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 納車までのメドが立たないとの理由から今年7月いっぱいで事前予約を打ち切った新型フェアレディZ。6MT仕様をオーダーしてすでに内金もディーラーに支払ったという自動車評論家、国沢光宏氏のもとに一通のハガキが届いた。

 今年7月中旬には北海道・陸別テストコースでハンドルを握った国沢氏だが、家に届けられたハガキを見ると、「購入は抽選になりました」との通知だった。果たして、その結果は……。

文/国沢光宏、写真/国沢光宏、ベストカー編集部

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■7月31日までの契約なら買えたはずが……突然の抽選!?

国沢氏のもとに届けられたディーラーからの1枚のはがき。新型フェアレディZが突如、抽選になったという寝耳に水の文言が……

 新型フェアレディZの購入契約をして55万円の内金を払ったのに、突如ディーラーから「抽選になりました。ハガキが届きます」。あらら? 新型フェアレディZ、今年7月31日までに契約すれば全員購入できるという案内だったんじゃないのか? 

 実際、7月19日付けの日産Webサイトには「これまでにご注文されたすべてのお客さまに確実にお届けしていくため」と記載がある。

 それが突如として抽選だという! 私みたいな職業だと、購入したらプレミアが付いて利益供与になるような物品は、事実上購入できない。忖度したと思われますから。

 もし、最初から抽選だとわかっていたらディーラーに行き2時間くらいかけて購入契約するなんてことなどしない。完全にムダな時間です。ということで届いた手紙のバーコードを読み込んでアクセスすると、メールで当落の連絡が来るというモノ。

■確かに同意書にはサインしていたものの……

国沢氏がフェアレディZの内金としてディーラーに支払った55万5400円の領収証

 届いた手紙は「坊ちゃんハズレ~!」でございました(泣)。こんなイヤな思いをするためディーラーに行って納車が2年先になるようようなクルマの契約をしたんじゃない。この話を日産の関係者にしたところ、「同意書にサインしてますよね? 法的にはたぶん何もできない気がします」。

 う~ん! お客さんとディーラーの関係って、「訴える、訴えない」の話になるほどギスギスしてるのね!  参考までに書いておくと、同意書というのは「最悪の場合、売買契約書のとおりにはならないこともあります」という内容。

 自然災害や戦争などで作れないことがあればゴメンナサイというもので、当然ながらやむを得ない。むしろ日産に「たいへんですね」とお見舞い申し上げたいところ。今回は生産台数と販売台数が逐次わかることなので、作りきれなくなったらその時点で商談中止にすればいい。

 実際、7月19日に7月31日時点で受注を中止すると発表した時点の大雑把な納期はわかっていたと思う。だったら7月19日以降の契約は抽選にするなどの対応だって充分にできた。

 前述のとおり、メーカー自ら「これまでにご注文されたすべてのお客さまに確実にお届けしていくため」と書いた。明らかに単純なメーカー側の失態。自然災害や戦争のような偶然性の出来事じゃありません。

■必ず買うという覚悟を決めてユーザーは内金を払うのに……

7月中旬に実施され、国沢氏も自らハンドルを握った北海道の日産陸別テストコースでの新型フェアレディZ試乗会。まさか、この直後に買えなくなる事態になるとは……

  私は訴えるようなことはしないけれど、おそらく大きな問題になると思う。というのも、すでにフェアレディZは最後の純ガソリンエンジンスポーツカーになる可能性が大きいということで、間違いなくプレミアが付いて値上がりすると思う。

 百歩譲って2年間乗って買った価格で手放せることだろう。売る側のミスで販売契約を反故にする、と突如言い出した。明らかに「得べかりし利益」をなくした。

 ディーラーが発行する『販売契約書』を読むと、「自動車にはクーリングオフの適用はありませんのでご留意下さい」とある。販売契約書を作ったら、病気でお金がなくなっても簡単に販売契約を取り消せない。少なくとも払った内金がどうなるかその場にならないとわからないです。そのための内金ですから。したがって新型フェアレディZの契約をした人は、それなりの覚悟をしただろう。

 繰り返すが「すべてのお客さまに確実にお届けしていく」ということで皆さん契約した。だからこそお客さんも必ず買う覚悟を決めて契約している。その気持ちを日産はまったく理解できていない。

 少なくとも訴えることはしない私ですら、当面日産のクルマを買う気にゃならんです。あまりにも酷いし、お客さんとディーラーの関係としちゃ最悪といってよかろう。

■ハリアーの契約キャンセルとはぜんぜん違う

このハガキの右下に記載されていたQRコードから抽選サイトに移動し、当落がわかるようになっていたのだという

 ここまで読んで「ハリアーも同じように契約を解消したじゃないか」と思う人もいると思う。状況はまったく違います。ハリアーの場合、納期が長くなって現行モデルじゃなくなってしまう。かといってマイナーチェンジモデルのスペックや価格がわからない。そこでいったん現行モデルの規約を白紙にしてマイナーモデルのウェイティングリストを作るという内容。買えるし、価格もいい条件を出している。

 いずれにしろ、今回の件で日産が叩かれることは間違いない。訴訟も起こされるだろう。何より、「日産から魅力的なクルマが出たら買おう」という日産ファンにケンカを売るような行為をしたことは残念でならないです。

 参考までに書いておくと、私は「日産東京販売」というディーラーで売買契約を結んだ。今後、東京以外の日産ディーラーも突如の抽選になっていく可能性が大きいと思う。

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