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KTMS KOBE TOYOPET MOTOR SPORTS

ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第4戦 スーパー耐久レース in オートポリス

2022年7月30日(土)〜7月31日(日)
オートポリス(大分県)
入場者数:
7月30日 2,800人
7月31日 3,150人

変わりゆく天候がズバリ味方に
今季負けなしの開幕3連勝!

FREE PRACTICE
 第2戦富士SUPER TEC 24時間レースではさまざまなトラブルを乗り越え優勝を飾り、2021年の雪辱を果たすとともに、開幕2連勝を遂げたKTMS。2022年のシリーズはクラスによって参戦しないレースがあり、第3戦SUGOはST-2クラスの開催がなかったことから、KTMSにとってのシリーズ3戦目は、大分県日田市のオートポリスで迎えた第4戦となった。2021年も全員が力を合わせ優勝をもぎとった思い出深いコースでもある。

 そんなオートポリスでの週末は、7月28日(木)の専有走行からスタートした。夏空のもとKTMS GR YARISは大黒柱の平良響を中心に週末に向けた作業を進めていくが、今季チームに加わった荒川麟にとってはGR YARISでのオートポリス初走行。さらに奥住慈英にとってはなんとオートポリス自体が初ということから、初日からふたりの慣熟も行っていった。

 明けた7月29日(金)も、オートポリスは晴天。午前8時15分からスタートした専有走行1回目も、平良から荒川、奥住、さらにふたたび平良へと交代していく。

 ここまでの走行で荒川もかなりKTMS GR YARISでのオートポリスに慣れはじめており、午後0時15分からの全車混走の専有走行では、平良の意見を採り入れセットアップを変更。翌日の予選を見据えたシミュレーション等を行いつつ、荒川と奥住がロングランを実施した。

 このセッションで行ったセットアップ変更が良好で、ST-2クラスのトップタイムを記録。KTMS GR YARISは7月30日(土)の予選日に向け、好感触を得て2日間の専有走行を締めくくることになった。

QUALIFY
 迎えた予選日のオートポリスは曇り空。午前のフリー走行を経て最終のセットアップの確認を行ったKTMS GR YARISは、午後1時45分からスタートした公式予選に臨んだ。

 ただこの予選がスタートする頃には雨がパラパラと降ったり止んだりと、難しいコンディションに。まずAドライバー予選に臨んだ平良は、路面の状況を確認しつつ、2分05秒732を記録。まずはトップにつける。続くBドライバー予選に臨んだ荒川は、様子を見ながらアタックに入ったが、タイヤの良い部分を活かせぬままとなってしまい、2分14秒769というベストタイムで3番手となった。

 最終的にKTMS GR YARISは合算で3番手につけることになったが、予選でのライバルの速さを考えると悪くない位置だ。続くCドライバー予選では奥住がウエットのなか早々にタイムを残し、予選をしっかりと締めくくった。

RACE
 3日間の走行を経て迎えた7月31日(日)の決勝日。ただこの日のオートポリスもかなり厚い雲が立ちこめており、午前11時の決勝レーススタート時、わずかに小雨が舞うような状況となっていた。KTMS GR YARISのスタートドライバーを務めた平良はすぐに#13 GR YARISをかわし2番手につけ、首位を走る#6 ランサーを追っていった。平良のペースは2分06秒台から07秒台ほどを安定して記録する良好なもので、そのまま41周を走るとピットイン。奥住に交代する。

 この週末が初めてのオートポリスとなった奥住は、この決勝レースでもさまざまなものを学びながら、安定したラップタイムを刻んでいく。79周目までスティントを伸ばした後、きっちりと自らの役目をこなしピットイン。ふたたび平良へ交代すると、この頃にはしっかりと首位に浮上。2番手につけた#13 GR YARIS、#6 ランサーに対して大きなギャップを築いていた。このまま平良から、残り1時間を担う荒川に繋ぎチェッカーまで走れば、3連勝の達成だ。

 しかし、そうは問屋が卸さない。平良を呼び戻そうかというタイミングで、一時は晴れ間すら見えはじめていたオートポリスの空から、ふたたび雨粒が注ぎはじめた。少しずつ雨脚も強くなる。レーダーを見ても、この後はしばらく雨が強くなる予報が出ていた。コース上は水しぶきが少しずつ見えはじめている。

 金敬模監督、そして神戸トヨペットの社員エンジニアである上田昌宏エンジニアは、戦略を悩み抜いた結果、荒川にレインタイヤを装着させることを決断した。チームは迅速な作業でKTMS GR YARISをコースに戻した。

 ただその後、KTMSの思惑とは裏腹に雨は小康状態となってしまった。スリックタイヤのままでも四駆ということもあり、ある程度は速く走ることができる。スリックを履いたままコースに残っていた#13 GR YARISに対し、レインタイヤを履く荒川はなかなかペースを上げることができなかった。大きなマージンがあった2台の差はどんどんと縮まっていった。

 111周目、ついに首位が入れ替わった。このままではダメージが大きくなるのではないか……チームも雨雲の様子、コース上の水量、ラップタイムを見ながら、タイヤ選択を悩みに悩んだ。しかしレースも残り35分を過ぎようかという頃、今度は雨が本格的に降りはじめた。

 #13 GR YARISはスリックでの走行を断念しピットイン。さらに燃料の継ぎ足しが必要で時間を要したことから、KTMS GR YARISが逆転し、ふたたびリードを奪うことになった。

 荒川もスティント序盤、レインタイヤをなるべく守りながら走っていたとはいえ、長い距離を走っていたことから、そこまでペースを上げるわけにはいかないが、リードを守りきるには十分なものだった。

 チェッカーと同時に雨がピタリと止む悪戯なオートポリスの空のもと、荒川とKTMS GR YARISは131周を走りきり、今季3勝目を飾った。もちろん最終盤に雨が強くなるという運に恵まれた部分もあるが、その運を味方につけるのがいかに難しいかはKTMSのメンバーなら誰もが知っている。速さと強さ、そして若さとともに、KTMSのメンバーはシーズンの「残り全勝」を新たな目標に据え、夕焼けのなか勝利の美酒に酔った。

KTMS 2022スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート
KTMS 2022スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート

DRIVER’S VOICE
平良 響  HIBIKI TAIRA

「最後の最後に大逆転というレースになりました。終盤は雨雲レーダーを見ながら、最後に雨が降ると読んでのレインタイヤ装着だったのですが、僕たちの読みが当たった結果となりました。第2戦富士を終えてからまたチームも良い雰囲気になっていますし、今回一時は大きくリードを許すこともありましたが、エンジニアが頑張って立ててくれた作戦だったので、チーム全員が信じて戦うことができたと思っています。次戦も荒川選手、奥住選手がGR YARISで初めてのもてぎなので、僕がしっかりクルマを作りながら連勝を目指していきたいと思います」

荒川 麟  RIN ARAKAWA
「走り出しからドライコンディションでは自信があったのですが、予選はウエットコンディションになってしまいました。そこまでレインタイヤを履けていなかったので、タイヤのピークを出し切れず、予選は不完全燃焼でしたね。決勝も難しい状況になり、スティントの最初はひたすら摩耗を抑えるようにしていました。抜かれたときには焦りそうでしたが、自分を保ち、終盤雨が降ってきてくれたときにプッシュをして、逆転で勝つことができました。良かったですね。次戦のもてぎでもしっかりと勝ちきれるようにしたいですね」

奥住 慈英  JIEI OKUZUMI
「僕としては初めてのオートポリスということで、チームの皆さん、ドライバーの先輩方にもいろいろと支えてくださいましたし、エンジニアの上田さんにもサポートしていただきました。レース全体としても、平良選手、荒川選手の頑張りがあっての勝利だと思いますし、チームの総合力で勝てたレースだったのではないでしょうか。次戦のもてぎもまたGR YARISでは初めてのレースとなりますが、僕としてはFIA-F4で優勝した経験もあるコースなので得意なんです。ここまできたら残り3戦とも勝って全勝を目指していきたいですね」

KTMS 2022スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート
KTMS 2022スーパー耐久第4戦オートポリス レースレポート