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 ガソリン価格の上昇が止まらない! 特にここ最近はレギュラーガソリンとは思えない値付けで、全国平均でリッターあたり170円以上となっている。

 そうなるとクルマの販売にも影響が出てくる。人間の心理として燃費のいい車に注目が集まるからだ。新車のハイブリット人気は変わらず堅調だが、中古車もハイブリッドに人気が集まっている。

 そんな中、今回は意外なハイブリッド車の人気に迫る!

文/小林敦志、写真/TOYOTA、ベストカー編集部

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■ハイブリッド中古車の価格の不思議

ハイブリッドカーの代名詞として君臨するトヨタ プリウス(写真は現行型)。中古ハイブリッドの販売価格は走行距離よりも電池のコンディションに左右されるようだ

 内燃機関車(ガソリンやディーゼル)を下取り査定する場合、同型車でもより年式が古く、より走行距離が多いクルマほど下取り査定額が低くなっていくのが一般的(極端な外装の傷や修復歴の有無などがあった場合は別)だ。

 しかし、HEV(ハイブリッド車)となると、それほど話は簡単ではないとの話もある。走れば走るほど、燃料代などでメリットが出るので、年式にもよるが10万kmや20万km以上となる過走行車も当たり前。

 ただ過走行車だからといって、大手中古車検索サイトをみると、必ずしも販売価格が大幅ダウンしているわけでもない(タクシーやレンタカー、社用車など“営業車ユース”だったか否かも反映されているとの話もある)。

 そして、極端に走行距離が少ないからといって無条件に価値がアップしているようにも見えない。走行距離が少ない場合は、あまり乗らないことで、駆動用電池の充放電が頻繁に行われていないとのことでコンディションの判断が慎重になるようだ。

 つまり、HEVの場合は内燃機関車同様に過走行車だから価値が極端に下がることは少ないようだが、走行距離の少ない車両でも、けっしてそれが査定額アップにつながるということもなく、“ほどよい走行距離”という車両が市場では歓迎される傾向が高いようだ。

 あとは、寒冷地など、どこで使われていたかも価値判断では注目されているようである。いろいろな情報を検索すると、駆動用電池の交換目安は保証期間が新規登録から5年もしくは10万㎞のどちらか早い方となっているのが一般的。

 しかし、20万㎞ほど走行距離が伸びても交換の必要はまずないとされているので、極端な過走行状態の中古車はバッテリーコンディションには注意が必要かもしれない。

 それでも購入を検討する時は、年式や走行距離よりも、電池交換の有無や、可能な限り電池のコンディションの現状などを確認するようにしたほうが良いようだ。このあたりは、中古のパソコンを買うのと要領は似ているかもしれない。

■人気ハイブリッドは下取り査定額も高いのか?

13年落ちとは思えない高い中古販売価格がつけられている3代目トヨタ プリウス

 そんなHEVの中古車だが、事情通が「3代目トヨタプリウスの中古車が結構面白いことになっている」と教えてくれた。例えば大手中古車検索サイトで調べると、2010年式のGツーリングセレクションで走行距離2.8万kmの物件に193.3万円の価格がついていた。

 12年落ちとなれば減価償却が進み、残存価値がゼロとなってもおかしくないのに200万円近い価格がついているのは確かに驚きに値する。ほかにも、2015年式で走行距離11.7万kmだと178.0万円、2009年式で走行距離12万kmでも98万円となっている。

 リストを見ていると、2009年式だと走行距離が12万km前後で40万円から60万円強の値付けが目立つが、13年落ちで、一般的な走行距離数ともいえる中古車でこの値付けは結構高いほうといえるだろう。

 ただし、走行距離が10万km以下だと値付けが高いのかと言えばそうでもない。15万kmぐらいまでは、あまり走行距離には左右されていないような印象を受ける。

 それでは、下取り査定額も高いのかと言うと……、「12年落ちの下取り車ですから、減価償却も考慮して3万円ほど、つまりほぼ解体扱いで下取りしているケースが多いようです」とは事情通。それでは、中古車で売れば“ぼろ儲け”ではないかと事情通に言うと、「別に業者が勝手に値付けしているわけではありません。

 現状では新車も中古車も在庫不足が続いているなか、需要と供給の関係を考慮した“適正価格”に若干上乗せしている程度といっていいでしょう。12年落ちでもその価格で欲しい人がいるから、業者は値付けしているのです」と答えてくれた。

 「3代目ユーザーに『12年経っていますし、走行距離も10万km超えていますから』と前置きしたあとに、『査定額3万円です』と言われれば、多くのユーザーは納得してしまうようです」(事情通)。

 いまどきは、新車の納期遅延が深刻な問題となっており、その煽りを食う形で中古車市場も在庫不足に頭を抱えている。プリウスだけでなく、新車に近い高年式車は新車が納車されるのに時間がかかるとして、そもそも新車を乗り継いできた人のニーズが高まり、価格高騰と在庫不足が顕在化している。

中古販売価格は高めの金額がつけられている3代目トヨタ プリウス。下取り査定額も高いのかと思いきや、そう単純な話でもないようだ

 そして前述したような3代目プリウスのように、初度登録から10年以上経つような、割安感のあった低年式中古車も価格高騰と在庫不足状況が目立っている。

 これは、新車が納車されるまで長期間待つことになったものの、下取り車の車検が迫っていたり、1年近い納車待ちとなると下取り車を新車の納車直前に再査定することになるので、価値が下がるのを嫌い、新車の発注段階で下取り車を手放したりしたことで、新車が納車されるまで“つなぎ”で中古車に乗るといったニーズが影響されているようだ。

 また事情通は、「納車まで長期間待つことになったお客向けに、中古車を短期リースで貸与するということも目立ち、それが3代目プリウスの相場を全般的に高めている要因の一つになっているとも聞いています」と説明してくれた。

 3代目プリウスはまさに、この“つなぎ”需要も加わり相場の高まりが目立っているようである。

 しかも、短期間のつなぎなので電池コンディションなどはあまり意識しないこともあるのか、中古車価格の動向がどこか一貫性がないように見えるのかもしれない。

 また3代目は海外でも中古車として人気が高く(年式や走行距離はほとんど意識されない)、世界各国へ輸出されているので、中古車相場の高値傾向安定を支えているようである。

 しかも、割安な中古車を乗り継いできた人が昨今のガソリン価格の高騰を嫌い、燃費が良く爆発的に新車販売時にヒットしたことで、いまでもそれなりに在庫が多めな3代目プリウスへの乗り換えを進めていることも、3代目プリウスの中古車価格を支えているといっていいだろう。

 さまざまな理由から、3代目プリウスは古くなったとはいえ中古車でのニーズが高く同年式のカローラアクシオなどより値落ちしていなかったのだが、さらに新車の納期遅延という問題が発生し、相場を底上げしているのが現状といっていいだろう。

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