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 イギリスのノーサンプトンシャー警察は、F1第10戦イギリスGPの日曜日にシルバーストン・サーキットのコース内に立ち入り抗議行動を行った気候変動活動団体『Just Stop Oil』のメンバー7名を逮捕した。

 抗議者たちは、決勝レースのオープニングラップ中、ウェリントン・ストレートに架かる橋の近くでバリアを飛び越えたうえ、走行するマシンを視界に入れながらコース脇を歩いていた。

 幸いなことに、その直前、レースがスタートしてすぐに発生したアルファロメオの周冠宇を巻き込む大規模クラッシュによって、レッドフラッグが出されていた。そんななかで、彼らは抗議行動を実施に移し、すべてのマシンが通過した後のコースに座り込んだ。その後、マーシャルが彼らをコースから引き離し、警察の到着を待った。

2022年F1第10戦イギリスGP 決勝
2022年F1第10戦イギリスGP決勝 シルバーストン・サーキットに警察が駆けつけた

 金曜日の時点で、ノーサンプトンシャー警察には、抗議行動が予定されているという「確かな情報」が寄せられていたという。イベントの警備を指揮したトム・トンプソン警部は、「この集団が、決勝レースの日よりも前に我々が出した警告を無視し、コース内に立ち入るという非常に危険な決断を下したことに、私は大変失望している」と述べた。

「我々は、このコースでイベントを平穏に進めたいと考えていたが、彼らはドライバー、マーシャル、ボランティアたちの命を危機にさらすことを選んだ」

「こうした行動が決断されたことは非常に残念だ」

 偶然、レースではレッドフラッグが出ていたおかげで、危険はある程度緩和されたものの、F1のCEOを務めるステファノ・ドメニカリは、抗議者たちの「完全に無責任かつ危険な行動」が「多くの命を危険にさらした」として強く非難した。

「誰であれ、さまざまな問題について意見を述べる権利をもっている。しかし、人の命を危険にさらす権利は誰にもない」と、ドメニカリは語った。

「少人数の集団が本日取った行動は、完全に無責任かつ危険なものだ」

「優れた仕事をした警察に感謝したい。そして、我々は今回の件がドライバー、マーシャル、ファン、そして彼ら自身の安全をリスクにさらしたことについて無関心でいるべきではない」

 レース後の記者会見で、7度の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンは、抗議者たちを支持するかのような発言を行い、少なからぬ人たちを驚かせた。

「僕は、人々がこの地球のために戦うことは素晴らしいと思う。そのような人を、僕たちはもっと多く必要としている」と、日曜日のレースを3位でフィニッシュしたハミルトンは語った。

 メルセデスは、その後声明を出し、ハミルトンの発言について説明した。「ルイスは、彼らの抗議する権利を支持したが、彼らが選んだやり方を支持したわけではない。それは彼らと他の人々の安全を損なうものだ」

 フェラーリのシャルル・ルクレールは、オープニングラップでハミルトンのすぐ後ろを走っているときに、コース脇を歩くオレンジのTシャツを着た集団に気がついたという。

「僕は彼らをマーシャルだと思ったんだ。おそらく、彼らがオレンジ色を身につけていたからだろうね」とルクレールは述べた。「そこには何かが書かれていたけれど、僕たちは高速で走っていたから、文字は読めなかった」

 アルピーヌF1のエステバン・オコンは、公のイベントで混乱をもたらす事象がどんどん増えているようだと語った。

「最近、こうしたことがやや多すぎる気がするね。全仏オープンで起こったこともそのひとつだ。フランスでは、僕もかなり多く見かけている。路上でも、高速道路でもね」

「つまり、なかには理解できる考え方もある。でも、彼らの命が危険にさらされるんだ。それはあってはならないよ」