6代目となったホンダのミニバン 新型ステップワゴンに公道初試乗! 相対するは、今年1月にノアとともに一足早くフルモデルチェンジを果たしたトヨタ ヴォクシー。乗り比べたからこそ分かった、ステップワゴンの魅力とは?
※本稿は2022年6月のものです
文/鈴木直也、写真/ベストカー編集部 ほか、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2022年7月26日号
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■シンプルなデザインに戻ったステップワゴンは若いユーザーにも刺さりそう
6代目ステップワゴン、巷ではシンプルな爽やか系スタイリングが話題だ。
アル/ヴェルが大ヒットして以来、ミニバンはオラオラ顔が売れ線だが、それとはハッキリ一線を画すデザインコンセプト。
ぼくはこれを「初代への原点回帰」と捉えているんだけど、「初代ステップワゴンなんて、まだ生まれてないッス」という若いユーザーにも刺さるんじゃないか。そんな予感がある。
なぜそう思うか。これがちょっと説明しづらいのだけれど、一番のポイントは「ミニバンユーザーは世代交代する」ってこと。
「どんなクルマだってユーザーは世代交代するじゃん」と反論されそうだけど、ミニバンのユーザーは子育て真っ盛りの世代が中心でしょ?
セダンみたいに中核ユーザー層がそのまんま高齢化するのではなく、どんどん新規ユーザーが入ってきて、そして卒業してゆく、流動性の高いセグメントという意味だ。
そして、ぼくの見るところ、最近の(特にクルマ好きではない)若者は、総じてマナーがよくて、他人に優しく、争い事を好まない。
そういう彼らが、結婚して子供が生まれてクルマを選ぶ時「もうオラオラ顔じゃないよね」という予感がするわけだ。
■ノア/ヴォクシーとの直接対決でも五分五分の拮抗!
そんな視点で見ると、ステップワゴンのなかでもとりわけ“AIR”がすごくしっくりくる。
コンセプトデザインもAIRから始まったらしく、とにかくシンプルな中に巧妙に上質な佇まいが演出されているのがいい。
初期の売れ筋はSPADAが優勢のようだが、光り物や凸凹を取り去ったAIRのデザインは、iPhoneでミニマリズムに慣れた若い世代にはむしろ自然。
インテリアもSPADAとAIRは対照的だが、シンプル系のエクステリアデザインには、ざっくりした感触のファブリックや明るい色づかいなど、AIRのほうが似合っている。
そんなわけで、今回の新型ステップワゴンの公道試乗会で、ぼくがいちばん気に入ったのはAIRのe:HEV。
一部、SPADAでないと選べない安全装備があるのが気に入らないが、それ以外は文句なくAIRのほうがステップワゴンのコンセプトにマッチしていると思う。
最後に、試乗記なのにインプレっぽい記述が全然ないじゃん、とお叱りを受けるかもしれないので、走りについてまとめて一言。
e:HEVのドライバビリティや燃費に関しては、数字で勝負するとノア/ヴォクに僅差で負けるかもしれないが、事実上同等。
ノンハイブリッドは、ライバルと違って1.5Lターボゆえトルク感が一枚うわ手。そのかわり燃費は走り方次第で、振れ幅がライバルのNA、2Lより大きめだ。
乗り心地を中心としたシャシー性能は、爽やか系のルックスを裏切らず快適性が良好。ガッチリした剛性感ではノア/ヴォク優位。そんな感じでしょうか。
いずれにしても、これまでのミニバントレンドに一石を投じるステップワゴンの提案。大いに注目したいところでございます。
●ホンダ ステップワゴンAIR 主要諸元(e:HEV・FFモデル)
・全長:4800mm(4830mm)
・全幅:1750mm
・全高:1840mm
・ホイールベース:2890mm
・車両重量:1810kg(1740kg ※7人 1730kg ※8人)
・最小回転半径:5.4m
・エンジン:直列4気筒DOHC、1993cc(直列4気筒DOHCターボ、1496cc)
・最高出力:145ps/6200rpm(150ps/5500rpm)
・最大トルク:17.8kgm/3500rpm(20.7kgm/1600-5000rpm)
・モーター出力/トルク:184ps/32.1kgm(ー)
・トランスミッション:━(CVT)
・サスペンション:ストラット/トーションビーム
・タイヤサイズ:205/60R16
・WLTCモード燃費:20.0km/L(13.7km/L)
※()内はSPADA(1.5Lターボ・FFモデル)の値です
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