NECがゲーミングPC市場に参入したと話題になっている『LAVIE GX』シリーズですがスペックに対して価格のバランスが非常に悪く、一時はTwitterでトレンド入りもしてしまう有様でしたが、ここではどれだけ悪いのか他社のゲーミングPCと比べて紹介しようと思います。
TrollレベルのゲーミングPC『LAVIE GX』
Trollと言うと海外のRedditなどで言われている『釣り』や『挑発』行為の事を指し、その時に浮かべるどや顔をTroll faceと言いますが、マーケティング担当やその役員がこのような顔をしながら作ったであろうゲーミングPC、『LAVIE GXシリーズ』がNECから発表がされました。
大手のメディアにおいてはNECが24年ぶりにゲーミングPC市場に参入するというプレスリリースを大々的に公開していますが、ここではこの新しいゲーミングPCがどれだけ競争力が無いのか同じスペックでどれだけより安価で良いゲーミングPCがあるのか紹介します。
LAVIE GXの仕様と価格帯
LAVIE GXはNECが発売するデスクトップ型のゲーミングPCで、基本的な構成としてはIntelの第12世代CPUを搭載されており、以下のオプションからハードウェア構成を変更する事が可能となっています。
*Windows以外のソフトウェア関係や周辺機器オプションなどはここでは無視しています。
**キャンペーン非適用での価格
LAVIE GXシリーズ | |
CPU |
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OS |
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メモリー |
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SSD |
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HDD |
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GPU |
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仕様としてはエントリーからミドルレンジ向け構成ですが、価格はすべてをベースに設定した状態では税込み194,700円。(キャンペーン適用)
ベースの構成では最新のタイトルを快適にプレイする事は困難な場合があり、最新タイトルでも快適プレイが可能となるように上位モデルではCPUをCore i7-12700F化やメインメモリーを16GB(8GBx2)、SSDを512GBに設定し、GPUをNVIDIA GeForce RTX 3060に変更すると税込み285,340円となってしまいます。(キャンペーン適用)
今回はゲーミングPCとして最新タイトルが快適にプレイが可能な上位モデルの税込み285,340円と言う価格がどれだけヤバいのかを紹介しようと思います。
LAVIE GXの細かな仕様について
LAVIE GXの筐体内にどのようなマザーボードやCPUクーラー、電源ユニットが搭載されているか詳細について公式発表はありませんが、発表会で内部を撮影した画像がPC Watchなどで公開されています。
NEC PC、“Project炎神”ゲーミングPC第1弾「LAVIE GX」。早期購入でPC-98ゲーム利用権も – PC Watch
LAVIE GX内部を見るとCPUファンにはIntel純正のCPUクーラーに似たトップフロー型のものが搭載されているため、恐らくCPUに対して負荷を掛け続けると簡単に90~100℃に達し、Core i7-12700Fのブーストクロックである4.9 GHzに達する事は無いと考えられます。
電源ユニットについては80PLUS Platinumに準拠するものの、容量は500WとなっておりGeForce RTX 4000シリーズのミドルレンジであるRTX 4060で想定される200W超えのGPUを搭載する事は厳しくなっています。
また、マザーボードとの接続はATX12VOで行われているため、将来を見越して電源ユニットを交換するにしてもほぼ市販品では販売しておらず非常に限られたラインアップの中から選ぶ事となります。
デスクトップ型のゲーミングPCは一般的にはサイズが大きく、このLAVIE GXも例外ではありませんが、なぜ大きいかと言うとエアフローを意識した構成であったり、将来的に使えるように拡張性を確保しているため大きくなる傾向にあります。
しかし、内部構成を見る限りCPUファンは貧弱でエアフローがあってもほとんど意味が無く、電源ユニットについても容量は無く、買い換えるにしてもATX12VOと言うマイナーな規格を使っているため拡張性は皆無。巨大なデスクトップ型ゲーミングPCである意味がなくなってしまっています。
LAVIE GXと同等スペック以上で10万近く安い『HP OMEN 25L』
HPのゲーミングPCシリーズであるOMEN 25L Gaming Desktop GT15-0760jpがLAVIE GXの上位モデルに匹敵する仕様となっています。
OMEN by HP 25L Gaming Desktop (GT15-0760jp) | |
CPU |
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OS |
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メモリー |
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SSD |
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GPU |
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上記の構成はOMEN 25Lのベースモデルとなっており、定価であれば税込み220,000円となっています。ただ、2022年7月7日時点ではキャンペーンを実施しているため、税込み189,000円で販売中です。
LAVIE GXのベースモデルが194,700円という事でOMEN 25Lの方が圧倒的に安く購入が可能となっていますが、LAVIE GXより優れている点としてCPUクーラーにはサイドフロー型の大型クーラーが採用されているため、Core i7-12700Fのブーストクロックでの動作も可能になると見られています。
SSDにWestern Digital製のハイエンドNVMe SSDを1TB搭載しており、大容量化の一途を辿っている最近のゲームを3~5本程度インストールが可能となっています。
ただ、OMEN 25Lも電源容量は500WとなっておりRTX 4060などに載せ替えるという事は困難となっていますが標準的なATX電源が使用できます。
拡張性も抜群なMouseのG-Tune HM-B
MouseではゲーミングPCブランドとしてG-Tuneを展開していますが、この中でNECのLAVIE GXに最も近い仕様のモデルがG-Tune HL-Bと呼ばれるコンパクなデスクトップ型ゲーミングPCです。
Mouse G-Tune HL-B | |
CPU |
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OS |
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メモリー |
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SSD |
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GPU |
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上記の構成で価格は定価は219,800円ですが、2022年7月20日までのキャンペーンとして194,800円で販売がされています。キャンペーンが非適用であってもLAVIE GXより6万円以上安くなっています。
こちらのPCではコンパクトな筐体であるためか、CPUクーラーはトップフロー型という事であまり高い性能は期待できませんが、拡張性については電源容量が700Wのものが標準で搭載されていたり、大型グラフィックスカードの搭載が出来るようにスペースが確保されていたり、電源ユニット自体が標準的なATX規格の電源が採用されているなど将来的な拡張性については確保されています。
NEC パソコン事業の親会社Lenovo製ゲーミングPCと比較
NECのパソコン事業はNEC本体では無く、LenovoとNECが共同出資している合弁会社『Lenovo NEC Holding』によって事業が行われています。そのため、今回のLAVIE GXについては中身はほとんどLenovo製PCでは無いかと言われていますが、Lenovo製のゲーミングPCと比較するとどうなるのか見て見ましょう。
LenovoではIntel第12世代CPUを搭載するゲーミングPCとしてLegionシリーズがあり、NECのLAVIE GXに最も近いモデルはT570iと見られています。
Lenovo Legion T570i | |
CPU |
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OS |
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メモリー |
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SSD |
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HDD |
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GPU |
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Lenovo Legion T570iではCPUにCore i7-12700F、GPUにGeForce RTX 3060を搭載するモデルが定価では272,470円で販売されていますが、2022年7月7日時点ではキャンペーン適用で212,527円で販売がされています。
定価はLAVIE GXとほとんど変わらない価格設定にはなっていますが、このLegion T570iではメモリーに高価なDDR5を採用していたり、PCIe Gen 4.0の512GB NVMe SSDは搭載されていますが、追加で1TBのHDDが搭載されているなどゲームを快適にプレイするための仕様になっています。
また、CPUクーラーはサイドフロー型の大型クーラーを搭載している事や、電源ユニットの容量は500Wと少ないものの標準的なATX電源を採用している事から性能面と拡張性についてはLAVIE GXと比べると非常に良いレベルに収まっています。
結局NECのLAVIE GXはなぜこんなに割高なのか?
他社製のゲーミングPCを3製品紹介しましたが、どれもLAVIE GXに対して数万円以上安価で販売がされていますが、そもそもなぜLAVIE GXがここまで割高なのかと言うと、サポート体制と言えそうです。
LAVIEシリーズについてはLenovoとの合弁会社と事業を行っているため、パソコンパーツ自体の調達コストそして、製造コストについてはLenovo製PCと大きく異なるという事は考えにくいです。
一方で、サポート体制についてはLAVIE GXの公式サイトには『ゲームに関することをいつでも質問できる
「LAVIE ゲーミングサポート」(1年間無料)』と言う案内がされており、ここではゲームの初期設定やゲーム画面を滑らかなに表示する方法、コントローラーの接続、設定方法、ボイスチャットの設定方法などをサポートしてくれるとの事です。
このサポート窓口については24時間365日の電話問い合わせが可能との事ですが、このサポート体制を運営するのにかかるコストがLAVIE GXの価格には含まれている可能性が高く、これが割高になる大きな要因と見られます。
このゲーミングPCのターゲットは孫にゲーミングPCをせがまれた60~70代の高齢者で、この人たちが家電量販店に行き、国内ブランドと言う印象の強いNEC製のゲーミングPCを見つけ、安心のサポート体制があるという売り文句に騙されて30万円近い金額を払うという場面が想像できます。
ただ、その孫がある程度、PCの知識があったり、LAVIE GXをキッカケに知識を付け始めたら割高すぎる価格設定や拡張性の無さに絶望し、二度とNEC製PCには手を出さないのは確実ですね。
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