2022年7月16〜17日に富士スピードウェイで行われたスーパーフォーミュラ第6戦。今シーズンよりチーム無限よりフル参戦中の笹原右京選手が待望の初優勝を果たした。
喜びの中で早くも次戦を見据える笹原選手のインタビュー後編をお届けする。欧州でフォーミュラールノーに乗っており、FIAのポイントも貯めてステップアップかと思った矢先の資金難。
日本帰国後もなんとF4からやり直しという苦汁の日々を経験し、ついにトップカテゴリーで初優勝。苦労人の笹原選手、その努力が報われて本当によかった!!
インタビュー・文/段純恵、写真/HONDA
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■苦しい状況下で強気でいられる人間なんて一人もいない
――今季なかなかシートが決まりませんでした。
「苦しい状況下で『全然平気です!』と強気でいられる人間なんて一人もいないと思います。僕も先が見えなくて、弱気になりそうな瞬間は何度もありました。ただ99%あり得ないと思える時でも、残り1%を信じて行動していたら、まさかの大逆転が起きました」
――辛い時間をどう乗り越えたのですか。
「自分を見失わずにいられたのは、一番の支援者である両親、長年応援してくださるスポンサーさん、ファンの皆さんなど、熱い気持ちをストレートにぶつけてくれる人たちが周りにいてくれたからです」
――どんな言葉をかけられましたか。
「まず僕の話を聞いてくれました。それから絶対に大丈夫だ、間違いなく速さはあるし証明できるものもある、とにかくレースに出ないことには始まらないが、そこに行けさえすれば絶対に大丈夫だ、と背中を押し続けてくれました。
僕はレースにすべてを捧げようという思い一筋で、真っ直ぐに、嘘偽りなく、真摯にレースに向き合ってきました。そんな僕を受けとめてくれた人がたくさんいてくれた。それが本当に有り難いです」
――今回の勝利でその人たちにまずひとつ応えることができました。
「僕は『レースの神様』っていると思います。良い時もあれは悪い時もある。ひとつひとつの出来事にどう向き合うか、レース前にしっかり準備をして自分がすべきことをやりきったと思えるか。本当にレースって人生の縮図みたいです。
最後まで絶対に諦めないこと、自分たちの手でチャンスを絶対につかむんだと信じること。精神論になっちゃうかもしれないですけど、そこが大事だと思います。
自分の弱さを知った時、誰しも最初はヤダって感じますよね。認めたくないんです。でもそれを受け入れてどうすべきかに取り組むことが、次のステップへの準備だと思うんです。
辛いときこそ謙虚に、前を向いて、あとは絶対笑顔を忘れずに、自分を信じるしかない。最後は自分でどうにかするしかない。結局、自分次第だと思います」
■もっと周りに『下駄を預ける』視点も必要ですね
――いま笹原選手が自分で感じる弱さは?
「いま言った自分次第という気持ちが強すぎるせいか、自分で自分を追い込み過ぎて歯車がズレるところがあるので、もっと周りに『下駄を預ける』視点を持ちたいですね。
なんと言ってもレースはチームスポーツで、速い、強いと言われている人はそれが出来ている。現王者でチームの先輩の野尻智紀選手も、最初は悩んだり葛藤もあったんでしょうけど、今の強さを見ていると、そういう部分がうまく出来るようになったのかなと横で見ていて感じます。
F1でもハミルトンやアロンソがそうですよね。特にアロンソはWECでの経験が良かったと本人も言ってますが、チャンピオンだった時より今のほうが『下駄を預ける』がうまく出来てるんじゃないかな」
――今季の残り4レースについては。
「初優勝したここからが大事になると思います。4戦といってももてぎと鈴鹿の2レースずつで、本当にちょっとしたミスも許されない。
今回優勝できた要因はいろいろですが、地に足を着けて次戦までにトライすべきポイントはまだまだあります。すぐ隣にいるチャンピオンのような安定感だったり勝ちを重ねるために走りや戦略の精度を上げたいです」
――タイトル争いについては?
「計算上チャンピオンの可能性はゼロではないのですが、正直、ポイントランキングはあまり気にしてません。前半戦がランキング云々どころではない闘いになってしまいましたから(笑)。でもそこを良い武器にして、僕はとにかく勝ちを狙う。その姿勢一本で行きます」
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投稿 苦労人にこそ栄光あれ!! 残り1%に賭けた今シーズン!! 笹原右京SF初優勝インタビュー(後編) は 自動車情報誌「ベストカー」 に最初に表示されました。