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こんなに高評価なのになぜ販売台数が伸びない?? もっと売れていい日本車10選

 評価が高く、売れてはいるものの「大ヒット」まで到達したわけではないクルマたちがこの企画の主役。半導体不足などで納期遅れの影響があるにせよ、「もっと売れていいんじゃないか!」というクルマを取り上げ、その魅力とともに「販売数が伸びないワケ」を探る。岡本幸一郎氏による日産サクラ インプレッションもご紹介!

●ラインナップ
・ホンダ フィット(約2カ月/価格:155万7600〜259万1600円)
・トヨタ アクア(納期:約6カ月/201万3000〜299万7500円)
・トヨタ カローラツーリング(納期:約6カ月/価格:201万3000〜299万7500円)
・マツダ マツダ3ファストバック(納期:約1カ月/価格:222万1389〜368万8463円)
・トヨタ RAV4(納期:約5カ月/価格:277万4000〜539万円)
・トヨタ ミライ(納期:未定/価格:710万〜860万円)
・スバル XV(納期:約4カ月/価格:220万〜295万9000円)
・スズキ ソリオ(納期:約5カ月/価格:158万1800〜214万8300円)
・ホンダ N-WGN(納期:約1カ月/価格:129万8000〜182万7100円)
・ダイハツ タフト(納期:約3カ月/価格:135万3000〜173万2500円)

※本稿は2022年6月のものです。各「値引き額」はひと声値引き額で、遠藤 徹氏調べ。店舗や時期などによりこの金額を引き出せない場合もあります
文/片岡英明、岡本幸一郎、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年7月26日号

【画像ギャラリー】ヒトと被らない「いいクルマ探し」ならこの10台!! なかなか売れないけどいいクルマがあなたを待っている!!!(31枚)画像ギャラリー


■ホンダ フィット

ホンダ フィット。独創的なセンタータンクレイアウトによりキャビンは後席でも1クラス上の広さだ。荷室に荷物も積みやすい。運転しやすいのも大きな魅力だ

 フィットはここ数カ月、低調気味だ。他車と同じように半導体不足やサプライヤーの供給の遅れが響いたことも、販売不振の要因のひとつだろう。

 現行モデルはオシャレなデザインだが、フリードとキャラが被っているなど、フィットらしさが薄い。加えて先代のようなスポーツモデルが用意されていないことも伸び悩む要因。

 が、このクルマ、キャビンも荷室も上級クラス並みに広い。ピラーも細いから視界がよく、運転しやすい。e:HEVだってトヨタ勢のハイブリッド車よりスポーティ。この部分が魅力だ。

●ホンダ フィット
・1〜5月累計:2万4645台
・納期:約2カ月
・値引き額:19万円
・価格:155万7600〜259万1600円
・もっと売れてほしい期待度:85

■トヨタ アクア

 次はアクア。新型になって約1年が経つ。商品力を高めた2代目は販売ランキング10位以内をキープし、5月もかろうじて10位。約1年前にノートオーラが追加されたことの影響もあるだろう。

 ノートほどEV感覚は強くないし、デザインの新鮮味と質感も今一歩。存在感が希薄なので損をしているが、パイポーラ型ニッケル水素電池を採用して気持ちいい加速を楽しめ、実用燃費だっていい。今後盛り返す実力のあるコンパクトカーだ。

●トヨタ アクア
・1〜5月累計:3万330台
・納期:約6カ月
・値引き額:18万円
・価格:198万〜259万8000円
・もっと売れてほしい期待度:90

■トヨタ カローラツーリング

 カローラツーリングはスポーティなルックスがウケてファン層を広げている。が、ワゴンブームが去ったこともあり、販売は伸び悩み傾向。設計は古く、身内にフィールダーがいることも、販売を大きく伸ばせない理由のひとつだろう。キャビンと荷室も広さを実感しにくいつくりだ。

 だが、ハイブリッド車は良好な燃費を期待でき、走りも軽やか。取り回しもよく、推したいクルマだ。

●トヨタ カローラツーリング
・1〜5月累計:1万2660台
・納期:約6カ月
・値引き額:20万円
・価格:201万3000〜299万7500円
・もっと売れてほしい期待度:80

■マツダ マツダ3ファストバック

 デザインをウリのひとつに誕生したマツダ3ファストバック。斜め後方の視界が悪いこともあり、“敬遠する人”も少なくない。

 また、鳴り物入りで登場したSKYACTIV-Xも、トヨタのハイブリッド車ほど燃費はよくないし、設定価格も1クラス上に感じられる。

 大柄なボディなのにインテリアの質感は物足りないし、乗り心地が今一歩と感じる人も多いようだ。

 だが、SKYACTIV-Xはマツダの飛び道具らしくレスポンスが鋭く、気持ちいい。静粛性などの快適性も高いレベル。1.5Lモデルはコストパフォーマンスも高い。

●マツダ MAZDA3
・1〜5月累計:5451台
・納期:約1カ月
・値引き額:20万円
・価格:222万1389〜368万8463円
・もっと売れてほしい期待度:80

■トヨタ RAV4

トヨタ RAV4。海外での高い人気からもわかるように非凡な実力の持ち主。ハイブリッド車も加わったアドベンチャーグレードは運転するのが楽しい4WDだ

 RAV4は登場から4年目に突入して新鮮味が失せたことに加え、似た性格でルックスのいいハリアーも登場したから共食いによって販売が落ち込んでいる状況だ。

 が、走りの実力は今も一級品。アウトドアシーンで強い存在感を放つ力強いデザインや豊富なドレスアップ用品は、このクルマの魅力と映る。

●トヨタ RAV4
・1〜5月累計:1万2802台
・納期:約5カ月
・値引き額:25万円
・価格:277万4000〜539万円
・もっと売れてほしい期待度:75

■トヨタ ミライ

 燃料電池車のミライは、2代目になって走りに関して飛躍的な進歩を遂げた。

 だが、2代目で話題性が薄まり、日本ではボディサイズも大柄と感じる。水素の充填施設が少ないのも購入をためらわせる原因のひとつだろう。

 が、異次元の快適で気持ちいい走りを満喫でき、アドバンストドライブもいい仕上がり。もっと評価していいモデルだ。

●トヨタ MIRAI
・1〜5月累計:567台
・納期:未定
・値引き額:15万円
・価格:710万〜860万円
・もっと売れてほしい期待度:85

■スバル XV

コスパに秀でた万能選手だ。Xモードを備えた4WDの実力は高く、加えて先進安全装備と快適装備も充実している

 スバルXVは、身内に似た性格のSUVが多いため、販売面で苦戦を強いられているように感じる。また、e-BOXERの環境性能が今一歩なのも伸び悩みの一因だ。

 それでも、オールマイティに使いこなせ、安心感も絶大。運転支援システムのアイサイトは今も一級の実力を秘めている。

●スバル XV
・1〜5月累計:5562台
・納期:約4カ月
・値引き額:25万円
・価格:220万〜295万9000円
・もっと売れてほしい期待度:80

■スズキ ソリオ

 トヨタが悔しがってソックリさんを出すほど、大きな魅力を放っているのがソリオだ。ここ数カ月、販売が落ち込んでいるのは身内の軽自動車に食われたことに加え、ライバルの販売1位のルーミーの存在。

 販売力の違いに加え、変わりばえしないデザインもマイナスだ。が、走らせてみれば滑らかな4気筒エンジンや乗り心地など、多くの点で上質感はソリオがルーミーの上をいく。

●スズキ ソリオ
・1〜5月累計:1万4295台
・納期:約5カ月
・値引き額:25万円
・価格:158万1800〜214万8300円
・もっと売れてほしい期待度:90

■ホンダ N-WGN

ホンダ N-WGN。走りの上質感は軽自動車レベルを超えている。静粛性や乗り心地など、快適性が高く、ハンドリングも軽やか。追従クルーズも上級クラス並みの洗練度!

 軽自動車ではホンダのN-WGN、もっと売れていいモデルだ。身内のN-BOXなどスライドドアを採用するスーパーハイトワゴン人気に押され、販売は伸び悩み傾向。

 無印良品的な特徴や魅力に乏しいルックスも損をしている。でも、走りの実力は高い。運転のしやすさもライバル以上だ。

●ホンダ N-WGN
・1〜5月累計:1万7807台
・納期:約1カ月
・値引き額:14万円
・価格:129万8000〜182万7100円
・もっと売れてほしい期待度:80

■ダイハツ タフト

 タフトはハスラーほど名前が浸透していないし、身内には売れ筋タントもいる。リアシートのアレンジ機構もハスラーより少ない。販売数はそれなりだが、キュートなデザインがいいし、スカイフィールトップも魅力的。走りの実力と安全装備だって、実はハスラーに負けていない軽だ。

■ダイハツ タフト
・1〜5月累計:2万4432台
・納期:約3カ月
・値引き:16万円
・価格:135万3000〜173万2500円
・もっと売れてほしい期待度:85


【番外編コラム】日産SAKURA。評論家のみなさんの高評価どおり「売れるクルマ」になるか!?

 待ってました! と思っている人は大勢いるはず。出だしの販売は絶好調。デイズを超える台数がこの先も売れ続けるとは思えないけど、そこそこずっと売れて、そう遠くないうちに軽EVがひとつのカテゴリーとして定着すると思う。これがボクの見立てです。

 これまでも軽自動車を愛用していた人で、軽自動車本来のコミューターとしての使い方のみの人なら、抵抗なく受け入れられるんじゃないかな。

 もちろん手軽に充電できる環境のある人だったら、の話だけど。航続距離も180kmのWLTCモード数値なら充分でしょう。

 それに走りがイイ。乗った人なら誰でも感激するはず。モーターだからレスポンスはいいし、ターボ付きの軽自動車に比べても最大トルクが2倍というだけあって力強い。とてもエンジンで走る軽自動車ではこんな走りなんてできない。

 軽自動車とEVはなかなか相性のよいものだとしみじみ思いつつ、実際に日々使えばもっとそう感じるようになるんじゃないだろうか。我が家にも1台欲しくなったぐらいだ。

(TEXT/岡本幸一郎)

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