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AIRとSPADA どっちが買い? わくわくゲートはなぜ廃止?? さらに知りたい!! ホンダ新型ステップワゴンを超深掘り

 ライバルのノア/ヴォクシーが先行する中、2022年5月に満を持して登場したホンダ ステップワゴン。超すっきりフェイスのスタイリッシュミニバンだ。

 AIRとSPADA、ふたつの個性でアピールするステップワゴンを徹底解剖しつつ、ライバルのノア/ヴォクシーとも比較、どれが「買い」なのかを解き明かしていく!

※本稿は2022年5月のものです
文/渡辺陽一郎、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年6月26日号

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■もっと知りたい!! 新型ステップワゴンをQ&Aで解剖する

中央が最も6代目ステップワゴンらしさを感じさせる「AIR」で、両サイドが「SPADA」

 6代目となった新型ステップワゴン。ここでは「Q&A」形式でステップワゴンを深掘りしていこう。

Q:新型ステップワゴンはスッキリしたフロントマスクで、いわゆる“オラオラ顔”ではないけれど、その狙いは?

A:このカテゴリー、ノア/ヴォクシー、セレナとステップワゴンの三つ巴のライバル関係。ライバルとは真反対のキャラクターで勝負をかけるのが新型ステップワゴンの狙い。AIRとSPADAで明確に個性を分けているが、SPADAもけっして押し出しの強いフロントマスクではない。

「メインターゲットは30歳代のファミリー。この世代は自身が子供の頃に自宅にミニバンがあった、言わばミニバンネイティブ。ミニバンの本質である室内の使い勝手をしっかりと仕上げ、さらに安心感のある走りの質を高めました」と蟻坂篤史LPLは言う。

Q:先代型で特徴だった「わくわくゲート」はなぜやめてしまったのか?

A:こちらも蟻坂LPLに聞いてみた。

「当然論議はありました。継続するべきという意見も根強かったのですが、ユーザー調査をすると、特に先代型ステップワゴンを検討しながら買わなかった方の多くが、リアゲートの横開きの必要性を感じない、と回答していました。

 また、左右非対称のテールゲートデザインを嫌う声も多かった。わくわくゲートをやめることで後部からの乗降性を考慮しなくていいので、室内空間の設計自由度が高まります。そちらを優先した、ということです」とのこと。

Q:サードシートの床下収納は譲れないポイントなのか?

A:蟻坂LPLは「絶対に譲れないポイント」と断言。ライバル2車のサードシートは左右に跳ね上げるタイプだが、これだと荷室の横幅を狭めてしまう。

 新型ノア/ヴォクシーでは3列目側窓部分に収まるようにチップアップするため、荷室横幅の犠牲は最小限だが、「3列目を収納して2列目をロングスライドした時、窓が塞がれてしまうので、チップアップは考えませんでした」と蟻坂LPL。

 先代型ではわくわくゲートからの乗降性を確保するためにリアバンパー開口を500mm程度に低くする必要があった。

 そのぶん荷室フロアも低くなり、3列目シートを収納する高さが狭く、3列目シートのサイズを小さくしなければならなかった。

 わくわくゲートを廃止したことでフロアを30mm程度高くすることができ、背もたれ高を45mm高く、座面クッション厚を21mm厚くしたことで、座り心地が格段によくなっているのだ。

Q:室内空間の工夫はどこにある?

A:インパネの上面を水平なラインとすることでドライバーの視界が直線的に広がるようにしている。またAピラーを70mm後退させることで右左折時のドライバーの視界を確保。

 2列目3列目の乗員にとっては、側窓の下端ラインを直線的にすることで視界が安定し、乗り物酔いをしにくくなるのだという。

 また、1列目→2列目→3列目と段階的にヒップポイントを高くすることで前方視界を確保。2列目シートのヘッドレストは高さを抑えた横長形状で、3列目乗員の圧迫感を減らすなどの工夫が込められている。

■渡辺陽一郎が徹底解剖!! ステップワゴンvsノア/ヴォクシー、本当の”お値打ち車”はどっち!?

トヨタ ノア。ステップワゴンとノア/ヴォクシーがほぼ時を同じく新型にモデルチェンジしたことで、より両車のライバル関係は色濃くなった。価格面でも両車は拮抗する

 ステップワゴンのグレード構成は、AIR(エア)と外観の存在感が強いSPADA(スパーダ)に大別され、パワーユニットは1・5Lターボとe:HEVを用意。

 ターボでは4WDを選べるが、e:HEVは2WDのみだ。e:HEVの価格はターボよりも38万3900円高いが、ハイブリッドの相場を考えると割安な部類に入る。

 スパーダの価格はエアに比べて約26万円高く、それに見合う装備が加わる。

 後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットインフォメーション、曲がる方向を照らすLEDアクティブコーナリングライト、前席シートヒーター、オットマン、リアゲートの電動機能など、人気の高い安全/実用装備を豊富に追加した。

 最上級のスパーダプレミアムラインは、スパーダに17万円相当の価値を加えたが、価格の上乗せは20万円少々に達する。割高感があるが、乗り心地は17インチタイヤの装着によって16インチのスパーダよりも少し硬い。従って中級のe:HEVスパーダ(364万1000円)が最も買い得だ。

 ノア&ヴォクシーでは、ノアの価格が主に販売戦略上の理由で5〜7万円安い。そのためにノアを選ぶと、ヴォクシーと同じ予算で100V・1500Wの電源コンセントなどをオプション装着できる。ノアには標準ボディとエアロ仕様があり、後者は7〜8万円高いが、売却時の価値を考えるとエアロが割安だ。

 パワーユニットは、2Lのノーマルエンジンとハイブリッドがあり、両タイプの価格差がエアロ仕様では35万円に収まる。ハイブリッドは購入時に納める税額も約13万円安く、実質差額は22万円に縮まる。

 ノア&ヴォクシーではノアにエアロパーツを装着してハイブリッドを搭載する最上級のノアS-Z(367万円)が一番買い得だ。

 そこでステップワゴンe:HEVスパーダと、ノアハイブリッドS-Zを比べる。価格はほぼ同じだ。WLTCモード燃費は、ステップワゴンe:HEVスパーダが19.6km/L、ノアハイブリッドS-Zは23.0km/Lになる。

 燃費数値上は、ノアはステップワゴンに比べて燃料代を15%節約できる。衝突被害軽減ブレーキもノアが先進的で、右左折時にも作動して、直進車両や横断歩道上の歩行者も検知できる。

 そのほかの装備を比べると、ステップワゴンスパーダには、ブラインドスポットインフォメーション、LEDアクティブコーナリングライト、2列目シートのオットマン、リアゲートの電動開閉機能が標準装着される。これらはノアS-Zではオプションか、もしくは非設定だ。

■ステップワゴンの仕様別価格差
e:HEVはFFのみの設定
e:HEVと1.5Lターボの価格差は38万3900円
1.5LターボのFFと4WDの価格差
– AIR:24万2000円
SPADA:22万円
– SPADAプレミアムライン:19万0300円
– 8人乗りは7人乗り+2万2000円

 逆にノアS-Zには、100V・1500Wの電源コンセント、ディスプレイオーディオ、通信機能などが標準装着される。

 アルミホイールは17インチだ。リアゲートには、任意の位置で止めて、狭い場所での開閉性を向上させるフリーストップ機能も採用した。それでも装備の充実度は、ステップワゴンスパーダが勝る。

 ノアでは各種の豊富なオプションに注目したい。

 高速道路における渋滞時に、ステアリングホイールから手を離しても運転支援機能が作動するアドバンストドライブ、ドライバーが降車して車外からスマートフォンで車庫入れを行える、リモート機能付きアドバンストパークなどを設定した。

 以上のように機能や装備と価格のバランスでは、ステップワゴンが買い得だ。オプションの多彩な選択肢、燃費性能、シートアレンジの使い勝手などではノアが上まわる。

 ガソリンエンジン車同士で比較すると、ステップワゴンエア(299万8600円)には、ノアG(297万円)がオプション設定としている右側スライドドアの電動機能が標準装着され、ステアリングホイールにはパドルシフトも備わる。

 スピーカーは、ノアGは4個だが、ステップワゴンエアは6個に増える。

 一方、ノアGには、本革巻きステアリングホイール、ディスプレイオーディオ、通信機能などが備わる。

 装備の水準は両車ともに同程度だが、ノアGはオプションを充実させた。安全装備のブラインドスポットモニター&安心降車アシスト、100V・1500Wの電源コンセントなどを装着可能だ。

ホンダ ステップワゴン&トヨタ ノア 主要諸元
ホンダ ステップワゴン&トヨタ ノア 装備比較

■室内居住性&ユーティリティをさらに深掘り!! ステップワゴンvsノア/ヴォクシー

3列目シートを床下にダイブダウンできるのがステップワゴンの特長。3列目シートの座り心地、ニースペースなど居住性に優れるのがポイントだ

 1列目の快適性は両車とも互角だ。2列目は膝から先を支えるオットマンの設定が異なる。ノアは標準ボディのZにもセットオプションで装着できるが、ステップワゴンのエアには設定がない。その代わりスパーダ系の7人乗りには標準装着した。

 3列目は相違点が多い。身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節した時、ステップワゴンの3列目は、膝先空間が2列目と同じ握りコブシ2つ分だ。

 それがノア&ヴォクシーは、握りコブシ1つ半にとどまる。座面の柔軟性やボリューム感もステップワゴンが勝る。

 3列目の座面の奥行寸法は、ステップワゴンが床下格納のためにノア&ヴォクシーに比べて20mmほど短いが、3列目を総合的に判断するとステップワゴンが快適だ。

 ステップワゴンは視界にも配慮して、インパネの上面を平らに仕上げた。2/3列目に座る乗員の視界も、マド枠付近の見え方がシンプルで心地よい。

3列目シートは左右に跳ね上げて側窓部に収納するタイプ。2列目は内寄せ機構を廃止しながらもロングスライドを可能とした。3列目居住性はステップワゴンに軍配

 シートアレンジはノア&ヴォクシーが使いやすい。内張りを工夫して、2列目がセパレートシートであれば、真っ直ぐに745mmスライドできる。

 ステップワゴンもスパーダが780mm、エアは865mm前後にスライドできるが、この時は2列目を内側へ75mm寄せる必要がある。内側へ寄せずに外側でスライドできる長さは、スパーダが525mm、エアは610mmまでだ。

 3列目の格納方法も異なる。ステップワゴンは床下格納だから、張り出しのない広い荷室に変更できる。ノア&ヴォクシーは3列目がレバー操作で持ち上がり、外側へ押すとロックされて操作が簡単だ。

 この時には3列目が荷室へ張り出すが、床下格納のステップワゴンと異なり、3列目を格納した時でも荷室床下の収納ボックスを使える。つまりステップワゴンは居住性が快適で、ノア&ヴォクシーはシートアレンジと荷室の使い勝手が優れている。

■専用設計で万全!! 車いす仕様も内容充実

 ベースとなるのはSPADAの1.5Lターボエンジン搭載モデル。2列目シートが電動でサイドリフトアップする仕様は介護には便利だ。

 車いす乗車仕様は、テールゲート部に設置されたアルミスロープ&電動ウインチで安全に乗降可能。車いすが乗る部分はフローリングとなっているため汚れても簡単に掃除できる。

 また、このスロープのためにリアバンパー高、荷室フロア高は先代型と同じ高さにしているなど専用設計となっている。

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