ドイツ本国では5月20日から受注開始、今秋からデリバリーが始まるID.BUZZ。今回、我々はいち早くこの愛嬌抜群のEVモノスペースと、ほぼ半日近く一緒に過ごす機会を得た。正式な国際試乗会前ということで、厳密な試乗インプレッションはお預けだが、まずは第一印象をお伝えしよう!
【写真14枚】日本上陸が楽しみなID.BUZZの詳細を写真で見る
世界中の街の景色をハッピーにする予感
VWの電動化戦略は約3年前、2019年11月のID.3に始まり、その後ID.4、ID.5、そしてこのID.BUZZへと発展してきた。ID.3がゴルフのEV版とすれば、BUZZはかつてのVWバスのEV版。このモノスペースはビートルと並びVWの伝統的なアイコンモデルで、その起源は1950年に登場したタイプ2である。文字通りビートル(タイプ1)のフロアパンを利用して開発された2番目のモデルで、ドイツをはじめとする欧州、さらには北米でマルチパーパスバン(マルチバン)として人気を博した。特に1960年代後半にはアメリカ西海岸で”ヒッピー・バン”としてカウンターカルチャーの象徴的な存在となり、今回VWが特に北米市場をターゲットに据えてID.BUZZを投入したのは、そんなヘリテージの復活という意味合いもある。
ビビットなイエローとホワイトの2トーンカラーのボディは全長4712mm、全幅1985mm、全高1927mmで、ホイールベースは2989mmと、ICE搭載の現行マルチバンよりも19cm短い。デザインはキャビンを最大限に確保するべく基本的にはスクエアだが、衝突安全対策のためにフロントウィンドーはノーズに向けて強く傾斜。ヒップポイントはSUVクロスオーバーのID.4よりも26cm高いため、広大なフロントウィンドーを通しての前方視界は抜群だ。
スケートボードタイプのMEBプラットフォーム採用でフロアにはセンタートンネルがなくリアエンドまでフラット、ホイールベースの中央より後方に位置する後席の足元スペースは十二分にゆとりがある。その後方には容量1121Lのラゲッジルームを確保。リアゲートの開口部は広く、フロア高は膝の高さなのでフルサイズのスーツケースも容易に搭載できる。なお、高くマウントされたダッシュボードのデザインはIDシリーズに準ずるものの、ドライブコントロールはステアリングコラムから伸びたレバーで行なう。
リアアクスルにマウントされた最高出力204ps(150kW)、最大トルク310Nmの電気モーターは、ドライバー込みの自重が2.5トンに達するBUZZをスムーズに加速させる。特に街中では、広いウインドーを通して後方へ流れ去る風景が、実際よりもスピード感を増幅するような印象だ。ちなみに、カタログ上のダイナミック性能は0→100km/h加速は10.2秒、最高速度は145km/hで、この数字では満足できないオーナーのために、すでに300ps(220kW)と460Nmの高出力版もスタンバイしている。
オール電化で蘇ったもうひとつのアイコン
街中ではラウンド・アバウトを何度か通過したが、身体が揺さぶられることもなく安定した姿勢でラインをトレース。床下収納の電池により重心高が低いため、ピッチングの少ない快適な乗り心地を味わえる。ロングホイールベースにも関わらず回転直径は11.1mとミニマムだから、街中の駐車場では何度も切り返すことなく指定の場所にスッと収まるのもいい。なお、82kWh(ネット77kWh)の電池による航続距離(WLTP)は423kmで、一般家庭でのウォールボックスでは8時間15分、急速充電では28分で満充電が可能。さらに、スマートグリッドで家庭用電源としても使用できる。
街の景色をハッピーにしてくれそうなID.BUZZ。詳細は、もう間もなくお伝えできるはずだ。
IDシリーズ初の4ドアサルーンも初公開
先頃発表されたコンセプトモデル、IDエアロはID.4に続くグローバルカーでパサートのBEV版。まずは中国、その後は北米市場に投入されるこの5番目のBEVはMEBがベースで、市販モデルはID.7と名付けられる。全長約5mのミッドサイズ4ドアセダンは、ネーミング通り優れた空力特性がウリで、Cd値は0.23と発表。その結果、ID.BUZZと同じ82kWhのバッテリー搭載モデルの航続距離は620kmに達するといわれる。
投稿 【海外試乗】日本上陸秒読み段階‼ 現代に蘇った電動ワーゲンバスこと「ID.BUZZ」は思わずみんなが笑顔になるEVモノスペースだった! は CARSMEET WEB に最初に表示されました。