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 ブラジル最南端、パタゴニア地方のリオグランデ・ド・スル州にあるアウトドローモ・ヴェロパークで開催されたSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”第5&6戦ダブルヘッダー・ウイークエンドは、土曜2戦、日曜2戦でそれぞれ異なるウイナーが誕生。土曜は現役王者ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が最初のヒートを制すると、レース2ではネルソン・ピケJr.(モチュールTMGレーシング/トヨタ・カローラ/トヨタ・カローラ)が自身2度目の表彰台を勝利で飾ることに。

 日曜のレース3ではガエターノ・ディ・マウロ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)がシリーズ初優勝を決め、最終ヒートはブルーノ・バプティスタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が勝利。このレースでも2位に入り、TOYOTA GAZOO Racingブラジルの1-2に貢献したマティアス・ロッシ(A.マティス・フォーゲル/トヨタ・カローラ)は、週末4戦で3回の表彰台を獲得している。

 このダブルヘッダー戦を前に、今季2022年後半戦の確定カレンダーをアナウンスしたプロモーターのバイカーは、ここノヴァ・サンタ・リタでの週末を経て11月までの行程をアナウンスし、インテルラゴス、ヴェロチッタ、サンタクルス・ド・ソル、そしてゴイアニアでのダブルヘッダーを経て、ブラジリアでの最終戦『スーパー・ファイナルBRB』を迎えるスケジュールを公開した。

 その後に始まったヴェロパークでの1戦は、1周2.278kmの短いトラックということもあり、金曜1回目のFPでは22台がコンマ5秒圏内。2回目では30台が秒差圏内にひしめく緊迫の接近戦に。そのFP1は2015年王者のマルコス・ゴメス(カバレイロ・スポーツ/シボレー・クルーズ)が、FP2は地元出身のセザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)が最速と、シボレー、トヨタともに拮抗した速さを見せた。

 しかし明けた土曜、現地9時15分開始の予選はシボレー勢が先手を取り、シリーズ3連覇経験者ダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)を抑え、現役チャンピオンのカサグランデがまずはポールポジションを手にした。

 そのまま14時過ぎに始まったレース1は、選手権リーダーでもあるカサグランデが盤石の強さを披露。寒冷な気候のもと進んだレースで義務ピットまで首位を守った王者は、2列目発進だった前戦勝者リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)に一時はトップランを譲ったものの、セカンドスティントで直接対決を制してポディウムの頂点を確保。2位ゾンタ、3位ラモスの表彰台となった。

「この優勝はとてもうれしい。チームは30kgのバラストを搭載しても、ポール争いをする可能性を与えてくれた。とても素敵な週末のスタートだし、日曜もこの調子でポイントリードを維持できたら良いね」とカサグランデ。

土曜レース1は現役王者ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)がポールシッターに
土曜レース1は現役王者ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)がポールシッターに
現役王者に対し、前戦勝者リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が喰い下がる展開に
現役王者に対し、前戦勝者リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が喰い下がる展開に
「チームは30kgのバラストを搭載しても、ポール争いをする可能性を与えてくれた」と、レース1勝者のカサグランデ
「チームは30kgのバラストを搭載しても、ポール争いをする可能性を与えてくれた」と、レース1勝者のカサグランデ
レース2ではピケJr.と、隣国アルゼンチンから“越境参戦”を開始して2年目のロッシがトヨタ同士での優勝争いを繰り広げる
レース2ではピケJr.と、隣国アルゼンチンから“越境参戦”を開始して2年目のロッシがトヨタ同士での優勝争いを繰り広げる

 続いてわずか30分後にスタートが切られたレース2は、リバースグリッドの最前列から出たピケJr.と、隣国アルゼンチンから“越境参戦”を開始して2年目のロッシがトヨタ同士での優勝争いを繰り広げると、アンダーカットを狙った2番手ロッシが戦略勝ちで首位浮上に成功。しかしこの日のピケJr.はカローラの良好なパフォーマンスを利用して粘りを見せコース上での逆転を決めると、そのまま2020年8月のインテルラゴス以来となるSCBでの2勝目を挙げた。

「しばらく時間が掛かったけれど……予期せぬ展開でここに到着することができた。戦略は非常にうまく機能し、ピットストップは完璧で、最終的にはすべてがうまくいったね。チームのハードワークに本当に感謝しているし、休憩して少しだけお祝いをしたら、明日にはまたすべてを賭けて挑もう」と、前戦FP1のトップタイムでひさびさ勝利の“予兆”を感じさせていたピケJr.。

 明けた日曜早朝の予選は寒さのなかであいにくの天候に見舞われると、好調さを維持した2015年王者ゴメスがキャリア通算13回目の最前列で、カバレイロ・スポーツにシリーズ初のポールポジションをもたらす。

 しかしレース3はスタートから無情な展開となり、ターン1に向けホールショットを決めた元王者のシボレーは、この瞬間にオイルポンプが壊れ万事休す。勝利のため戦う権利すら与えられず戦列を去ると、フルウエットの難コンディションでラモス、ロッシのTGR勢を抑えたディ・マウロが、自身25歳の誕生日を祝うシリーズ初勝利を飾った。

 続く最終レース4はさらに混沌とした展開で都合4度のセーフティカーが介入するなか、トニー・カナーン(フルタイム・バッサーニ/トヨタ・カローラ)やルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)、セラやラモスもアクシデントで消える事態に。

 そうした混乱のなか義務ピット後に首位に立ったのはバプティスタで、背後のロッシから再三のプレッシャーを受けたものの、SNS人気投票による『ファン・プッシュ』も巧みに活用してアドバンテージを築くことに成功。0.476秒差でロッシを抑え、最速で25周を走破して見せた。

 この日曜の結果を受け、前日勝利で18点をリードしていたカサグランデは再び首位から陥落し、この日は4位、11位とポイントを稼いだセラが11点差でリーダーに返り咲いた。

「なんであれ首位に戻ったのはいい気分だね。レースはかなりクレイジーで、悪いときも良いときもあり、なんとか戦略で軌道に戻すことができた。4番手にいたレース2ではさらに得点を重ねる計算だったが、ヒットされてトップ10圏外に落ちたのだけは残念だった」と悔やみながらも選手権首位復帰のセラ。

 続くSCB第7戦は、7月30~31日の週末に同国が誇るサンパウロの国際F1トラック、インテルラゴス、アウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェで争われる。

「ストックカーで再び勝つことができて安心した」と、安堵のコメントを漏らしたネルソン・ピケJr.(モチュールTMGレーシング/トヨタ・カローラ)
「ストックカーで再び勝つことができて安心した」と、安堵のコメントを漏らしたネルソン・ピケJr.(モチュールTMGレーシング/トヨタ・カローラ)
日曜早朝から天候も悪化し、予選から極寒ヘビーウエットの難しいコンディションと化した
日曜早朝から天候も悪化し、予選から極寒ヘビーウエットの難しいコンディションと化した
ポールシッターの不運にも助けられ、レース3はガエターノ・ディ・マウロ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)がシリーズ初優勝を決めた
ポールシッターの不運にも助けられ、レース3はガエターノ・ディ・マウロ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)がシリーズ初優勝を決めた
最終ヒートはブルーノ・バプティスタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が勝利し、2位マティアス・ロッシ(A.マティス・フォーゲル/トヨタ・カローラ)は、週末4戦で3回の表彰台を獲得している
最終ヒートはブルーノ・バプティスタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)が勝利し、2位マティアス・ロッシ(A.マティス・フォーゲル/トヨタ・カローラ)は、週末4戦で3回の表彰台を獲得している