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 路線バスを普段から使っているひとなら一度は考えること、それは「うちの前で降ろしてほしい」という願い!  ならばタクシーに乗れと思うなかれ、路線バスが自宅前にバス停があるとしたら超幸せではないか。でも、この願いを叶えることは可能なのか!?  そしてそもそもバス停の名前って誰がどうやって決めてるの!?

文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)


実は相当無理がある!

 結論から言うと「俺の家バス停」は残念ながらまずできない。リアルにそんなことを考えている人はそういないだろうとは思うが、停留所名や場所は様々な要因により決定される。その一例を紹介しよう。

 新たにバス路線を開設しようとする場合、バス事業者が路線を検討するわけだが、ルートや停留所の数や位置を周囲の交通や需要などを見込んで決定する。

バス停の作り方のパターンいろいろ

 自治体が主体のコミュニケーションバスの場合は、プロである実際にバスを運営する事業者が中心となり自治体の意向をふまえて素案を作る。自治体は並行して沿線の自治会等を通じて住民の意見を聞き、その意見を反映させながら路線を完成させていく。

 その際に停留所名は仮称として盛り込まれるが、そのまま正式な停留所名として設置されるケースが圧倒的に多い。停留所名のパターンとしては、地名や住居表示を採用するのがもっとも多い。これは〇〇一丁目という具合に住居表示をそのまま停留所名とするものだ。バスを利用する住民にはわかりやすい。

西鉄バス北九州・千代四丁目

 次に、駅や営業所やバスターミナルなどの交通ターミナルを停留所名とするパターンだ。〇〇駅前がこれにあたる。余談だが、鉄道駅を停留所名にする場合、「駅前」とするのか「駅」とするのかは事業者による。

閑話休題「新橋」のややこしさ

 一例として首都圏では都営バスは概ね「駅前」を採用し、京成バスは「駅」を採用する傾向にあるために、同じ駅に都営バスと京成バスが乗り入れた場合には停留所名が一致しない場合があるが、これは実用上まったく問題のないケースだ。

 同じ都営バスでも新橋駅前のバスロータリーに入る路線は「新橋駅前」だが、同じ駅前の路上で乗降扱いをする業10系統だけは「新橋」停留所と区別されているケースもある。同じ「新橋」を称する東京BRTは全く違う場所にあるし、これに比較的近い京王バスの052系統は「新橋駅」と称するので、ご利用の際はご注意を。

しかし「俺の家」がランドマークなら可能か?

 話はそれたが次のパターンはランドマークだ。ショッピングセンターや百貨店等の大規模小売店舗や、有名なビル、役所や警察署等の公共機関、病院はバス停の名称になりやすい。

 ショッピングセンターの場合は自社の敷地内にバス停を設置してもらうためにバスベイやバスターミナルを提供してバス路線を誘致するケースはある。これは形は違うが「俺の店」バス停ということになろうか。

 実際には自治体の条例や都道府県警の基準に準拠したり、バス停や待合所やベンチの設置については使用許可や占有許可等の手続きが必要になり、鉄道駅とまでは言わないものの、多くの労力とお金をかけて設置されている。

 これはバス停の移動や新設の際も同様で、住民の請願や申し出により行われる場合があるが、理由にもよるものの手続きとしては同じだ。いずれにせよ「俺の家」バス停は「たまたま」に期待するしかない。

 逆に家の前のバス停を嫌い、移動を願い出るケースも少なくない。バス停はどうしても乗降客の通行で賑やかになってしまうため、家の前にバス停があるのがいいとばかりも言えないことは付記しておく。

投稿 「俺の家」バス停は実現できる!? バス停の名前はどうやって決めるのか自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。