TKRI
ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook
第4戦 スーパー耐久レース in オートポリス
2022年7月30日(土)〜7月31日(日)
オートポリス(大分県)
入場者数:
7月30日 2,800人
7月31日 3,150人
トラブルに泣き追い上げるも5位
魅せたスピードには手ごたえ
FREE PRACTICE
SUGOでの第3戦では、序盤から大きなリードを築くも、惜しくも表彰台を逃す結果となったTKRI松永建設AMG GT3。迎えた第4戦の舞台は、大分県日田市のオートポリスだ。今回もDAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴のトリオでふたたび表彰台に登壇すべくレースウイークに臨んだが、今回はST-Xのエントリーが9台と多く、ライバルの層も厚い一戦となった。
走行初日となった7月28日(木)からオートポリスは夏空に恵まれ、初日はまず1時間30分の走行をこなし、2日目となる7月29日(金)は午前9時30分からの専有走行に臨んだ。セットアップなどを確認しながら、ここで1分49秒425というベストタイムをマーク。まずはトップタイムを記録した。やはり今週末もスピードは十分にありそうだ。
全グループ混走となった午後の専有走行でも中山から元嶋、DAISUKE、さらにまた元嶋、DAISUKE、中山と交代しながら周回。DAISUKEもロングランを走り、前戦からの課題にも取り組んでいった。そして、この日がちょうど誕生日だった中山が1分51秒966というベストタイムを記録し、TKRI松永建設AMG GT3は2番手でセッションを終えることになった。
スピードの面では着実な手ごたえを得たチームは、夜には中山の誕生日を全員で祝い、予選日に向け団結を強めた。
QUALIFY
迎えた7月30日(土)の予選日は一転して雲が多いなかで迎えた。午前のフリー走行でDAISUKE、元嶋がドライブしたTKRI松永建設AMG GT3は、午後1時45分から行われた公式予選に臨んだ。ところが、DAISUKEが出走するグループXのAドライバー予選がスタートした途端、前戦のように雨が降り出してしまった。急遽ピットに戻りウエットタイヤに換装したものの、この週末ウエットでは走っていない。DAISUKEはなんとか2分06秒782を記録するが、7番手に留まった。
続くBドライバー予選は引き続きウエットとなったが、ここでは元嶋が1分58秒882までタイムを縮め、トップタイム。合算では4分05秒664でクラス5番手につけることになった。最後のCドライバー予選では中山がウエットのなか2分01秒866をマークし、長い予選セッションを締めくくった。
RACE
迎えた7月31日(日)の決勝日。この日の阿蘇は曇り空で、時折雨粒が舞う難しいコンディションで迎えた。とはいえ午前11時のスタート時の路面はドライ。TKRI 松永建設 AMG GT3は前戦同様、まずはプロドライバーで繋ぎ、大きなリードを築いていく作戦で5時間レースを戦うことになった。
今回もスタートドライバーを務めたのは元嶋だ。期待に応え1周目からズバズバとポジションを上げていった元嶋は、4周で首位に立つと、一気に後続とのギャップを築きにかかる。ただ同様にプロがスタートを担当した#777 アストンマーティンが5秒ほどの差で続いていた。
そんな元嶋の頑張りが、思わぬかたちで霧散してしまう。開始から1時間05分、そろそろピットインし中山に交代しようかというタイミングで、右リヤタイヤがホイールごと外れてしまったのだ。その直前のフルコースイエロー時、低速で走行したことによることが影響した可能性も否定できないが、いずれにしろ元嶋はピットにTKRI 松永建設 AMG GT3を戻すことになった。チームは早急に各部をチェックしたが、タイムロス。その間にFCYが出ていたことから遅れは少なくはなっていたものの、この際の作業のレギュレーションの解釈の違いによって、ピットアウト後、作業違反のペナルティもとられてしまった。
ただその後はトラブル等はなく、中山に交代するとハイペースで追い上げをスタートさせる。さらに75周目にはふたたび元嶋にスイッチ。残り2時間を切ると、ふたたび表彰台圏内に近づくところまで追い上げてみせた。
しばらくは雨も降らず、晴れ間も見えはじめていたオートポリスだったが、残り1時間40分ほどというタイミングでふたたび雨粒が舞いはじめた。路面を濡らすほどではない難しいコンディションではあったが、元嶋は周囲よりも2〜3秒ほど速いペースで手綱をゆるめることなく、失ったマージンを削りとっていった。
終盤、レースは残り1時間が近づいてくる。チームは残りのすべてをDAISUKEに任せるべく、ピットインタイミングをうかがった。ただ雨がどんどんと強くなっている。スリックタイヤで走行を続けるチームもあったものの、DAISUKEの安全を考え、チームはレインタイヤを迷わずチョイスした。この後も雨が強まっていく予報も出ていたからだ。
予選に続きまたもウエットコンディションを走ることになったDAISUKEだが、予選日に経験できたのはある意味不幸中の幸い。DAISUKEは安定したラップを重ねていく。ただ、交代後なかなか雨脚が強まらず、スリックを履いた車両からはペースで離される展開となった。
ただ残り30分を切るころになると、雨がさらに強さを増し、それまでスリックタイヤで戦っていたマシンたちもピットインを行い始めた。ウエットタイヤを労りながら走行を続けていたDAISUKEはそのまま5時間のフィニッシュまで走りきり、TKRI 松永建設 AMG GT3は5位でチェッカーを受けることになった。
スピードが表彰台という結果に結びつかなかったのは悔しいところではあるが、トラブルがありながらも5位まで追い上げることができたのは、スピードがあったからこそ。次戦もてぎへ向けチームは雰囲気を高め、オートポリスを後にした。
DRIVER’S VOICE
DAISUKE
予選でも2戦続けて降り出すし、決勝でも自分の出番のときに雨が降ってきたりと、まわりから『雨男確定』と言われるくらいでした(苦笑)。ST-Xをウエットで走らせる良い練習になったと思っています。レースとしては、元嶋選手が素晴らしい走りをみせてくれましたが、まさかのトラブルがありました。ただその後は中山選手がまた素晴らしい追い上げをみせてくれたりと、マシンの完成度の高さ、手ごたえを感じる週末になりました。しっかりと噛み合えば結果が残せると思いましたし、次回は地元のもてぎですからね。今までの不運を払拭して表彰台に上りたいと思います!
元嶋 佑弥 YUYA MOTOJIMA
今週末もずっと専有走行からトップタイムをマークできたりとスピードは3人全員にある状態でした。予選ではDAISUKE選手がアタックに出た瞬間に雨が降り出したりと難しいコンディションになってしまいましたね。ただ悪くない位置からスタートできたので、良かったと思います。決勝では序盤から調子良くトップに立つこともできました。その後のトラブルについては、誰も責めることができないですね。そんななかでも、できうる最大のリカバリーはできたと思っていますし、速さがあるのは確認できたので、次のもてぎでは結果に結びつけられるようにしたいと思います。
中山 友貴 YUUKI NAKAYAMA
全体的に荒れたレースになりましたね。元嶋選手がスタートから予定どおりレースをリードしてくれましたが、FCYの後にタイヤが脱落してしまい、勝負権を失ってしまいました。ただ自分のスティントもそれほど悪くなかったと思いますし、DAISUKE選手も最後のウエットコンディションのなかでしっかりとクルマをチェッカーまで運んでくれました。いろんなタイムロスがあったなかでしたが、5位までうまく挽回できたのではないかと思います。クルマのスピードは間違いなくありますし、優勝するポテンシャルがあります。うまく結果に繋げたいと思っています。
河野 高男 監督 TAKAO KOHNO
元嶋選手からスタートし、今回もうまくトップに立ってくれました。その後フルコースイエロー後にタイヤが外れてしまいましたが、熱の問題と振動でゆるんだのではないかと思います。オートポリスでは実はよくあることなんです。対策はしっかりしているんですけどね。ピットに戻ってこられたのは不幸中の幸いで、解釈の違いでペナルティもありましたが、その後は中山選手もペースが良く、全員のペースを見返すとぜんぜん勝てるレースでしたね。戦略も結果的にはうまくいくことになりましたし、トラブルを考えると5位は上出来な結果だったのではないでしょうか。