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<p>「睡眠薬を飲み続けるとやめられなくなる」は本当か | その常識大丈夫? 健康情報総点検 | 狩生聖子 | 毎日新聞「医療プレミア」</p><p>その常識大丈夫? 健康情報総点検:「睡眠薬を飲み続けるとやめられなくなる」は本当か</p><p>なかなか寝付けない、夜中にたびたび起きてしまうなど、不眠に悩む人は少なくないでしょう。それでも「睡眠薬には頼りたくない」という人がいます。「睡眠薬は怖い」という思い込みがあるからかもしれません。そこで、睡眠薬の誤解について、睡眠の研究者で秋田大学医学部精神科学講座教授の三島和夫医師に話を聞きました</p><p>。 最初は副作用の少ない薬から処方 「睡眠薬は一度服用すると、なかなかやめられないのではないか」。このような声はよく聞かれます。三島さんは、「『やめにくい』というのは、『ベンゾ系』といわれる睡眠薬のことでしょう」と言います。 「正しくはベンゾジアゼピン系睡眠薬と言います。このタイプの薬は使っているうちに量が増え、いきなりやめると不眠のぶり返しや動悸(どうき)、発汗など強い禁断症状が起こりやすいなど、いわゆる身体依存が生じやすいことが明らかです。しかし、こうした副作用を厚生労働省も問題視し、添付文書(医療従事者向け解説書)でも注意喚起するなど、今は基本的に最初に処方する薬としては勧められなくなりました」 ベンゾジアゼピン系睡眠薬には、トリアゾラム(商品名:ハルシオン)やエチゾラム(商品名:デパス)など、10種類が以上あります。脳のニューロンと細胞との間で信号を伝達する神経伝達物質の中に、脳の興奮を抑えるγ(ガンマ)-アミノ酪酸 (GABA)という物質があります。このGABAを働かせるGABA-A受容体をベンゾジアゼピン系睡眠薬が間接的に刺激することにより、眠りやすい体内環境を作ります。 しかし、ベンゾジアゼピン系睡眠薬が多く使われていたのは今から20年ほど前までです。前述のように身体依存が出やすいことがわかり、現在は「最初に処方すべきではない薬」とされています。 「『昔からベンゾジアゼピン系睡眠薬を使っていて、他の薬に変えるのが難しい』という患者さんは別として、現在、初診の患者さんにはベンゾジアゼピン系ではない3種類の薬から選ぶことが勧められています」 3種類の薬は、身体依存が起きにくいように開発された「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」と、全く作用機序が異なる「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗(きっこう)薬」です。 メラトニン受容体作動薬は2010年に登場した薬です。体内時計を調節するホルモンであるメラトニンという物質がありますが、この受容体に作用して睡眠リズムを整え、睡眠を誘導する働きをします。オレキシン受容体拮抗薬は14年に登場した最も新しい薬です。脳の覚醒を維持するオレキシンという物質の働きを抑えることで、こちらも睡眠を誘導します。 薬がやめにくいのは不安が原因</p>