レッドブル・レーシングのセルジオ・ペレスは、F1第11戦オーストリアGP金曜予選で4番手タイムを記録したものの、予選後、Q2での自己最速タイムがトラックリミット違反によって取り消され、Q3のタイムもすべて抹消、予選13番手とされた。
ペレスは1分05秒805でQ2で6番手となりQ3に進出、Q3では1分05秒404の4番手タイムを記録した。しかしQ3スタート前、ペレスがQ2でトラックリミット違反を犯した疑いがあると発表され、予選後に審議が行われることが決まった。審議の結果、ペレスのQ2でのベストタイムが抹消、残ったタイムは1分06秒458で、これはQ2では13番手にあたるものだった。そのため、実際にはQ3に進む権利がなかったとされて、Q3での全タイムも抹消された上で、予選正式順位は13番手へと降格となった。
スチュワードはこの裁定について、以下のように説明した。
「ペレスはQ2セッション終了直前に、最後のフライングラップでターン8でコースを離れた。このことはQ3開始直前まで確認されなかったため、このラップはQ3開始前に抹消されず、ペレスはQ3で走行を開始した。これは、各セッションで調査すべき状況が多数あったことの結果である。ビデオを見ると違反があるのは明らかであり、チームはそれを認めた」
「チームは、この地点でコースを離れたことは明白なアドバンテージにはならないと主張し、その点を支持するデータを持ち込んだ。しかしながらスチュワードは、これは『継続するアドバンテージを得る』といった状況ではなく、むしろ『正当な理由なくコースを離れた』状況であると考えた。これは同じ規則の別の部分に存在するもので、予選セッションに適用されるセクションである」
「今回は、ドライバーは予選の次のラウンドに進み、その後、トラックリミット違反があったことが確認されたという状況で、これは通常起こるものではなく、最近は発生していない。したがってスチュワードはこれを新しい状況として調査しなければならない」
「チームは、Q3を走り切るためにリスクを冒しリソースを消費したと主張した。スチュワードはこの点を受け入れる。しかし、セッション後のペナルティを評価すると、これは他の状況と違いはない」
「通常のペナルティは該当するラップタイムを抹消することであり、スチュワードはここでも同様のペナルティを命じる。しかしながら、その結果、ドライバー(ペレス)は本来ならQ3には進めなかったということになり、従って、他の全競技者に公平を期して、スチュワードはそのドライバー(ペレス)のQ3でのラップタイムすべてをも抹消することを命じる」
ペレスの降格で、9人のドライバーがポジションをひとつずつ上げた。予選後の降格により、本来Q2で10番手に入っていたはずのピエール・ガスリー(アルファタウリ)はQ3で走行できないまま予選10番手という結果が確定した。金曜予選順位は土曜スプリントのグリッドとして採用される。
ペレスは、ペナルティ確定後、次のようにコメントした。
「トリッキーな一日だった。FP1から直接予選へと入るスケジュールのなか、感触があまり良くなかった。理解すべきことがあると思うし、明日挽回できることを願っている。マシンは一日のなかで良かったり悪かったりで、予選ではリズムに乗ることができなかった」
「4番手を失うことになってがっかりしている。今シーズン、ここでのトラックリミットはとてもタイトだ。Q2で僕のラップタイムが取り消されたことをチームが知らされなかったことを残念に思う」
「明日のスプリントでポジションを上げられる可能性があるし、日曜には長いレースが控えている。前に出て、日曜に向けて良いグリッドをつかむため、懸命にハードにプッシュしていく必要がある」
チーム代表クリスチャン・ホーナーは、「チェコへのペナルティは非常に厳しいものだと思う。これはQ3前に処理されるべきことであり、そうすれば我々がその後のパフォーマンスを改善できたかもしれない」と語っている。