立憲民主党の笠浩史衆院議員(比例南関東)が5日、参院選神奈川選挙区で同党が公認している2人の候補者について、党本部が情勢調査で上位の候補者の当選を優先する方針を固めたとツイッターに投稿した。
共倒れを避けるためとはいえ、片方の候補者への支援注力を公然と明らかにするのは極めて異例。情勢下位の候補者を実質的に見捨てるような発言だとしてネット上で波紋を広げている。
参院選で立民は、JAXA職員の水野素子氏、前神奈川県議の寺崎雄介氏の2新人を擁立している。笠氏はこの日午前、ツイッターで「神奈川選挙区では立憲民主党の水野、寺崎両候補とも全力で頑張っていますが、マスコミ等の調査では厳しい情勢になっています」との認識を示した上で、「これを受けて、昨日党本部の西村幹事長が阿部神奈川県連代表らと会談し、各情勢調査で上位の水野もとこ候補の当選を最優先とする方針を示しました。水野候補の4位以内当選を目指して、厳しい判断ですが、今日から水野候補に集中して支援してまいります」と述べた。
参院選も残すところ5日となりました。
神奈川選挙区では立憲民主党の水野、寺崎両候補とも全力で頑張っていますが、マスコミ等の調査では厳しい情勢になっています。
これを受けて、昨日党本部の西村幹事長が阿部神奈川県連代表らと会談し、各情勢調査で上位の水野もとこ候補の当選を最優先とする方針— 笠ひろふみ(立憲民主党・衆議院議員) (@hirofumi_ryu) July 5, 2022
笠氏のこのツイートには1日で200以上のリプライが書き込まれ、
「今」ですか
見捨てられてカアイソウ….
事実上の寺崎候補リストラ宣言。
寺崎さんを応援したくなってきた
などと唖然とする人や、寺崎氏に同情する人が続出。期日前投票が既に始まっていることから支持者などから
寺崎候補に投票した有権者のことをあなたはどう考えているのですか?
期日前で寺崎候補に投票した人の票は、無駄になりますよね?寺崎候補に投票した人にとっては、このタイミングでの方針転換はあり得ないと思います。
などの反発を生んでいた。
元経産官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は、笠氏のツイートを引用し、「オレが寺崎候補だったらこんなの立ち直れないよ。人前でも泣きかねんよ」と同情した上で、「立憲民主党、選挙中に堂々と特定候補者のハシゴ外すのはさすがにかわいそうだろう。最前線で戦ってる部隊に補給送るのやめるみたいなもんやぞ」と疑問を呈していた。
立憲民主党、選挙中に堂々と特定候補者のハシゴ外すのはさすがにかわいそうだろう。最前線で戦ってる部隊に補給送るのやめるみたいなもんやぞ。 https://t.co/p8pisux450
— 宇佐美典也 (@usaminoriya) July 5, 2022
一方、同じ笠氏と同じ立民神奈川県連所属で、寺崎氏を支援する中谷一馬衆院議員(比例南関東)は昼過ぎ、「排除の論理には絶対に負けません」と投稿。
排除の論理には絶対に負けません。
— 衆議院議員中谷一馬 立憲民主党デジタル政策PT座長 & 新型コロナウイルス対策本部事務局長 (@kazuma_nakatani) July 5, 2022
夜には、「寺崎さんの当選がこの国をより良くするとの信念と確信を持って、当選に向けて全力を尽くしたいと考えておりますので、神奈川県民の皆様におかれましては、最終最後までご注目、お力添えのほどよろしくお願い申し上げます」と、支援を訴えた。
#てらさき雄介 7月6日 街宣日程🎤
寺崎さんの当選がこの国をより良くするとの信念と確信を持って、当選に向けて全力を尽くしたいと考えておりますので、神奈川県民の皆様におかれましては、最終最後までご注目、お力添えのほどよろしくお願い申し上げます🙏#NeverGiveUp#参議院#神奈川選挙区 pic.twitter.com/PrAHbMfukZ— 衆議院議員中谷一馬 立憲民主党デジタル政策PT座長 & 新型コロナウイルス対策本部事務局長 (@kazuma_nakatani) July 5, 2022
寺崎氏本人はツイートで言及こそしていないものの、自民・麻生太郎副総裁が「弱い子がいじめられる」と発言した報道を引用する形で、「弱い者がいじめられる社会を絶対に許してはいけません。変えよう」と述べたり、「排除の論理からは何も生まれない。多様な価値観を大切にする政治が必要です。共に変えよう」と訴えたりするなど、“意味深”なツイートを連発。
弱い者がいじめられる社会を絶対に許してはいけません。変えよう。https://t.co/EZms6BI7Sl#参議院選挙#参議院#参院選#神奈川
— てらさき雄介 立憲民主党 参議院新人 (神奈川選挙区) (@terasakiyusuke) July 5, 2022
ネット民からは
わかる…わかるぞ!その気持ち。
ここから寺崎さんが巻き返したら痛快だと思う
いじめられてる寺崎候補が言うと言葉に重みがありますね。
などの意見が続々と書き込まれていた。
JX通信社が4日に発表した中間情勢では、水野氏は、維新、公明、共産の候補者と「当選圏内入りをめぐって争っている」一方で、寺崎氏の支持は広がっていない。朝日新聞が5日夜に報じた情勢では、選挙区最後の5議席目を、水野氏と共産候補が競る展開で、寺崎氏は「巻き返しに懸命」と出遅れを示唆している。地元紙の神奈川新聞はこの日深夜、立民の事実上の一本化を報じたが、県連内部で反発が起きたことも併せて伝えている。
そもそも立民は野党第1党でありながら、報道各社の政党支持率で自民党に大きく水を開けられ続け、NHKが5日夜に報じた最新の調査でも自民(35.6%)に対し、立民は5.8%と維新(5.4%)を辛うじて抜いて野党第1党の面目を保った格好だ。神奈川選挙区は今回、補欠選挙と併せて実施するため、定数を1増の5と異例の展開ではあったものの、旧民主党系では、国民も候補を擁立しており、支持層の分散が懸念される中で2候補を擁立。“強気”の選挙戦略を実行し、加えて投票日近くの一本化“表明”には選挙戦の結果次第で責任論が出るのは必至だ。
2013年参院選では、当時の民主党が東京選挙区で当初は党勢が苦しい中で、2人の現職をそのまま公認。しかし世論調査の数字から公示の2日前に1人の公認を取り消して波紋を呼び、2人とも共倒れになったケースがある。今回の立民執行部の判断は吉と出るのだろうか。