便利で快適な夜行バス。少し時間はかかるけどぐっすり眠れる夜行バスの旅もたまにはいいものだ。しかし!! 困ったことに乗客間でさまざまなトラブルが起きることも。
後ろの席のひとがアルコールをたくさん飲んで臭い、寝ているのにスマホのディスプレイが煌々と照って眩しいなど、夜行バスについてまわる迷惑行為を紹介しよう。快適なバス旅のためにぜひご覧ください!!
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
(写真はすべてイメージです)
今回は運転士目線で!
乗客が感じるさまざまな行為はそれこそ十人十色なので、挙げればきりがない。そこで今回は運転士目線でのやめて欲しい行為や、昔はなかった今どきのあるある事件を現役の高速バス運転士に取材した。
話を聞いた運転士は夜行だけを乗務しているわけではないので、昼行便にかかわることも含まれるが、乗客としては気が付かない「高速バスあるある」としても参考にしていただきたい。
1.せめて案内放送中は…
運転士は発車後に案内放送をすることが多いが、この時はできれば黙って聞いてほしいとのことだ。自動放送による案内のほかに、高速バスの場合は当日の天候や道路状況によりタイムリーな情報を案内することがある。こればかりは定型のフォーマットはないので、運転しながら文章を組み立てて放送をしている。
特に運転席後ろの席(一般的には1番CD席あたり)でお仲間内でおしゃべりをされると、どうしてもその声が耳から入ってしまい集中できなくなるので、できればやめて欲しいとのことだ。もちろん運転しているだけの時はプロなので運転だけに集中でき、まったく問題はないのでまわりの迷惑にならない程度に楽しくおしゃべりしながら高速バスの旅を楽しんでほしいとのことだ。
2.飲み物は慎重に…
長時間乗車になりやすい高速バスでは飲み物は欠かせない。事前に購入することもあれば、降車休憩中に手に入れることもあるだろう。もちろん飲み物を飲んで構わないのだが、こぼすのは勘弁してほしいのが運転士の本音のようだ。
降車後の清掃作業で床ならば拭けば何とかなるものの、シートであればこぼした量によっては厄介なことになるので、飲む際にはちょっとした揺れでも突然だとこぼしてしまいがちなので、バスでの飲み物はあわてず騒がずゆっくり楽しんでほしいとのことだ。
3.お酒は残さないで!
お酒は事業者によっては現在のところ世情を反映して「ご遠慮」のお願いがなされている。これは車内でお酒が飲める場合の話だ。飲めるのであれば寝酒に、あるいは夜行バスの楽しみとして飲んで構わないのだが、これは前述の「こぼさないで!」に加えて「お酒は残さないで!」だ。
飲み残しは倒れるとこぼれることになるのだが、そうならなかった場合は最終的に運転士が中身を処分することになる。ビールやチューハイがまだ残っている缶を運転士が手に持って車庫をウロウロしている姿を想像していただきたい。
笑い事では済まされない地獄絵図になったことが実際にあるそうだ。空ならばゴミ袋に他のゴミやペットボトルとともに入れて降車すればよいが、運転士が中身の入ったアルコール飲料を持ってバスから降りてきたら大騒ぎになる。
実話なので、「お酒はできれば飲み切っていただくか、缶は持って降車していただきたい」とのことだ。
4.ニオイの強い食べ物
お次は食べ物。やはりニオイの強い食べ物は考えてほしいとのことだ。さすがに豚まんをバス車内に持ち込んで食べる人はないだろうが、いくら換気をしているとはいえ、高速バスの多くは固定窓で密室なので「お弁当やおつまみ、おやつはニオイのことを考慮して乗車いただければありがたいです」とのことだ。
5.私の座席はどこ?
最後はIT化が当たり前になった昨今の「あるある事件」だ。乗車券を窓口やコンビニで購入して紙の乗車券を持って乗車することよりも、スマホでネット決済してQRコードで乗車する人が多くなってきた。
事業者によって改札方法は異なるが、夜行バスの場合は運転士が降車して乗車券の確認やQRコードを読み取って改札をする。この時によく起こる事件だ。
QRコードで乗車した乗客から「自分の座席が分からない」という申し出が結構あるそうだ。最近は予約時に空席表から好きな座席を指定して購入可能な事業者が多いが、それを忘れてQRコードだけを提示して乗車して安心しきってしまっているようだ。
もちろん、QRコードを表示しているスマホの画面をスクロールするとちゃんと座席番号が書かれているのだが、とにかく乗車することだけに集中して座席番号が分からなくなってしまっている乗客がちらほら。
完全ペーパーレスを実施している事業者の場合は、運転士は読み取り端末を持って降車している。ところが改札済みを表示するタブレット端末は運転席にあるのでその場では分からない。
バス車内に入って初めて自分の座るべき座席が分からないことに気が付き、運転士に聞くためにまた降りてくると、トップドア車なので次の乗客が乗れない。
運転士は座席が分からない乗客のスマホをスクロールさせて座席番号を確認させるのだが、その時にはすでにQRコードを表示している予約画面は閉じられていることが多い。取材した運転士は「お客様が分かりにくい表示をしている事業者側に設計の問題がある」と嘆くが、いずれにせよ改札や発車が遅れる要因になる。
「乗車前にQRコードを表示して準備しておいていただくのは本当にありがたいのですが、できればその時に座席番号も確認しておいていただければありがたいです」とのことだ。
投稿 スマホにビールやめてくれ!! 夜行バスで勘弁してほしいこと5選 は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。