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<p>「恩人を失った」 拉致被害者家族からも追悼</p><p>「恩人を失った」 拉致被害者家族からも追悼 同志であり、恩人でもある安倍氏の突然の悲報に衝撃を隠せなかった。 「あまりにも恐ろしいことが起きた。この国はいったいどうなってしまうのか」。拉致被害者の横田めぐみさんの母、早紀江さんは、動揺した様子でこう語った。</p><p>街頭演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相は、ライフワークとして北朝鮮拉致問題に関わってきた。被害者家族は、同志であり、恩人でもある安倍氏の突然の悲報に衝撃…</p><p>2014年6月、横田めぐみさんの写真展で父滋さん(中央)、母早紀江さん(左)と写真に納まる安倍首相=衆院第1議員会館 街頭演説中に銃撃されて死亡した安倍晋三元首相は、ライフワークとして北朝鮮拉致問題に関わってきた。被害者家族は、同志であり、恩人でもある安倍氏の突然の悲報に衝撃を隠せなかった。 「あまりにも恐ろしいことが起きた。この国はいったいどうなってしまうのか」。拉致被害者の横田めぐみさん(57)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(86)は、動揺した様子でこう語った。 安倍氏は父の晋太郎元外相の秘書時代から拉致問題に取り組んできた。平成14年9月には官房副長官として小泉純一郎首相(当時)の訪朝に同行。帰国した拉致被害者5人を日本にとどめる判断を主導した。 首相在任時は拉致問題を「政権の最重要課題」と位置づけ、水面下で交渉を継続。26年5月には拉致被害者再調査の見返りに制裁を緩和するストックホルム合意を交わしたが、完全解決は果たせなかった。令和2年8月に辞意を表明した記者会見では「拉致問題をこの手で解決できなかったことは痛恨の極み」と話していた。 早紀江さんは、「拉致の解決に尽力し、日本のために働いた方だった」と生前の労をねぎらい、「本当に打ちのめされている」と心境を述べた。めぐみさんの弟で家族会代表の拓也さん(53)も、「私たちの親の世代が苦しんでいたときから手を差し伸べてくれた恩人」と、改めて謝意を示した上で、「言葉にできないほどつらく悲しい」と声を震わせた。 安倍氏は今年3月、家族会前代表で田口八重子さん(66)=同(22)=の兄、飯塚繁雄さん=享年83=のお別れの会に際して「私は決して諦めていない」とメッセージを寄せていた。 「拉致問題に長く思いを寄せ続ける、まれな政治家だ」と評価したのは、増元るみ子さん(68)=同(24)=の弟、照明さん(66)。「拉致という非道な暴力と闘ってきた方が、暴力によって命を奪われるとは」と肩を落とした。 有本恵子さん(62)=同(23)=の父の明弘さん(94)は昭和63年、妻の嘉代子さん=享年94=とともに晋太郎氏の事務所を訪問し、娘の救出を訴えた。安倍氏はこれを契機に、拉致問題と向き合うことになる。 明弘さんは、「身内が死んだような気持ちだ。もっと生きていてもらいたかった」と悔しさをにじませた。そして「跡を継ぐ人が出てこないといけない」と声を振り絞った。 特集・連載:</p>