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<p>実写版『銀魂』で福田雄一監督が大切にしたモノとは | アニメイトタイムズ</p><p>【5年前の08/05公開👀】 実写版『#銀魂』で #福田雄一 監督が大切にしたモノとは</p><p>【アニメイトタイムズ】 オープニング4日間の累計で興行収入9.8億円超えるなど、今年の実写邦画No.1の大ヒットスタートを達成した実写映画『銀魂』が絶賛公開中! 本作の脚本・監督を務めたのは、大ヒットドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズや『アオイホノオ』の福田雄一さん。作品を観…</p><p>銀ちゃんは妖刀・紅桜であれだけのケガをして、(銀時が動くのは)その次の日の設定ですからね(笑)。愛用の木刀も一発で折られているわけですし、刺されてだいぶ痛いわけじゃないですか。「何かないのかな?」と思って、あのシーンを入れたかった。「そういうのも思っている人いないですか?」っていう観点から出しているものだし……。 ――そうですね。 撮影するにあたって、絶対的に自分に課していた箴言(戒めの言葉)というのが「いかにちゃんと『勇者ヨシヒコ』を撮る時と同じように、ふざけられるか」ということです。 空知先生が僕に実写化を許してくれたこと。それは空知先生がずっとおっしゃっているように、「『勇者ヨシヒコ』と『アオイホノオ』が面白かったから」だと。ああいう世界観を恥ずかしげもなく、どんとやって、ちゃんと笑いにして、面白くしているということで、僕に任せてくれたと思っています。 今回の作品は、本当に大作ですよ。お金もいっぱい使っているし、ものすごい人気作だし、大作でちゃんとしなきゃいけないんだけど、僕自身は『勇者ヨシヒコ』や『アオイホノオ』を撮る時と、同じ感覚で臨まないと、空知さんを裏切ることになるので、「いかにちゃんと『勇者ヨシヒコ』を撮る時と同じように、ふざけられるか」っていうことが一番のこだわりというか、自分に課した使命だと思ってやっていましたね。 僕が大作だと思って臨んでいたら、(新八役の)菅田(将暉)君のボタンを(武市変平太役の佐藤)二朗さんがいじることって絶対ないと思うんですよ。 ――あのシーンは笑いました。とっても面白かったです。 ああいうことは、大作でやっちゃいけないことだと思うんです。あのシーンは僕の中では、新八が神楽をひとり助けに来て、助けに来た自分に酔っているというシーンなんですよ。菅田君に「ちょっとかっこいい感じでセリフを言ってくれよ」って話をして、菅田が「銀ちゃんと同じポーズで立っていたいです」って言ったんです。 銀ちゃんは着流しを片方だけ羽織っているから、バッと片手で木刀を肩に担ぐことができるんですけど、新八の衣装だったら、それができないんですよ(笑)。菅田君がバッてやったら、着物の衿裏のボタンがポーンって取れて……。 ――(笑)。 このボタンは当然のことながら、衣装部の隠しボタンです。それがポーンって取れたから、僕はセットの船に上がって、衣装部さんにボタンを取るようにお願いしました。それで撮影を再開しようと、セットの船を降りて、モニタリングに向かって行く途中で「あれ、あった方が面白いのかな?」って思ったわけですよ。 それで、衣装部さんにもう一度ボタンを付けてもらって、二朗さんに「ボタンを付けて臨むので、最終的にちゃんと着てボタン締めるから、そこをいじって」とお願いをしました。 それはたぶん、「『勇者ヨシヒコ』と同じ感じで撮るんだ。深夜ドラマを撮る感じで撮るんだ!」という自分の中での使命がなかったら、あの時にボタンを付けようとは思えなかっただろうなというのがあります。 そういうところでひとつひとつ、空知さんが『勇者ヨシヒコ』とか、いわゆる深夜ドラマのノリで若干のB級感を残しつつ、この大作を撮ったんだなというふうに感じてもらえれば、空知さんに楽しんでいただけるんじゃないかなって思っていたんです。そこはファンの方に対しても、同じ思いではありますね。 「子供が観て、ワクワクする感じを絶対に忘れたくない」 監督のこだわり 福田: 舞台作りというよりは、どちらかというと、CGにこだわった気がしますね。ひとつ僕の中で鍵になったのが、高杉の船が空に行った後の空模様です。スタジオではグリーンバックで撮影しているので、空は全部CGなんですよ。今は日本のCGが優秀で、特にクリーチャー(生き物)以外の風景などは、どこまででもリアルにできるし、機械類も忠実にものすごく細かいところまでCGにできるんです。 銀ちゃんが船の上で岡田似蔵(新井浩文)と戦う。その後、高杉晋助(堂本剛)と桂小太郎(岡田将生)がしゃべっているバックの空のCGは、たぶんB級感というよりは、実写の映画ではあんまりないなという質感の空を自ずと求めていたみたいで。一番大切な「宇宙一バカな侍だ、コノヤロー!!」っていうシーンのバックの空って、アニメで観ると、ものすごくおどろおどろしい曇天の中から、陽の光がフワーっと差してくるっていうシーンじゃないですか。 ――そうですね。 あそこの空模様は、銀ちゃんが現れたというヒロイックなシーンです。あれはアニメで描かれると、あの空の感じなんですけど、実写のCGスタッフの方たちは当然リアルな空を再現しようとするんです。大変申し上げにくいんですけど、それがつまらなかったんですよ。 僕は批評家ではないので、説明が上手じゃなくて、とにかくCGができあがった時に「何かつまんねぇなぁ」っていうことを延々と言い続けていたんです。「何でつまんねぇんだ?」って話をした時に、初期段階で、『銀魂』のCGの感じをどのステイタスで考えるかと話したことを思い出したんですよ。 僕は映画『メリー・ポピンズ』が大好きなんですけど、メリー・ポピンズが最初に空から舞い降りてくるシーンとか、あの空気感が僕にとってすごく夢があるんですよ。だから、「このリアルな空に、10%、20%のアニメっぽさを足したら、ちょっとワクワクするんじゃないですかね」っていう話をしました。 福田: 船が宙に浮いているわけだから、もう夢物語なわけじゃないですか。いつも思うんですけど、「子供が観て、ワクワクする感じを絶対に忘れたくないな」って思った時に、「この空はリアルすぎる」って、7、8回直してもらって、苦労して最終的にあの空にしたんです。 おそらく観る人によって、あの空を「ちゃっちい(安っぽくて、見劣りする)」っていう人もいると思いますし、CGチームにとっては、できることに対して、もう少し質を落としたということでしかないんですけど。それは僕のこだわりでもあるし、『銀魂』という作品に対する僕の思い入れでしかなかったんですが、トータルで見ると、正解だったなと僕は思っています。 ――ごちゃごちゃ感みたいなものも『銀魂』の魅力のひとつでもありますよね。</p>