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北米のカローラクロスが日本顔に整形……差別化してたのに突然どうした!?

 2021年9月に日本デビューしたカローラクロス。それ以前に東南アジアなどで販売されていたが、じつは日本仕様だけ異なる顔つきであった。海外モデルの方がカッコイイ気もするが、ここに来て北米モデルも日本と同じ顔となるのだ。

 ってそもそもなんで日本仕様は特別なデザインであったのか? そしてアメリカにも同じ顔が導入されたワケとは!?

文/小鮒康一、写真/トヨタ

【画像ギャラリー】テコ入れで和顔に!? 北米版トヨタ カローラクロスが2023年モデルで早くも化粧直し!!(14枚)画像ギャラリー


■派生車種だらけのカローラに初のSUV!! 当初日本で売る気はなかった!?

2021年9月に登場した日本版トヨタ カローラクロス

 トヨタを代表する車種のひとつであるカローラは、1966年に初代モデルが登場して以降、さまざまな派生車種を展開しながら現在まで世界中で安定した人気を誇っているモデルだ。

 それこそステーションワゴンから2ドアクーペ、3列シートミニバンまで、幅広い派生車種を持っていたカローラの歴史の中で、初のクロスオーバーSUVとなったのが、2021年9月から日本で販売を開始した「カローラクロス」である。

 もともとは2020年7月にタイで世界初公開がなされ、海外専売車種として計画されていたというカローラクロスであったが、豊田章男社長の鶴の一声で日本での販売が決定したという逸話があり、実際に日本で販売をスタートすると瞬く間に人気車種のひとつとなった。

 販売開始は9月であったにもかかわらず、2021年の販売台数はなんと1.8万台にも上るというからその人気ぶりを窺い知ることができる。

■日本向けに大幅整形! わざとカローラファミリーらしい顔に

 そんなカローラクロスであるが、先行して導入されたタイ仕様や北米仕様と大きく異なる点が存在している。それがフロントマスクのデザインだ。

 海外仕様のカローラクロスは、ヘッドライトの間に台形に近い形状の大型グリルを備えるルックスとなっており、日本で販売されているトヨタ車で言えばRAV4やハイラックスに近い形状となっている。

 一方、日本仕様のカローラクロスはヘッドライトの間には小ぶりなグリルを備え、その下に大きなロアグリルを備えるという他のカローラファミリーに近いフロントマスクとなり、グリルの真ん中に備わるエンブレムもトヨタマークではなく、カローラファミリーを意味する「C」マークとなっているのだ。

 これは日本で販売するにあたり、カローラファミリー初のクロスオーバーSUVということもあって、あまりに他のカローラシリーズと異なるフェイスを与えてしまうと既存のカローラシリーズユーザーから拒否反応が出てしまうことを考慮してのことだと言われており、現在の販売台数を見る限りその判断は功を奏したと言っていいだろう。

■北米はあまり売れていない!? テコ入れで日本顔に大胆チェンジ

北米版トヨタ カローラクロス2023年モデル(写真はXSEグレード)。日本版に近い顔立ちとなっている

 しかし、先日2023年モデルが発表された北米仕様のカローラクロスに異変が生じた。なんと日本仕様にほど近いフロントマスクを備える仕様が登場したのである。

 さすがにグリル中央のマークはCマークではなくトヨタマークとなるが、北米準拠の灯火類やエンブレム類を除けばほぼ日本仕様と同じルックスとなっているのだ。

 ただし日本仕様のフェイスとなるのはスポーティグレード扱いの「S」、「SE」、「XSE」の3グレードであり、通常グレード扱いの「LE」と「XLE」は従来の輸出仕様のフェイスが継続採用されるとのこと。

 では、なぜこんなにも早いタイミングで北米仕様に日本顔が追加されたのだろうか? 北米仕様のカローラクロスは2021年6月と日本仕様よりもやや早いタイミングで販売がスタートしている。

 しかし2021年の北米でのカローラクロスの販売台数は7千台ほどで、2022年に入ってからも月販販売台数は3千~4千台となっているのだ。

 北米市場と言えばカムリが年間30万~40万台売れる国ということを考えると、鳴り物入りで登場した割にカローラクロスの販売台数は伸び悩んでいると言わざるを得ない。

 そこでテコ入れの意味も込めて北米仕様のカローラクロスに日本仕様のフェイスを設定したのではないだろうか? とはいえ2つの顔を作り分けるのはコスト的にも得策とはいえないため、今後の販売台数の推移によってはどちらか人気のあるフェイスのみのラインナップになることもあり得そうだ。

 なお余談ではあるが、日本仕様のカローラクロスのみ顔が異なると言われているものの、中国で販売されているカローラクロスの実質的な兄弟車である「フロントランダ―」は日本仕様に近いフロントマスクを採用している。

 北米仕様も中国仕様もどちらも現地生産であるため、直接的な影響は少ないかもしれないが、今後合理化を図るためにどちらかの顔に固定される可能性も大いに考えられるのではないだろうか。

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