M2チップを搭載した新型MacBook Airの発売を間近に控えているなか、一部のインテルチップ搭載WindowsノートPCメーカーが、売上に悪影響が及ぶことを「心配」しているとの噂話が伝えられている。
台湾の電子部品業界情報誌Digitimesによると、「あるWintelブランドのベンダーは、1,000〜1,500米ドルの価格帯ではMacBook Airが他のハイエンドノートPCを押しのけてしまうのではないかと予想している」とのことだ。「Wintel」とは、インテル製チップを搭載したWindowsノートPCのことである。
また、「M2プロセッサーやカメラ、筐体のアップグレードにより、新型MacBook Airのわずかな価格上昇は消費者にとって許容範囲に留まる」とも付け加えられている。日本では、M1 MacBook Air(2020年当時)からM2 MacBook Airの価格差は5万円近い(税込11万5,280円~から16万4,800円~)が、米国では999ドルから1,199ドルと200ドルに過ぎず、「わずか」と受け止められているのかもしれない。
さらにWindowsノートPCメーカーは、インフレと景気後退による消費者心理の弱まりも懸念しているそうだ。まだM2 MacBook Airの発売日は発表されていないが、今月8日(米現地時間)に予約受付を開始、15日に発売との噂話もある。
アップルが、Macをインテル製プロセッサーから独自開発のAppleシリコンに移行すると発表してから、約2年が経った。すでに移行はほぼ完了しており、販売中のインテルMacはMac mini上位モデルとMac Proのみ。いずれも、今年後半にはAppleシリコン搭載の後継モデルが投入されると見られている。
Appleシリコンは「消費電力のわりに高性能」を武器として、Macの競争力を底上げしてきた。初号機の1つであるM1 MacBook Air(999ドル)は、インテルベースの16インチMacBook Pro(2,999ドル)をベンチマークで上回り、最新のM2 MacBook ProもインテルMac Proのベースモデルをマルチコア性能で凌駕している。
とはいえ、Appleシリコンの優位はあくまで「限られた消費電力の元で」に過ぎない。たとえばインテルの第12世代Core i9は、消費電力の制限がなければM1 Maxを超えているほか、M1 Maxの内蔵GPU性能もPS5(5万円程度である)を超えるかどうか程度であることは判明している。
今後はモバイルPCでは「バッテリー持ちがよく、そこそこ速い」MacBookが、消費電力を度外視できるゲーミングPCではWindows、という棲み分けが進むのかもしれない。