玄関先に立った正太郎が首を傾(かし)げながら海を見ている。 「何も見えませんよ」と路子は声をかけた。 「別に何か探しにきたわけじゃないよ」 「幸せでも見えると思いました?」 路子が笑うと、「君はそうやっていつも、僕をバカにするな」と、正太郎が睨(にら)む。 「ごめんなさい。バカになん…
玄関先に立った正太郎が首を傾(かし)げながら海を見ている。 「何も見えませんよ」と路子は声をかけた。 「別に何か探しにきたわけじゃないよ」 「幸せでも見えると思いました?」 路子が笑うと、「君はそうやっていつも、僕をバカにするな」と、正太郎が睨(にら)む。 「ごめんなさい。バカになん…