというか正式にはレッドブル・パワートレインズですね。信頼性も含めるとレッドブル・パワートレインズのパワーユニットが一番じゃないですか? フェラーリがすでに4基目なので、ホンダが開発・製造したパワーユニットはさすがだなと思います。
──田辺豊治(前F1テクニカルディレクター)さんが退任されて、海外メディアは少し不安視していましたが……。
山本氏:ホンダのF1参戦というのは技術を磨くと同時に、人材を育成の場でもありました。トップが卒業したら、その下にいた者が頑張る。そういう環境がホンダの技術者たちを鍛えていった。田辺さんはいなくなったけれど、昨年までその田辺を支えていた本橋(正充)が新しくテクニカルディレクターとしてホンダをまとめ、マネージャーとしてレッドブル・パワートレインズ側へのサポート業務を行っている吉野誠(IMG_8625.JPG)もいい顔をして仕事をしている。本当に頼もしいです。
──次戦、オーストリアGPにホンダの首脳陣が来ると聞きました。
山本氏:私が伺っているのは、昨年ドライバーズチャンピオンシップを一緒に獲得できたお礼を、レッドブルのホームコースで行うということです。昨年はホンダにとってラストイヤーでしたが、コロナ禍でサーキットに来ることができなかった。その感謝の意を伝えに来ると聞いています。
──訪問するのは、だれですか。
山本氏:社長の三部(敏宏)さんと取締役会長の倉石(誠司)さん、そしてHRCの渡辺(康治)社長と4輪レース開発部長の浅木(泰昭)と聞いています。
──アルファタウリはピエール・ガスリーの残留を正式に発表しました。角田裕毅選手はいかがですか。
山本氏:いまはまだ50:50じゃないですか? (現在FIA F2を戦っているリアム・)ローソンの成績にもよりますが、角田選手が2年目の成長をしっかり見せつけないといけません。この間のカナダGPはそう言う意味ではやってはいけないミスでした。さっきも会ってきたけど、いい経験だと思って次に期待したいです。
──ヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)さんは何か言っていますか。
山本氏:マルコさんからは、モナコGPなどでいまだに無線で放送禁止用語を使用していろいろ言ってくることを注意してほしいと言われました。技術的には成長しているのは間違いないんですが、ちょっとしたアドバイスをしてくれる人、何かちょっと気持ちの拠り所みたいなものが大事かなと思います。マネージャーがいれば、マネージャーがその辺をケアできるんですが、レッドブルは個人マネージャーをつけたがらない。その辺はフィジオが面倒を見ていると思いますが……。
──ありがとうございます。では、またレース後にお話を聞かせてください。