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<p>【笠原一輝のユビキタス情報局】 Apple M2と第12世代Core Pをベンチ比較。CPUはCoreが、GPUはM2が優位</p><p>【笠原一輝のユビキタス情報局】Apple M2と第12世代Core Pをベンチ比較。CPUはCoreが、GPUはM2が優位</p><p>Intelは2月に第12世代Core PシリーズおよびUシリーズを、Appleは6月にM2というそれぞれ薄型ノートPC向けのSoCを発表し、すでに搭載ノートPCが販売開始されている。筆者もWindowsマシンとして第12世代Core Pシリーズ(Core i7-1280P)を搭載したLenovo「ThinkPad X1 Carbon Gen 10」、M2を搭載した13インチ「MacBook Pro 13(2022モデル)」を購入。それぞれの性能などをチェックしたので、紹介していきたい。</p><p>CPUを利用したレンダリングを、シングルスレッド、マルチスレッドで行なうことでそれぞれのCPU性能を計測できるCinebench R23だが、第11世代Core(Core i7-1185G7)とM1の比較では、M1の方が41%高速になっていた。 しかし、第12世代Coreは、その第11世代Coreと比較して86%も性能が大きくジャンプしており、M1だけでなく、M2も超えており、M2比較で約118%の性能となっている。そして、こうした薄型ノートPCで、Cinebenchのマルチスレッドのスコアが1万を超えたというのは画期的と言っていいだろう。 Core i7-1280PはRyzen 7 5800Uも追い抜いており、その意味では今後登場するRyzen 7 6800Uがどの程度の性能になるのかが楽しみな結果だ。 AppleがCPUのパフォーマンスリーダーだったのはM1が発売されてからわずかな間だけで、すぐRyzen 5000シリーズに抜かれ、M2に進化しても、CPU性能はRyzen 5000シリーズにも、第12世代Coreにも負けているというのが現状だ。 グラフ2 GFXBench だが、GPUに関しては引き続きAppleがパフォーマンスリーダーだ。M1からM2になりGPUコアが2つ増えていること、そしてメモリ帯域幅が広がっていることなどから、性能が大きく向上している。テストによるが、M1と比べ37~39%程度性能が向上しており、1世代分の性能向上としては十分に大きな性能向上が実現されているといえる。 第12世代Coreとの比較では2倍以上になっており、大きなパフォーマンス差があることが見てとれる。その意味で、Intelの課題はGPUにあると言える。なお、第12世代Coreの内蔵GPU(Iris Xe)と、第11世代Coreの内蔵GPUはほぼ同じものと考えて良いが、第12世代Coreの方が、若干だが性能向上している。これはメモリの帯域幅が上がったためだろう。 CPUの第12世代Core、GPUのM2だが、M2はGPUを活用するアプリの充実が課題 以上のような結果から、第12世代CoreとM2を比較すると、CPU性能では第12世代Core、GPU性能ではM2という評価になるだろう。ノートPCを選択する上で、この点をどう評価するかは難しいところだ。 ただ、M2のGPU性能は確かに高く、第12世代Coreの倍の性能を実現しているのはアドバンテージだが、それを使えるアプリがどれほどあるのかはは考慮する必要がある。M1/M2のGPUを積極的に使うmacOSアプリというと、AdobeのLightroomやPremiere Proなどの写真/動画編集ツールだろう。それらで効果があるのはその通りなのだが、WindowsではゲームやVRのようなGPUをフルに使うアプリケーションが多数あるのに比べると、macOSではそれが少ないというのが現状だ。 その意味では、Appleがソフトウェアベンダに積極的に働きかけて、GPUを活用したアプリを増やしていけば、M2の価値はより高まっていくと考えられるが、時間はかかるだろう。 対して第12世代Coreでは、第11世代CoreからGPUは据え置きになっており、性能はほとんど上がっていない。次世代のMeteor Lakeでは、GPUがArc世代と同じアーキテクチャになるとされているので、性能向上が期待できるとは思うが、現状ではM2と比べると、Intelももう少しGPUの性能を頑張りましょうというのが正直な評価だ。 一方でCPUに関しては大きな性能のジャンプがあった。前世代に比べて倍とまではいかないが、86%の性能向上は、Intel CPUの歴史上なかったぐらいの性能向上だと言うことができる。その意味で、薄型ノートPCで、高性能なCPUが欲しいというユーザーであれば、Core i7-1280Pは真っ先に検討すべきSoCということは言えるだろう。 ▲</p>