7月2〜3日、DTMドイツ・ツーリングカー選手権2022年第4戦がドイツのノリスリンクで行われ、土曜日のレース1ではトーマス・プライニング(クース・チーム・ベルンハルト/ポルシェ911 GT3 R)が、日曜日のレース2ではフェリペ・フラガ(レッドブル・アルファタウリ・AFコルセ/フェラーリ488 GT3)が、それぞれDTMにおけるキャリア初勝利を挙げた。
ニュルンベルク市内からほど近い市街地コース、ノリスリンク。1周わずか2.1kmのこのコースでは既報のとおり予選での組み分けが実施され、土曜朝に行われたレース1予選では、Bグループでケルビン・ファン・デル・リンデ(チーム・アプト・スポーツライン/アウディR8 LMS)が49秒236という最速タイムをマークし、ポールポジションを獲得。フロントロウには、Aグループ最速のプライニングがつけた。
晴天のもと迎えたレース1のスタートでは、ヘアピン状の1コーナーで多重クラッシュが発生。すぐにセーフティカーが導入される。
この混乱はフランク・ペレラ(グラッサー・レーシング・チーム/ランボルギーニ・ウラカンGT3)とアルジュン・マイニ(メルセデスAMG・チームHRT/メルセデスAMG GT3)が接触したことに端を発しており、その背後では複数の車両が玉突き状態となり、巻き込まれる形となった。
これにより、チャンピオンシップリーダーのシェルドン・ファン・デル・リンデ(シューベルト・モータースポーツ/BMW M4 GT3)をはじめ、ニコ・ミューラー(チーム・ロズベルグ/アウディR8 LMS)、ダービッド・シューマッハー(メルセデスAMG・チーム・ウィンワード/メルセデスAMG GT3)、マルコ・ウィットマン(ワーケンホルスト・モータースポーツ/BMW M4 GT3)、デフ・ゴア(チーム・ロズベルグ)、マキシミリアン・ブーク(メルセデスAMG・チーム・ミュッケ・モータースポーツ)などが脱落してしまう。
予選後のペナルティで後方からスタートしたミルコ・ボルトロッティ(グラッサー・レーシング・チーム)も巻き込まれたが、そのまま走行を続けることができた。
これでケルビンが隊列をリードし、プライニング、そして今回ニック・キャシディに代わってレッドブル・アルファタウリ・AFコルセ74号車フェラーリのステアリングを握るアイハンカン・グーベン、レネ・ラスト(チーム・アプト/アウディR8 LMS)と続くオーダーとなる。
リスタートでは1コーナーでプライニングがケルビンを攻略に成功し、首位に躍り出る。その後、ラストが3番手、デニス・オルセン(SSRパフォーマンス/ポルシェ911 GT3 R)が4番手へと浮上するが、またしても1コーナーでアクシデントが。
ブレーキングゾーンでグラッサー・レーシング・チームのアレッシオ・デレッダがエステバン・ムース(ワーケンホルスト・モータースポーツ)に追突。この弾みでコントロールを失ったムースは、ターン1へのアプローチを開始していたペレラを巻き込みクラッシュする形となった。
これによりフルコースイエローが導入されると、コース上の各車は続々とピットへ。ケルビンとラストは同じ周回にテール・トゥ・ノーズでピットに飛び込むが、ケルビンは作業に時間がかかり、ラストが首位へ。プライニング、ケルビンというオーダーに変わる。
リスタートでは再び抜群のダッシュを見せたプライニングが首位を奪い返し、同じくポルシェのオルセンもケルビンをかわして3番手へとポジションを上げた。
しかしその直後、今度はバックストレートでボルトロッティがマーロ・エンゲル(メルセデスAMG・チーム・グループMレーシング/メルセデスAMG GT3)に追突する形となり、エンゲルが激しくクラッシュ。セーフティカーが導入される。
16台によるリスタートではオルセンがまたも順位を上げ2番手へ。だが、この周にまたしても2件のアクシデントが発生し、セーフティカー導入となった。バックストレートへのヘアピンでグベンと接触したルーカス・アウアーはその場でリタイアしたほか、最終コーナーでケルビンと接触したボルトロッティもマシンを破損しその後レースを終えた。
レースは残り17分で再開。ここでは、ローレンス・ファントール(SSRパフォーマンス)がオルセンをかわして3番手へと浮上してくるが、オルセンがすぐに順位を奪い返す。
その後、ラストとオルセンはマシンをぶつけ合いながら激しい2番手争いを展開するが、ファイナルラップに入る直前でオルセンがラストを攻略した。
結局レースは55分+3周での争いとなり、度々のリスタートを決めたプライニングがDTM初優勝。オルセンが続いてポルシェのワン・ツーとなり、3位にはラストが入った。
以下、ファントール、フィリップ・エング(シューベルト・モータースポーツ)、マキシミリアン・ゲーツ(メルセデスAMG・チーム・ウインワード・レーシング)と続くトップ6のオーダーとなった。度重なるクラッシュ・アクシデントにより、スタートした27台のうち、完走したのはわずか11台となっている。
■レース2は一転、平穏な展開に
日曜日のレース2予選では、グループAに振り分けられたフラガがポールポジションを獲得。フロントロウにはボルトロッティが並び、以下ウィットマン、プライニング、ゲーツ、ラストと並ぶトップ6のグリッドとなった。
決勝スタートでは、フラガがボルトロッティを押さえ込み、首位を守る。大きな混乱なく1コーナーを通過するなか、ラストは4番手に浮上した。
前日の反動もあってか、レースが比較的平穏に進むなか、上位陣はピットストップを後半まで引っ張る展開となる。
トップ4のなかでは44周目、ラストが最初にピット作業を済ませ、次の周にピットに入ったウィットマンが作業でタイムロスを喫したことから、3番手を奪う。
フラガはボルトロッティに対し3秒程度のリードを保つ中、2台は同時にピットイン。しかしタイヤ交換作業を終えても順位は変わらない。
結局そのままフラガは危なげなく67周を走り切ってトップチェッカー。前日のプライングに続き、2日連続で初ウイナーの誕生となった。
2位にボルトロッティ、3位にラストが入り、以下はウィットマン、オルセン、ゲーツというトップ6となった。
ランキングでは、レース2で2位に入ったボルトロッティが89ポイントで首位へ浮上、この週末をノーポイントで終えたシェルドン・ファン・デル・リンデが80ポイントで2位。1ポイント差の3位には、この週末で30ポイントを上乗せしたラストが続いている。
DTMの次戦第5戦は8月26〜28日、ドイツのニュルブルクリンクで開催される。