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Image:Apple

日本の化学製品サプライヤーである昭和電工は、台湾TSMCに半導体材料を供給している企業である。その最高財務責任者(CFO)である染宮秀樹氏が、原材料価格の高騰が止まらないなか実施した大幅な値上げに言及しつつ、今後さらに引き上げる可能性を警告している。

米Bloombergのインタビューにて、染宮CFOは「今年の材料業界企業に共通する大きなテーマは、顧客にどれだけのコスト負担を納得してもらえるか、ということだ。現在の市場の動きでは、これまで計算していた金額の2倍を要求されることになる」と語っている。

サプライチェーンの上流に位置する主要サプライヤーである昭和電工が値上げすることによって、アップルなどTSMCの顧客にも、コスト上昇分を価格に転嫁するよう圧力がかかると予想される。さらに染宮氏はBloombergに対し、少なくとも2023年までは状況が大きく改善することはないだろうと述べている。

今年5月にBloombergは、TSMC(や競合するサムスン)が顧客にかなりの値上げを警告している最中だと報じていた。これは2021年に20%もの値上げをしたことに続くもので、過去10年でも最大のチップ価格の上昇だと言われている。

また昨年、日経新聞の英字メディアNikkei Asiaは、アップルがチップ価格の値上げ分をユーザーに転嫁する可能性が高いと警告していた。

iPhoneフラグシップモデルの価格は、2017年のiPhone XからiPhone 13 Proに至るまで999ドル~が維持されており、今のところチップ価格の上昇は反映されていない。

今年秋の通常価格モデル「iPhone 14」「iPhone 14 Max」は、iPhone 13と同じA15 Bionicチップを引き継ぐとの見方が有力だが、もしそうなるとしたら、チップを供給するTSMCからの値上げ圧力も、その理由かもしれない。