レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、ミルトン・キーンズのファクトリーに新設したパワートレイン部門の建物に、オーストリア国籍で活動した伝説的F1ドライバー、ヨッヘン・リントの名前を付けたことを明らかにした。次世代パワーユニット(PU)の設計・製造に向けて、準備は順調に進んでいるという。
ホンダのF1活動終了に伴い、レッドブルは自社でパワーユニットを開発・製造するための部門レッドブル・パワートレインズを設立した。ここでは2026年以降の次世代パワーユニットを手がけることになり、ポルシェと提携することが予想されている。
ミルトン・キーンズの建物にはすべて番号が振られているが、パワートレイン部門は『リント・ビルディング』と呼ばれているという。ヨッヘン・リントは、F1で1964年から1970年まで活動、1970年イタリアGP中の事故で死亡し、その年のチャンピオンを獲得した。レッドブルで現在モータースポーツコンサルタントを務めるヘルムート・マルコは、リントと親交が深かった。
「今、我々はあそこを『リント・ビルディング』と呼んでいる。(建物に)ナンバーを振る段階は過ぎたからだ」とホーナーは説明し、レッドブル・パワートレインズの現在の状況についても語った。
「現在のエンジンマニュファクチャラーと競えるようになるため、この設備に投資してきた。12カ月前にゼロから始めたのだから、大きなハードルだ。55週でファクトリーを建設したのだ。レギュレーションの完全な明確化はまだなされていない。それこそが将来の状況を決める重要な一歩になる」
「レッドブル・パワートレインズへの投資は、レッドブルのこのスポーツに対する信じられないほどのコミットメントを示している」
レッドブルは、レッドブル・パワートレインズのために多くの優れた人材を集めてきた。ライバルであるメルセデスから上級職のスタッフを何人も獲得、メルセデスF1のエンジン部門でヘッド・オブ・エンジニアリングを務めたベン・ホジキンソンをテクニカルディレクターに起用し、最近では、メルセデスのエンジン部門でチーフエンジニアを務めたフィル・プリューの獲得に成功したことも明かしている。
「(レッドブル・)パワートレインズはどんどん力を増してきている。形が出来上がってきたと思う。ミルトン・キーンズは工業団地にいくつか建物があった状態から、テクノロジー・キャンパスへと発展した」とホーナーは言う。
「グループは多額の投資を行っている。レッドブル・パワートレインズのために非常に優秀な人々を採用した。彼らは今、懸命に作業に当たっている。最初のエンジンをまもなく動かす予定だ。これまで学習を重ねるとともに、素晴らしい才能を持つ人材を何人か採用した」