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2022年上半期(1~6月)における外国車の販売台数で、国内の登録車に占める外国車のシェアが9.1%となり、昨年同期(9.0%)に続いて2年連続で過去最高を更新した。日本自動車輸入組合が6日、発表した。

日本で定番の人気メルセデスベンツ(y_carfan /iStock)

一方、輸入車販売台数は、前年同期比14.7%減の11万6408台で、2年ぶりに減少した。もっともこれは輸入車の販売が不振というわけではなく、半導体不足に伴い新車の供給が滞っているからだ。シェアを伸ばしていることからも明らかなように、輸入車販売自体は好調だ。

ブランド別の販売台数は、独メルセデス・ベンツが8期連続の首位で2万4372台、2位は独フォルクス・ワーゲン(VW)の1万4735台、3位は独BMWの1万4049台だった。モデルでは英MINIがI6期連続で首位に輝き、販売台数は9334台。これに2位メルセデス・ベンツCクラスの7842台、3位VWゴルフの4324台が続く。上位にランクインしているブランドやモデルはいずれも日本で定番とも言える人気を誇る。

だが、日本自動車輸入組合によると、外国車のシェアを押し上げたのは伊フェラーリと独ポルシェの販売が好調だったからだ。フェラーリもポルシェも高級車、いわばスーパーカーで超高額だけに、販売台数で上位にランクインすることはないが、それでもかつてないほど売れているという。

フェラーリの世界販売1割が日本!

例えば、フェラーリが5月4日に発表したところによると、22年第1四半期(1~3月)に全世界で売れた新車の総台数は3251台。前年同期比で17%増だった。日本では330台が売れており、前年同期比23.1%増と2年ぶりに前年実績を上回った。世界中で販売された台数の10%強が、日本で売れた計算だ。市場別では欧州や中東、アフリカが1743台(前年同期比19%増)、南北アメリカが658台(同13%減)、中国(香港と台湾を含む)が285台(同47%増)、中国を除くアジア太平洋地域が565台(同56%増)となっている。

日本国内を走るフェラーリ(Rosh164/PhotoAC)

日本1カ国だけの販売台数であることを考えると、世界各国の中でも日本はフェラーリにとって“お得意様”と言える。GDPで日本を上回り、世界第2位の経済大国に躍り出た中国にしても、日本より売れていない。この30年、経済成長を続ける先進国の中にあって、日本だけが唯一成長していないとはよく言われるが、それでもフェラーリを買える富裕層がこんなにも存在するのだ。

「日本もまだまだ捨てたもんじゃない」といきり立つ向きもあるかもしれないが、それには気が早い。わが国における22年上半期の自動車販売台数は208万6178台。前年同期が246万4586台だったから15.4%減となる。つまり、自動車は決して売れているわけではないのだ。自動車の販売不振はライフスタイルの多様化など、さまざまな理由が挙げられるが、経済的な事情も大きいだろう。

金銭的な余裕がなくクルマを買うのを躊躇う庶民を尻目に、富裕層が高級外車を買い漁る――。富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなるということなのか。格差社会ここに極まれり、と言えるのかもしれない。