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屈辱的だったが、頼朝[よりとも]自身が一兵も持たぬのは、周知の事実だ。怒りを露[あら]わにすれば、笑いものになるのは己であった。 (頭を冷やせ) 朝日[あさひ]御前が嵐の中、蛭島[ひるがしま]の頼朝の許[もと]に走った夜、自分は教えられたのではなかったか。自身の目だけではなく、他者…