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 7月末にイタリアの首都で第6戦までを終えた2022年ERCヨーロッパ・ラリー選手権は、全8戦を予定するカレンダーの最終決戦地を確定させた。言わずと知れたWRC世界ラリー選手権の名物ラウンド、スペイン・カタルーニャ地方を舞台としたターマック戦『ラリーRACC・カタルーニャ・コスタ・ドラーダ』で、ERCのタイトル決定戦を併催する。

 現状、FIA世界モータースポーツ評議会(WMSC)の最終承認待ちではあるものの、今季10月20~22日に開催されるWRC第12戦で、WRCとERCの両シリーズが組み合わさり、世界戦へのステップアップに挑む期待の新星とワールドクラスのドライバーたちが、同じステージで技を比較する舞台が整った。

 すでに短いサマーブレイクに突入しているERCは、8月26~28日に引き続きのターマック(舗装路)戦となるバウム・チェコ・ラリー・ズリンで第7戦を終えると、10月のファイナルに向け充分な準備期間を得ることにもなる。

 長年カタルーニャ・ラリーとして親しまれてきた伝統の1戦は、地中海沿岸地域のコスタ・ドラーダの丘を舞台に、高速で滑らか、まるでサーキットのようなアスファルト路面で勝負が繰り広げられる。

 ERCの登録クルーは同じ週末の開催ながら、WRCの日程とは異なりERC規則の下で別のイベントとして競技が実施され、金曜日と土曜日の2日間のステージアクションを前に、木曜日に予選ステージが行われる通常どおりのフォーマットとなる。

 2日間のアイテナリーには合計240.60km、最大14のスペシャルステージが含まれ、ERCでは今季最長のラリーに。そして土曜午後には24.40kmを誇るエル・モンメルのパワーステージでシーズンの締めくくりを迎える。

依然、大量ポイントリードで2022年チャンピオンの最右翼となるチームMRFタイヤのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)

■RACC代表「ファンにとって最高のご褒美になるはずだ」

 ERCのシリーズマネージャーを務めるイアン・キャンベルは、このWRC伝統のラウンドをシリーズ最終戦として実施することを「喜んでいる」と歓迎の意を示した。

「このイベントを今年のチャンピオンシップの最終ラウンドとして発表できることに非常に興奮している。ERCは引き続き、若い才能の開発と知名度の向上に取り組んで来ているし、ドライバーの多くはWRCの最高峰に到達することを熱望しているんだ。最終ラウンドにそのスペインを含めることで、彼らの能力を披露する絶好の機会が得られる訳だからね」と続けたキャンベル。

「イベント主催者のRACC(カタルーニャ・オートモビル・クラブ)は、このレベルでラリーを成功させるには何が必要かを正確に知っており、我々が参加できるチャンスを諸手を挙げて歓迎してくれたよ」

 一方、そのRACC代表のジョセップ・マテウも「伝説的なイベントとなる10月にERCをサロウ(コスタ・ドラーダの中心地)に迎えられることをうれしく思う」と応じた。

「このラリーは、これまで以上に大きなインパクトを与えるだろうね。同じイベントの週末に、世界最大の2つのラリー・チャンピオンシップを目の当たりにすることは、ファンにとっても最高のご褒美になるはずだ」

 ERCの選手権争いは、序盤からシリーズを牽引するチームMRFタイヤのエフレン・ヤレーナ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)が137点をマークし、有効6戦のポイント制度でも2位のシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビア・ラリー2エボ)に58点差の大量リードを築く。

 そして資金難に苦しみながらも前半戦で2勝を挙げたニル・ソランス(ヒョンデi20 Nラリー2)にとっては、このスペインが地元戦ともなるだけに、なんとしても第7戦のチェコで弾みをつけたいところだ。

資金難に苦しみながら前半戦で2勝を挙げたニル・ソランス(ヒョンデi20 N Rally2)。直近ラウンドを欠場するも、地元戦で一矢報いたい