メルセデスは、F1第10戦イギリスGPでのルイス・ハミルトンの表彰台獲得で立証された最近の進歩に勇気づけられたが、チーム代表のトト・ウォルフは、チームのパフォーマンスを“喧伝する”用意はできていないという。
メルセデスは3戦連続で3位入賞を果たしており、ハミルトンは先週末のホームレースで2022年シーズンにおける3度目の表彰台を獲得した。問題を抱えたW13をグリッド上位に引き上げるためにメルセデスはたゆまぬ努力を続けており、特にマシンのポーパシング問題の緩和に焦点を置いている。イギリスGPで導入された最新のアップデートパッケージによって、メルセデスはふたたび前進したように見えるが、ウォルフは引き続き期待を抑えている。
「バルセロナでトンネルの先に光が見えていたのに、その後の3回のストリートサーキットでは苦戦した。だから私は自分たちのことを持ち上げすぎたり、悲観的になりすぎたりせず、むしろ慎重でありたい」とウォルフは語った。
「3日間を通してまだ快適性の問題が根強く残っており、それが最も重要な焦点となっている。しかし我々はこの週末に強力なペースを見せた。アップデートがうまく機能しているようで喜ばしいことだ」
「オーストリアには、我々のマシンと過去に相性がよくなかったコーナーがいくつかあるが、我々にとっては持続的な学びのプロセスだ」
「今年は勝つのがかなり難しい年になりそうだが、マシンのパフォーマンスを適切に発揮できるように態勢を立て直す必要があるだけだ」
メルセデスはポーパシング問題を完全に解決できていないが、一方で現在はより安定したマシンを投入しており、W13からより多くのパフォーマンスを引き出すことに集中できるようになっている。トラックサイドエンジニアリングディレクターのアンドリュー・ショブリンは、チームはもはや“サバイバルモード”にはなく、目前の開発の道筋は明確だと述べている
「最初の数戦では、我々は文字通り生き残るために戦っていたようなものだ。ドライバーたちは、信じられないほど操作しづらいマシンで生き残るために戦っていた」とショブリンは話した。
「だが実際にはポイントを獲得するほどの仕事ができたし、他のマシンの信頼性が低い時はチャンスを拾えていた」
「バルセロナは我々にとって有益だった。なぜなら我々が行くどのコースでもポーパシングしない何かを得たからだ」
「だが最近の3回のストリートコースでは、新たな弱点が露呈したのは確かだ。でも正直なところ、我々は問題点を探し、エンジニアリングのスキルを適用して解決することで乗り越えようとしているところだ」
「我々が進みたい道は、今ではますます明確になってきていると言えるだろう。それは開発の観点からも心強いことだ。この(シルバーストンでの)アップデートは、バルセロナで作り始めた道筋に沿った最初のものだ」
ショブリンは、メルセデスにとってはバルセロナが、ポーパシング問題への対応のアプローチの点で転機になったと語った。
「おそらくマシンの挙動の点では、バルセロナでコンセプトを変更したと言える。ポーパシングを一部解消するためだった」
「ポーパシングの問題は当然ながら、序盤のレースで多くの関心を集めた。我々は集団の後方で最悪の状態だったからね。ここ(シルバーストン)での我々を見れば、実際のところいい方に近づいていると思う」
「確かにベストではないが、最悪の状態からは程遠いので、我々は前進したと思う」
「そして我々に残されたことは、マシンが望んでいるよりも少々硬いということだ。でも取り組みを始めることができるマシンであることは確かだ」