普段あまり遭遇しない標識や標示などに出くわすと、「あれ、これどうするんだったっけ?」と、一瞬とまどってしまうことがあるだろう。違反するのは避けたいし、なにより安全なドライブを楽しむためにも、忘れがちな標識・標示や交通ルールは、定期的に確認しておきたいもの。
また、交通ルールは、改正されることもあるため、習ったときの知識のままでは、現在は変わってしまっている、ということもある。間違えやすい、あやふやになりやすい交通ルールをいくつかピックアップしてみた。
文:立花義人、エムスリープロダクション
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「徐行」の速度は「すぐに止まることができる」速度
住宅街や道幅の狭い場所などに設けられている「徐行」の標識。クルマの速度制限の多くは、具体的に何キロ以下と規定されているし、そうでないとあやふやになってしまうと思うが、この徐行に関しては、道路交通法によると、「車両等が直ちに停止することができるような速度」とされているだけで、具体的な数値は規定されていない。
自動車教習所などでは「時速10km/h以下、1m以内で止まることができる速度」とされていることもあるようだが、乗っているクルマや路面の起伏や状況によっては、もっと遅い速度でなければならない場合もある。状況にあわせて、安全が確認できる速度で通行しなければならない、と意識しておけばよいだろう。
ちなみに、「徐行」の標識がない場所でも、道路交通法によって徐行が義務付けられている場所がある。標識がないからと、普通に通行すると、違反になるし大変危険なので、しっかり徐行するようにしてほしい。
「警笛鳴らせ」の区間でも、どこでも鳴らしていいわけではない
街中ではほとんど見かけることがない「警笛鳴らせ」の標識。山間部の見通しが悪い急カーブなどに設置されている標識だ。警笛(クラクション)によって自分の存在を示し、安全に走行するために設けられている。
あまり遭遇しない標識だけに、「どこで鳴らすんだ??」と考えてしまう人も多いと思うが、この標識が単体で立っている場合はその標識がある場所で鳴らし、区間を示す補助標識(赤い矢印)と組み合わせている場合は、その区間の中で見通しのきかない場所を通行するときに鳴らすというルール。ただ、区間内であっても見通しの良い場所で鳴らしてはいけないので、注意したい。
右折信号でのUターンは違反ではない
右折信号でのUターンに関しては、2012年4月の道路交通法一部改正までは、違反とされていたが、改正によって、標識で禁止されていない限り違反ではなくなっている。一部のドライバーは、この道交法改正を知らずに、いまでも違反だと認識している人がいるようで、右折信号で転回していくクルマをみて、混乱しているようだ。
ただ、右折信号であっても、歩行者や他の優先されるクルマの通行を妨げての転回は、転回禁止の標識がなくても違反になるので、周囲の安全をよく確認してから転回するようにしてほしい。
シートベルトは全席義務
2008年の道路交通法改正前までは運転席、助手席のみに義務付けられていたシートベルトだが、改正によって後席含む全席で義務化された。ただ、後席に関しては、高速道路では、違反点数1点が加算されるものの、一般道では口頭注意のみ。そのため、いまでも後席は義務ではないと勘違いしているドライバーも多いようだ。
シートベルトの着用に関しては、「負傷や障害、または妊娠中などの理由により、シートベルトを装着することが療養上または健康保持上困難な人がクルマを運転するとき」は免除されると規定しているが、シートベルトは命を守る大切な装置。上記に当てはまらない場合は、必ず装着するようにしてほしい。
「ゾーン30」は、30km/h以下での通行に加えて、より注意が必要
市街地で時折見かける「ゾーン30」の標識。「ゾーン30」とは、生活道路を含む定められた区域を交通規制の対象とする安全対策のことで、その地域の人がクルマからおびやかされることなく安心して生活できる区域をつくることを目的としている。この区域内では、走行する車両の制限速度を30km/h以下とするほか、
・路側帯を広げて車道幅を狭くし、中央線をなくす
・道路上にかまばこ状のバンプをつける
・路面標示やシンボルマーク入り看板を設置する
といった対策が採られている。標識だけでなく道路にもはっきりと「ゾーン30」の表示が見えるためわかりやすいと思うが、ドライバーはこの区域に入ったら速度に注意するとともに、歩行者や自転車など地域で暮らす人々により注意を払って通行する必要がある。意識を高めるという意味では、単なる速度制限とはやや異なると理解してもいいだろう。
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普段はあまり意識しないことでもより理解を明確にすることで、安全意識の高いドライビングを心がけることができる。ぜひ安全運転に役立ててほしい。
【画像ギャラリー】この標識に出くわしたらどうすればいい!?? あまり見かけない標識たち(11枚)画像ギャラリー投稿 徐行は時速何キロ以下か言える?? あやふやになりがちな交通ルール5つ は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。