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 7月9日〜10日、宮城県のスポーツランドSUGOで開催されるENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第3戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』。スーパー耐久機構(S.T.O)が参加を認めた開発車両が参加できるST-Qクラスには今回5台が参戦するが、第2戦NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースで登場した新型ニッサンZをベースとした『ニッサンZ Racing Concept』は、Max Racingから1台が継続参戦。2戦目の挑戦を迎えている。今回はさらなる開発が進められ、フロントにも違いが見られた。

 発売を前に世界中から注目を集めているニッサンZ(日本名フェアレディZ)のさまざまなモータースポーツカテゴリーでの参戦の可能性を探るべく、開発が進められているニッサンZ Racing Conceptは、6月5〜5日に富士スピードウェイで開催されたスーパー耐久第2戦富士24時間に登場。NISMOから参戦した230号車はカーボンニュートラル・フューエルを、Max Racingから参戦した244号車は通常のガソリンを使用して参戦し、230号車は決勝でトラブルに見舞われたが、2台が揃ってチェッカーを受けた。

 迎える第3戦はスポーツランドSUGOでの3時間レースだが、2台のうちMax Racingの244号車は田中哲也/田中徹/三宅淳詞のラインアップで継続して参戦。カラーリングは大きく変わってはいないが、Max RacingがスーパーGTでも車両名に記載している化粧品、健康食品ブランドの『81マテラ』のロゴが大きく描かれた。

 さらに、富士では装着していなかったリップスポイラー、カナードがフロントに装着され、よりレーシングカーらしい外見となった。ドライバーの田中哲也によれば、富士とはコース特性も異なるため一概に比較はできないが、「見た目どおり、フロントのダウンフォースが増えた印象があります。アンダーステアが減り、曲がりやすくなりました。前戦からさらに良い方向に変化していると感じます」と手ごたえを得ている様子だ。

 今回の第3戦に向けての変化について日産モータースポーツ&カスタマイズの石川裕造NISMO RACING事業部開発・購買担当常務執行役員に聞くと、「富士でもお伝えしたとおり、ニッサンZのさまざまなモータースポーツカテゴリーでの可能性を探るべく開発を進めていますが、その過程でいろいろなことをやっています」という。見える部分では先述のリップスポイラーとカナードだが、内面でも改良が進められているとのこと。

「富士24時間を走り気づいた点もありますが、今回間に合うもの、間に合わないもの、また改良したり別の仕様を試したりと、いくつか変更をしています」と石川常務執行役員。

 こういった改良に取り組めるのも、ST-Qクラスという性格ならではだ。石川常務執行役員も「富士ではカーボンニュートラル・フューエルを試したりもできましたし、規則に縛られないなかでやることができます。レースで試すというのはやはり効率的でもありますし、今回もチームにご協力いただきながらできている。経験に基づく意見も聞けるのでありがたいです」という。

 今回はフロントに違いが見られているが、次戦オートポリス以降も「毎戦変わっていくと思います。ぜひ楽しみにしていただければ」とのこと。市販車の発売に先駆け、スーパー耐久を舞台に進化を続けるニッサンZ Racing Conceptは今後も見逃せない存在なのは間違いない。

スポーツランドSUGOを走るMax Racingの244号車ニッサンZ Racing Concept
スポーツランドSUGOを走るMax Racingの244号車ニッサンZ Racing Concept
スポーツランドSUGOを走るMax Racingの244号車ニッサンZ Racing Concept
スポーツランドSUGOを走るMax Racingの244号車ニッサンZ Racing Concept
244号車ニッサンZ Racing Conceptのフロント。リップスポイラーとカナードが追加された。
244号車ニッサンZ Racing Conceptのフロント。リップスポイラーとカナードが追加された。
2台のニッサンZ Racing Concept
第2戦富士24時間での2台のニッサンZ Racing Concept