遊説先の奈良市で銃撃された安倍晋三元首相が8日夕、搬送先の病院で死亡が確認された。
8日昼前、安倍氏が凶弾に倒れたとの流れた際には、かつて安倍氏に厳しい態度で臨んでいた政治家や有識者からの、安倍氏の無事を祈るコメントがツイートされていた。
山口二郎氏「生きて、再び論戦に」投稿も…
安倍氏が首相在任時の2015年に成立した、安全保障関連法に反対する集会で、安倍氏に「安倍に言いたい。お前は人間じゃない! たたき斬ってやる!」と発言して注目された法政大学法学部教授の山口二郎氏は、安倍氏が銃撃されたことを受けて、次のようにツイートした。
安倍元首相には生きて、再び論戦に加わってほしい。暴力で口を封じることは、最悪の民主主義の破壊。
安倍元首相には生きて、再び論戦に加わってほしい。暴力で口を封じることは、最悪の民主主義の破壊。
— 山口二郎 (@260yamaguchi) July 8, 2022
しかし、このツイートには次のような非難が殺到した。
「叩っきってやる!」とか言ってたよね。
何をいけしゃあしゃあと「安倍は人間じゃない。たたき斬ってやる」と暴力を煽ったあなたも今回の事件の原因の一つだと私は思う。
貴方は国民が法に則り選んだ日本国の総理大臣を「叩き切ってやる」と、公然と言い放ったと私は記憶しています。先ずは、暴言を詫び安倍元総理大臣の無事を祈るが順番では? 暴言も暴力と変わりません。
共産党の池内氏、吉良氏にも非難殺到
2014年に行われた共産党の「赤旗まつり」で、ヒトラーのような髭を付けた安倍氏の顔写真を張り付けたドラムを楽しそうに叩いているように見える写真が公開された、共産党の元衆院議員、池内さおり氏は、次のようにツイートした。
ご無事を、心からお祈りします。暴力は絶対に許されません。こんなことが起こる国になってしまったのか。報道にふれ、信じられない思いです。暴力に、涙が流れます。衝撃です。
ご無事を、心からお祈りします。
暴力は絶対に許されません。こんなことが起こる国になってしまったのか。報道にふれ、信じられない思いです。暴力に、涙が流れます。衝撃です。 https://t.co/1idBVt69uK
— 池内さおり Saori Ikeuchi 東京12区 (@ikeuchi_saori) July 8, 2022
このツイートにも次のような非難の声が多数寄せられた。
は?あなたこうなる事を煽ってたよね?「公人だから何を言っても、やっても構わない」そうやって憎しみを煽ってきた結果がこれだ
あなたの行為も犯行へ駆り立てる扇動の一部である可能性があることを認識しなさい
嫌いな奴には何してもいいと、周りを煽って、こういうことしてたお前が言うな!
こういう恥ずべき行為の延長線上に今回の事件はある。
同じく、「赤旗まつり」で、「安倍ドラム」を楽しそうに叩いているように見える写真が公開されている共産党参院議員の吉良よし子氏も安倍氏の安否を気遣うツイートをしていた。
暴力による言論封殺は絶対に許されません。あってはならない。ご無事をお祈り申し上げます。
暴力による言論封殺は絶対に許されません。あってはならない。ご無事をお祈り申し上げます。
— 吉良よし子 (@kirayoshiko) July 8, 2022
だが、当然、このツイートにも非難多数。
このテロルの遠因はあなたじゃないですか?
安倍さんの顔にチョビ髭つけて太鼓に貼り付けてデモやってたやつが何をいけしゃあしゃあと吐かしてるのか、絶対に許さないからな
どの口が言うとんねん、お前らが煽った結果やろ?さぞ満足やろな
なお、吉良氏は、安倍氏の顔をかたどったマスクをブルドーザーで轢くというパフォーマンスを行ったことでも知られる2014年8月に行われた「怒りのブルドーザーデモ」なるデモにも参加しており、その様子を自身でツイッターにアップしている。
ブルドーザーデモ最後まで歩けてよかった!引き続きみんなで声を!
“@s_2ji: 【安倍政権打倒 怒りのブルドーザーデモ@渋谷】共産党の吉良参院議員。4キロを苦もせず歩いてた。歩きとおすほうが気分がよい…Teeとプラカードもいい! pic.twitter.com/uEh8nKqB1Q ”— 吉良よし子 (@kirayoshiko) August 2, 2014
警備手薄の遠因に北海道警への判決?
今回の安倍氏の襲撃事件に関して、警備体制の不備を指摘する向きも少なくない。歴代最長の在任期間の元首相の遊説にしては、あまりにも警備が手薄だというものだ。この点について、遠因は2019年7月に北海道で行われた安倍氏の演説でヤジを飛ばすなどして妨害した人物と、その人物が起こした裁判結果にあるのではという意見がある。自民党所属の神戸市議、岡田裕二氏はツイッターで次のように指摘していた。
「安倍元総理銃撃事件で顕著なのは、制服警官がおらず皆背広を着てること(左)。著名人の演説には必ず警官がいる(右・N党立花)
制服警官が大勢いれば犯人も躊躇したはず。しかし安倍氏演説妨害を排除した警察が「違法」とされた札幌地裁判決以来、安倍氏の護衛は隠れ蓑を着てせざるを得ない状況に」
安倍元総理銃撃事件で顕著なのは、制服警官がおらず皆背広を着てること(左)。著名人の演説には必ず警官がいる(右・N党立花)
制服警官が大勢いれば犯人も躊躇したはず。しかし安倍氏演説妨害を排除した警察が「違法」とされた札幌地裁判決以来、安倍氏の護衛は隠れ蓑を着てせざるを得ない状況に😔 pic.twitter.com/coGksZB4YV— 神戸市会議員 岡田ゆうじ🛡️ (@okada_tarumi) July 8, 2022
安倍氏の演説で、ヤジを飛ばして排除された男女2人は、警備を担当した北海道警察を相手に国家賠償請求訴訟を起こし、今年3月、札幌地裁は2人の訴えを認める判決を出している。この判決と今回の警備体制の薄さに関係があるのか、ないのかも含めて、選挙の際の政治家への警備体制は、あらためて見直さなければならないだろう。