原材料価格や物流費の高騰を受け、食品やサービスなど幅広い分野で値上げが相次いでいるが、今度はワインだ。今秋発売されるフランス産の新酒ワイン「ボージョレ・ヌーボー」が最大2.2倍に値上げされるという。5日、輸入元のサントリーが発表した。
ワイン愛好家には悲報のはずだが…
輸送費の高騰に加え、今年は商品価格自体の上昇や急激な円安も響いた。「ジョルジュ デュブッフ ボジョレー ヌーヴォー 2022セレクション ド デュブッフ」(750ml)は、税込み3850円で前年の1.4倍、375ml入りは3080円と2.2倍になる。
ワイン愛好家には悲報というしかないが、度重なる値上げに慣れてしまったのか、ネット民らの反応は意外にも冷静。昨今の情勢を考えれば値上げもやむなし、と理解を示す。
今のフランスの物価上昇と輸送費と円安を考えれば、当然だろうな。これまで頑張って価格を抑えてきた部分があるので、その(無駄な)努力を続ければ2倍以内に値上げを抑えることは可能だと思うけれど、それでもある程度は値上げしないと採算が合わないし
円安、原油高の中ではある程度の値上げは仕方ないと思います。解禁日が話題になるワインですが、倍となるとこれまでとは違うカテゴリーの商品になったといえそうです。値段を倍にしてもどれだけ売れるのかが、今後の価格戦略を見る上で気になるところ
すでに値上げされている冷凍食品や調味料など、日常的に必要な食品と違って、ワインは嗜好品。それもボージョレ・ヌーボーは年に一度のお楽しみだけに、値上げが家計を直撃することがないと考えているようだ。
これ元々はバブルの頃の贅沢文化なわけですよね? その年のワインの出来を確かめるもので、ワインにどっぷりハマっている人が楽しむもの、大衆向けの文化では無いのでしょ?ワインの年代まで気にするようなコアなファンが飲むには、そんなに大問題には見えません。年に一度、1本の値段なのですし、そんなに打撃は無いと思われます
一方で、嗜好品だから酒を飲まない自分には値上げは無関係と考えるのは間違いだと警鐘を鳴らし、来たる参院選に思いを馳せる声も。
嗜好品だから自分には関係ない、という考えはやめたほうがいい。うなぎ、本マグロは東アジアとの競合だったが、今後は全食品、全エネルギーの獲得を世界と戦っていかなくてはならない。円の威力が激減した現在、海千山千の世界と伍して戦える政治家はいるのか。今度の参院選は参院選と言えど、そのあたりも評価ポイントに加えてみたい。
存在意義に疑問を呈す声も
ボージョレ・ヌーボーは毎年解禁日が11月の第3木曜日に設定され、この時期になるとメディアで報じられてきたように、「ボージョレ解禁!」などと出席者らが乾杯するイベントのイメージが強い。なんとなくバブルの匂いがするが、それもそのはず、日本でボージョレ・ヌーボーが大ブームになったのは1980年代後半。日本列島がバブル景気に沸いた時期だ。
それまでの昭和の時代はワインといえば、サントリーの「赤玉ポートワイン」のような国産物が一般的だったが、ボージョレ・ヌーボーの一大ブームによってフランス産のみならず外国産ワインを愛飲することが定着した。当時はボージョレ・ヌーボーの解禁が“季節の風物詩”だったぐらいだ。
バブル崩壊とともにボージョレ・ヌーボーのブームはいったん沈静化したが、90年代後半からバブル期を上回る規模で再びブームとなった。そして、この90年代の再ブームを牽引したのが、他ならぬサントリーだ。同社では仏ジョルジュ デュブッフ社と提携した96年から25年以上にわたってわたって“年に一度、ボージョレ・ヌーボーの解禁を楽しむ”という生活文化を伝承してきた。
だが、経済状況の悪化に伴い、さらにここ数年はコロナ禍もあって、ボージョレ・ヌーボーの解禁を持て囃す声も小さくなっていた。ネット上ではボージョレ・ヌーボーにそこまでの価値があるのかと値上げに関係なく、「そもそも美味しくない」とその存在意義に疑問を呈す声も。
こう言ってはなんだけど、ボージョレ・ヌーボーってそんなにありがたがるワインなのかね? 新酒祭りの酒でしょ。毎年1本位はスーパーで買うけど、高いだけで味は今一歩かな
もともとワインのお祭りみたいな位置づけで、新酒の試飲的な意味合いなので、まだまだ熟成されておらず、個人的にはあまり美味しいとは思わない
若者の酒離れが叫ばれて久しいが、ボージョレ・ヌーボー値上げはさらにその動きに拍車をかけるのか。「年に一度、新酒の解禁を楽しむ”時間をお客様にお届け」とサントリーがいうように、解禁イベントが盛り上がればいいのだが……。