もっと詳しく

 ワンメイクの電動オフロード選手権『エクストリームE』に初年度から参戦するエキサイト・エナジー・レーシングは、7月6~7日と同9~10日にダブルヘッダー戦が予定されるイタリア・サルディニア島での2022年第2戦“Island X Prix”を前に、ドライバーラインアップの変更をアナウンス。現在シリーズの“チャンピオンシップドライバー”を務めるティモ・シャイダーと、同じくタマラ・モリナーロの両名が実戦デビューを飾ることとなった。

 チーム創設者兼エースを務めてきたオリバー・ベネットと、今季よりレギュラー契約を結びながら開幕戦欠場となっていた新鋭クララ・アンダーソンに代わり、ここまでイベント開催地のコースレイアウト作成やアドバイザーロールをこなしながら、緊急時の“ピンチヒッター”としてリザーブの役割も担ってきた元DTMドイツ・ツーリングカー選手権チャンピオンが、電動選手権で初の実戦に臨むことが決まった。

 2008~2009年にDTM連覇を達成したシャイダーは、2010年にル・マン24時間レースで表彰台を獲得。2017年と2020年にはスパ24時間、ニュル24時間、そしてWorldRX世界ラリークロス選手権でもポディウムに登壇するなど、カテゴリーを問わず輝かしい実績を残してきた。

 そのほか、TCR規定ツーリングカー最高峰のWTCR世界ツーリングカー・カップやシングルシーターなど、幅広いモータースポーツ分野で才能を発揮してきたシャイダーは、自らレースコースの設計に貢献してきた選手権で初のレースシートを得ることとなった。

「タマラ(・モリナーロ)と一緒にレースドライバーとしてシリーズに参加するのは特別な瞬間だね。イタリアに着いたときは、本来の“チャンピオンシップドライバー“として通常のテストカーでコース設定を担当することになっていたが、今はエキサイト・エナジー・レーシングの一員としてサルディニアに向かう。それは素晴らしい気分さ」と意気込みを語ったシャイダー。

「ここまでの仕事ぶりから、タマラと僕はパフォーマンスの面で非常にうまく調和しており、サルディニアでは良いショーをお見せできると思うよ」

 一方のモリナーロは、すでに“チャンピオンシップドライバー”として開幕戦をCOVID-19で欠場したクララの代役を務めており、イタリア出身の彼女はベネットとのペアで6位入賞を飾るなど、信頼できるパフォーマンスを実証済みだ。

「こうしてサルディニアでの第2戦にも継続参戦できるのは、本当に光栄なこと。私自身のホームイベントでもあり、さらに特別な気分ね」と続けた2017年ERCヨーロッパ・ラリー選手権“レディス・トロフィー”覇者でもあるモリナーロ。

イベント開催地のコースレイアウト作成やアドバイザーロールを担当してきたティモ・シャイダー
イベント開催地のコースレイアウト作成やアドバイザーロールを担当してきたティモ・シャイダー
「イタリアに着いたときは、本来の“チャンピオンシップドライバー”として通常のテストカーでコース設定を担当することになっていた」と明かしたシャイダー
「イタリアに着いたときは、本来の“チャンピオンシップドライバー”として通常のテストカーでコース設定を担当することになっていた」と明かしたシャイダー
2017年ERCヨーロッパ・ラリー選手権“レディス・トロフィー”覇者でもあるタマラ・モリナーロ
2017年ERCヨーロッパ・ラリー選手権“レディス・トロフィー”覇者でもあるタマラ・モリナーロ

 弱冠11歳でモータースポーツのキャリアを開始した彼女は、前述のとおり2017年に8戦中4戦で勝利、40のステージウインを含む圧巻の戦績で、前年のケイティ・マニングスに続きERC“レディス・トロフィー”を獲得すると、2018年にはWRC世界ラリー選手権にステップアップ。WRC2クラスで腕を磨き、2019年には新設ラリークロス・シリーズの『Titans RX』にエントリーし、唯一の女性ドライバーながら複数回の予選ヒート勝利を得て年間総合5位に入った。

 そのモリナーロは、開幕のサウジアラビアに比べてサルディニアでの1戦は「誰にとっても新しいトラックだった開幕戦と違い、今回は大きな挑戦になるでしょうね」と冷静な環境分析を述べた。

「新規開催地のNEOMとは異なり、サルディニアではライバルの面々が昨季の蓄積を持っている。私たちはそれに全力を尽くして挑戦する立場になるし、良いレースができ、競争力があることを願っている」と続けた2020年のイタリア・グラベル選手権レディス王者のモリナーロ。

「ティモとは素晴らしい関係を築いているし、これまで同じ仕事で多くの時間を過ごした私たちが同じチームで走る、それがいかにクールかについてよく話し合ったわ。ほかのドライバーたちのスキルを見るのが夢だったし、間違いなくたくさんの楽しみがあるでしょうね!」

 これにより第2戦の“チャンピオンシップドライバー”は、ジャマイカ出身の実力派ラリークロス選手であるフレイザー・マッコーネルと、病み上がりで競技経験のないクララが務めることになる。

 このドライバー交代劇に関して、選手権のチーフオフィサーを務めるジェームス・テイラーも「彼らの“チャンピオンシップドライバー”としての素晴らしいスティントに続いて、レーシングチームの一員としてシリーズに迎えられるのは素晴らしいこと」だと歓迎の意を示した。

「そして何より、彼らエキサイト・エナジー・レーシングがシリーズに残ることをうれしく思う。代表のオリバー(・ベネット)はジェンソン・バトンと共闘するNitroRX(ナイトロ・ラリークロス)に注力し、さらなる努力を追求したいとの希望があり、ティモとタマラがレースシートを得るに至った」と説明するテイラー。

「言うまでもなく、ティモはさまざまな地形や条件で非常に多くのモータースポーツ分野で活躍した貴重な経験を持っているし、タマラは開幕NEOMでの力強いショーの後、完全にシートを維持するに値するドライバーだと証明した。彼女がホームグラウンドでどのようなドライブを見せるか、今から本当に楽しみだよ」

「ここまでの仕事ぶりから、タマラと僕はパフォーマンスの面で非常にうまく調和している」と、第2戦での活躍を期す
「ここまでの仕事ぶりから、タマラと僕はパフォーマンスの面で非常にうまく調和している」と、第2戦での活躍を期す
代表のオリバー・ベネットはジェンソン・バトンと共闘するナイトロRXに注力する決断を降した
代表のオリバー・ベネットはジェンソン・バトンと共闘するナイトロRXに注力する決断を降した
「第2戦にも継続参戦できるのは、本当に光栄なこと。私自身のホームイベントでもあり、さらに特別な気分」とモリナーロ
「第2戦にも継続参戦できるのは、本当に光栄なこと。私自身のホームイベントでもあり、さらに特別な気分」とモリナーロ