シャルル・ルクレールは、フェラーリの2022年シーズン前半は、勝利を祝った時も低迷を乗り切った時も喜びとフラストレーションがあふれ、感情的にジェットコースターに乗っているようだったと述べている。
ルクレールとフェラーリは開幕戦から優勝を飾り、その後オーストラリアで2勝目を挙げた。最大のライバルであるマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が序盤に信頼性の問題を抱えていたこともあり、ルクレールは46ポイントの大差をつけることができ、十分な余裕があった。
しかしフェルスタッペンが連勝を飾る一方で、フェラーリとルクレールは失策し信頼性の問題も抱えたことから、フェルスタッペンはタイトル争いに戻ってきた。それ以来、フェラーリ陣営ではさらなるミスと戦略的失敗が続き、フェルスタッペンはドライバーズランキングで80ポイントの差をつけて首位にいる。フェルスタッペンは126ポイントを追い上げたことになり、マラネロでは多くの不満が溜まっている。
「結果が良かろうが悪かろうが、感情をこめていないレースなんてない」とルクレールは、『BBC Sport』のアンドリュー・ベンソンとの詳細にわたるインタビューで、これまでのシーズンを振り返って語った。
「勝とうがリードしていようが、その後何かしら問題が起きる。シーズン前半はかなり多くのことが起きた」
しかし失望とフラストレーションの渦中で、ルクレールはまず何よりも競争力のあるマシンに目を向けている。フェラーリで不振の2年を過ごしたルクレールだったが、今年は戦えるマシンを手にしたのだ。
「まず、ようやく僕たちが優勝を賭けて戦えるようになったのは素晴らしいことだ」
「一方で、僕たちはすべてのポテンシャルを最大限に発揮できていない。それはあまりいいことではない。追いつくためにまだシーズンの後半がある。最大限にプッシュできるようになることを期待している。でもこの数戦は少々難しいものだった」
ルクレールは、フランスGPではミスのせいでリタイアしたことを認めたが、フェルスタッペンとのポイント差の主な原因は、日曜日のレース戦略においてフェラーリが正しい判断をできていないことにある。ルクレールはその事実を明確に認識している。
「そのために取り組む必要があることは分かっていると言っておこう。僕たちが行うあらゆることについて改善できるように、完全にすべての力を尽くしたい。シーズン前半を振り返れば、いくつかの戦略と信頼性の問題、そしてドライビングミスがあったことは明らかだ」
「信頼性と戦略については、改善のために懸命になって作業をしているところだ。ミスをした後、僕たちはいつもまったく同じ作業をする。前へ進むために、ミスがどこで起きたのか、なぜレースのある時点で誤った判断をしたのかを分析する。ミスを理解できたらすぐ次へ進むことができる」
24歳のルクレールは、フェラーリがすぐにも問題を解決できると確信している。でもなぜそう思うのだろうか?
「僕たちの仕事のやり方から、そう考えている。今のポジションに戻るために、過去数年間がどれだけ厳しいものなったか分かっているからだ」
「僕たちはそのレベルに到達できたことを理解している。2年間にわたってマシンの弱点に取り組んできたんだ。今でも弱点はあるので、それに対処する必要がある。でもこの2年で他の弱点に取り組んだのと同じように作業をすれば、克服できると確信している」
余裕を持ってチャンピオンシップをリードしていたものの、現在は乗り越えられないような差をつけられているルクレールは、その変様に精神力で耐えているという。しかしルクレールは自らのミスによって落胆していることも認めた。イモラやポール・リカールでのミスは、対処するのが難しいという。
「僕は自分自身にすごく厳しいんだ。だからチームのミスより自分のしでかしたミスに対処する方がはるかに難しい。僕たちはひとつのチームで、ともに勝ったり負けたりするのだとしてもね」
「ミスを犯したらいつも自分に厳しくなる。フランスでのことは、かなりの痛みを伴うミスのひとつだったのは明らかだ。イモラも多少はそうだった。コースに戻れたので多くのポイントを失ったわけではなかったとしてもだ」
「でもこうした厳しい時期を迎えるたびに、さっき言ったように同じ作業をする。何が間違っていたかを分析するんだ。それは主に精神的な面でね。レースのある瞬間で、限界を超えてミスをしてしまった時はどういう考え方をしていたのか、ということだ」
「そのことについて話すのは簡単なことに思えるかもしれないけれど、ある瞬間に自分の頭のなかで何を考えていたのか正確に指摘するのは、いつも簡単にいくわけではない」
「でもこれは僕の強みで、ミスをするたびにドライバーとして成長する役に立っていると思う」