米下院議長ペロシ氏の台湾訪問について、ヤフーの台湾版サイト「YAHOO奇摩」が、ネット上で世論調査を実施している。集計は8月3日〜7日まで行われる予定で、8月5日時点では約20万人が回答している。
8月5日時点での主な質問と回答結果は、以下のようになっている(太字は筆者による)。
「ペロシ氏は台湾の民主主義を守る決意を改めて表明しましたが、アメリカは台湾防衛に協力すると信じていますか?」
とても信じている・・・・・・・8.9%
まあまあ信じている・・・・・・9.8%
あまり信じていない・・・・・・16.5%
まったく信じていない・・・・・62.5%
分からない・・・・・・・・・・2.3%
「現在の中国と台湾の関係についてどう思いますか?」
とても安全・・・・・・・・5.7%
まあまあ安全・・・・・・・18.5%
あまり安全ではない・・・・32.3%
まったく安全ではない・・・41.2%
わからない・・・・・・・・2.3%
「中国はその後、経済や武力などを通じて威嚇を続けていますが、どう思いますか?」
とても心配だ・・・・・・・・38.6%
まあまあ心配だ・・・・・・・31.8%
あまり心配してない・・・・・15.5%
まったく心配していない・・・11%
わからない・・・・・・・・・3.1%
調査結果を見ると、8割近い回答者がアメリカと台湾の間の安全保障の枠組みを信頼していないことが分かる。また、約7割の回答者がペロシ氏訪問後の中国との関係について、不安感や懸念を抱いていることが示されている。ペロシ氏の訪問を歓迎しつつも、それでも本当にアメリカが台湾を守ってくれるかどうか不安があるという心境なのだろうか。
ただ、ネット調査は誰でも参加できる状態であるため、中国大陸など台湾の外からクリックした票が含まれている可能性も考えられる。新聞社などが行った信頼性の高い調査ではなく、あくまでネットアンケートの参考値として見ておく必要がありそうだ。
「きっと衝突が起きる」の声も
台湾現地ではペロシ氏の訪問を歓迎した一方で、中国との緊張感の高まりを懸念する声もあるようだ。台湾在住の30代女性に話を聞くと、
私自身は来訪を歓迎しているけれど、テレビを見ていると「本当に戦争になったらどうするんだ」「いや、戦争など起きない」等々、さまざまな意見が流れています。知り合いのなかには、「これからきっと衝突が起きるだろうが、台湾の苦境を突破ため戦わなくてはいけない」と強気な人もいます。
と語っていた。
また、台湾メディアによると
ペロシ氏の訪問後、「全国工業総会」など台湾の9つの商工団体が見解を表明した。商工団体は、両岸関係は現在緊張しているものの、経済や産業など社会的に多くの面で緊密な相互関係を維持している。
と中国と台湾が密接な関係にあることを強調した上で、
平和で安定的な発展と安心できる暮らしこそが、中国と台湾双方の大多数の人々の願いだ
と述べた。日本からは一見すると「歓迎ムード一色」のようにも見えてしまうが、現地の人々の間では、期待や不安などさまざまな思いが入り混じっているのかもしれない。