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 アメリカ・ウイスコンシン州エルクハート・レイクに位置する伝統のトラック、ロード・アメリカで開催された2022年NASCARカップシリーズ第18戦『クウィック・トリップ250』は、ポールシッターの前戦勝者チェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を降したタイラー・レディック(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が、カップ参戦92戦目にして待望の初優勝を達成した。

 そのレディックは今季5人目のカップシリーズ初優勝者となった上、シーズン13番目の勝者に。また、テキサスCOTAでのロス・チャスティン(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)、ソノマのダニエル・スアレス(トラックハウス・レーシングチーム/シボレー・カマロ)に続き、今季はロードコースの全戦でシリーズ初優勝者が誕生することとなった。

 チェイス・ブリスコ(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)のプラクティス最速で幕を明けた7月2~3日の週末は、予選に入っても14号車のマスタングがタイムボードの最上位に陣取ったままセッションが進むと、最後の最後で前戦ウイナーのエリオットが意地を見せる展開に。

 2020年チャンピオンが最後のアタックでベストを更新し、2番手ブリスコ、3番手にディフェンディングチャンピオンの僚友カイル・ラーソン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)を従え、今季2度目のポールウイナーとなった。

「うまくいけば、明日は(勝利を飾った)昨季と同じ結果になるだろうね」と、すでに連勝への手応えを口にしたエリオット。「これが重要な点だが、エンジンワークショップからすべての部門が最善の努力を重ね、ここに最速のクルマを持って来られた。ヘンドリック・モータースポーツのクルー全員に感謝したい」と、変わらずチームへの謝意を語ったエリオット。

「このトラックではオーバーテイクするのが本当に、本当に難しいんだ。ロードコースではつねにそうだが、明日はできる限りトラックの位置を維持してみせるよ」

 迎えた決勝は随所でサイド・バイ・サイド、ブレーキング勝負が繰り広げられながらも、コーションのない整然とした展開で進むと、ステージ1は2番手発進のブリスコが制し、オースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)、アレックス・ボウマン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)と続いていく。

セッション最後に予選最速を奪った前戦勝者チェイス・エリオット(Hendrick Motorsports/シボレー・カマロ)
エンジン換装に加え、決勝オープニングでは接触からスピンアウトと、不遇の週末となったカイル・ブッシュ(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)
2番手発進のチェイス・ブリスコ(Stewart-Haas Racing/フォード・マスタング)がまずはステージ1を制する

■「レースを通じてエリオットと同じ位置にいることができた」と勝因を語ったレディック

 続くステージ2もアンダーグリーンでのピット作業を強いられるなか、ライアン・ブレイニー(スチュワート・ハース・レーシング/フォード・マスタング)が勝利し、エリオットは9番手、予選4番手からスタートしていたレディックは10番手で通過。直接対決の構図で最終ステージへと向かう。

 フロントロウから1対1のマッチアップを繰り広げた2台は、お互いにピット作業のタイミングを合わせると、残り17周の時点でターン6から7への攻防でインサイドを奪ったレディックが、華麗なオーバーテイクを成功させる。

 続く周回では、ピットストップのタイミングで暫定首位にいたハリソン・バートン(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)をかわしたレディックが、残り16周でついにラップリーダーに立ち、そのまま徐々にエリオットとのマージンを広げる速さを披露。最終的に3.3秒差をつけたレディックが、最高峰での初勝利を手にした。

「エリオットが速いことは確かにわかっていたが、レースを通じて彼と同じ位置にいることができた。最後のピットシークエンスを同期させれば、彼の近くで素晴らしいショットを決めるチャンスもできるだろう、と考えていたんだ」と、喜びを語ったレディック。

「残念ながらピットで前に出ることはなかったが、ありがたいことにターン6で彼がわずかにミスをした。僕たちは手の届くところにいて、ちょうど良い機会をモノにすることができたよ」と続けたレディック。

「彼は僕を追い詰めるつもりだっただろうし、最後は僕もいくつかの間違いを犯し始め、ブレーキのケアをする必要がでてきた。でも、それも心配いらなかった、本当に良い形だったね。なんて日だろう!」

 この日最多の36周をリードしたエリオットが2位となり、3位にラーソンとヘンドリック・モータースポーツ勢が続くトップ3に。その背後にはチャスティン、スアレスと、2022年“台風の目”とも言えるトラックハウス・レーシング勢が並ぶ結果となった。

 一方、同じく併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第16戦もホワイトフラッグまで、ポールシッターのラーソンが主導権を握り続けたものの、タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)がセクター1からターン3へのブレーキング勝負を制し、大逆転での今季4勝目を飾っている。

ターン6から7への攻防でインサイドを奪ったレディックが、華麗なオーバーテイクを成功させる
「我々が勝者の輪に入れるために何が必要かについて話し合ったんだ」と、自身も殿堂入りのリチャード・チルドレス代表
NASCAR Xfinity Series第16戦は、カイル・ラーソンを撃破したタイ・ギブス(Joe Gibbs Racing/トヨタ・カムリ)が今季4勝目を飾っている