レッドブルとマックス・フェルスタッペンにとって、F1イギリスGPは特別なグランプリだ。それは、チームのファクトリーがシルバーストンから車で約30分のミルトンキーンズにあるという理由だけではない。昨年のイギリスGPで失ったものを今年こそ取り返しに来たからだ。
昨年、フェルスタッペンはチャンピオンシップで2位ルイス・ハミルトン(メルセデス)に32点差をつけてシルバーストンに乗り込み、F1史上初となったスプリント予選を制してポールポジションから日曜日のレースをスタートした。しかし、オープニングラップでフェルスタッペンとハミルトンは接触し、フェルスタッペンはリタイア。ハミルトンが優勝したため、その差が一気に縮まり、その後の大混戦となる布石となった。
レッドブルもイギリスGP前までに5連勝を飾り、コンストラクターズ選手権でメルセデスに44ポイント差でイギリスGPに臨んだが、レース後わずか6ポイントまで縮められ、その後、逆転を許してコンストラクターズタイトルを逃す要因となった。もし、昨年のイギリスGPでフェルスタッペンが優勝していれば、レッドブルは2冠を達成していたはずだった。
しかし、今年もシルバーストンはフェルスタッペンに冷たい。フェルスタッペンはスタンドから何度かブーイングを浴びせられただけでなく、ドライコンディションで行われた土曜日のフリー走行3回目は2位以下にコンマ4秒以上の差をつけてトップだつたにも関わらず、予選直前に雨が降り出し、ウエットコンディションとなった。
雨が降れば、速さ以外の要素が絡むため、フリー走行3回目でトップに立ったフェルスタッペンにとっては、この雨は決して恵みの雨ではなかった。それでも、フェルスタッペンはQ1とQ2をそれぞれトップタイムで通過。Q3もスピンを喫しながらも、途中まで暫定ポールポジションを叩き出していた。
Q3終盤にカルロス・サインツ(フェラーリ)に逆転され、ポールポジションは逃したが、これも最後のアタックでシャルル・ルクレール(フェラーリ)がスピンしてイエローフラッグが出ていたためだった。
この日、コース上でドライでも、ウエットでも最も速かったのは、フェルスタッペンだった。