<p>GINZA SIXで「198万円のドライブシミュレーター」がバカ売れの理由</p><p>【「198万円のドライブシミュレーター」バカ売れの理由】 「社会課題がどうかとかは実のところ、1ミリも考えていません。単純にかっこいいものが欲しくて作りました」 価格は198万円。ドライビングシミュレーター「DRiVe-X Code_F」はなぜ売れに売れているのでしょうか?</p><p>ドライビングシミュレーターを製造・販売するアイロック(名古屋市)が2022年1月に発表した「DRiVe-X Code_F」が好調だ。コンパクトでスタイリッシュなデザインが特徴で、GINZA SIXでの試乗・販売も好評だという。開発者でプロレーサーの古賀琢麻社長に人気の理由を聞いた。</p><p>やはり車好きです。40代、50代が多いけれど、20代もいます。意外なのが、法人も多いこと。法人のリースが組めるので、車のディーラーのほか、一般企業が福利厚生目的で導入するケースもあります。会社の休憩室にビリヤード台や卓球台を置く企業がありますが、同じような感じでドライビングシミュレーターを置いて、社員に楽しんでもらっているようです。 ──eスポーツへの展開はあり得ますか。 古賀 僕としてはeスポーツはあまり見ていません。そもそも高額な賞金が出るといった大きなeスポーツマーケットがあるのは米国ぐらいで、日本はマーケットが違う。 僕たちがやっていることは、最近の言葉でいえばメタバースに近い。メタバースでは、その空間で会話するといったアナログなコミュニケーションが大事です。CO2の排出規制で、自動車メーカーでもテストコースでの実車走行が制限されてしまう時代です。自動運転時代が来ると、車における運転の要素は小さくなっていくでしょう。そうしたときに、これまでの“車を操る楽しさ”はどうなっていくのだろうと思います。そのときバーチャル空間が選択肢の1つになる可能性はあります。純粋に自動車の運転を楽しみたい人がいるなら、バーチャルでも運転を楽しめるアナログ感を出したい。そこが我々の得意とするところです。 運転する古賀社長。動作音は静か ──シミュレーターなら、税金はかからないし、保険も要らないし、排ガスも出ません。これまで楽しみで運転していた人も、DRiVe-Xのようなドライビングシミュレーターに興味を持つかもしれませんね。 古賀 車の楽しみ方が変わってきています。銀座に出店して分かったことですが、例えば、「(年齢的にも)もう車を飛ばせないから、代わりにバーチャルで飛ばしている」という60代の人がいました。そうした人たちはもともと車の運転が好きで、その延長線上でドライビングシミュレーターでの運転を楽しんでいる。もう、これだけリアルなら実車でなくていいじゃないかと、ゲームを経ずにシミュレーターの世界にいきなり入ってくる人もいるんです。 ──車を操る楽しさがDRiVe-Xで、バーチャルで味わえると。 車に乗ること、運転することがストレス解消になる人もいます。目的地がなくても車を運転する、運転することが目的の人もいるでしょう。まさにドライブです。今の車の進化は、自動運転やモビリティーをシェアするといった方向に行っている。それなら、運転する楽しみはシミュレーターで、バーチャルでできれば面白いんじゃないかと考えているんです。 とはいえ、こういうことは作ってから見えてきたことで、社会課題がどうかとかは実のところ、1ミリも考えていません。単純にかっこいいものが欲しくて作りました。最初にT3Rを作った頃は、バーチャルの運転をリアルにしていくことが大事でした。今はもう、リアルなのは当たり前だと思っています。だからかっこよさを大事にして作ったんです。そこは我々にとって、ちょっとした進化ですね。</p>