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 7月9日、宮城県のスポーツランドSUGOでENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第3戦『SUGOスーパー耐久3時間レース』の公式予選が行われたが、この日のスポーツランドSUGOは朝から雨模様。細かな雨が降ったり止んだりと非常に不安定なコンディションのなか、ST-X/ST-Z/ST-Q/ST-1が走るGr.1の総合ポールポジションは、GT4車両が走るST-Zクラスの500号車5ZIGEN AMG GT4が獲得することになった。

 コース長が短いスポーツランドSUGOでのスーパー耐久は例年、グループをふたつに分け、それぞれ3時間の決勝レースを行うスタイルがとられている。今季はGr.1がST-X/ST-Z/ST-Q(3号車、244号車)/ST-1、Gr.2がST-3/ST-4/ST-5/ST-Q(32号車、55号車、61号車)と分けられた。

 そんなスポーツランドSUGOでの第3戦だが、予選日となった7月9日は朝から細かい雨が降ったり止んだりという状況で、午前のフリー走行はGr.2こそウエットだったが、Gr.1になるとコンディションが回復し始めた。

 そして迎えた12時30分からの公式予選。いつものスーパー耐久同様、Gr.2=グループ2、Gr.1のうちST-ZとST-Qの3号車、244号車のグループ1、そしてST-XとST-1が走るグループXとそれぞれ20分間のAドライバー予選が行われ、その後10分間のインターバルでグループ2、グループ1、グループXのBドライバー予選が20分間ずつ行われていった。

 ただ、変わりやすい天候が悪戯を生む。グループ2のAドライバー予選時に少しずつ雨が強くなりはじめ、グループ1ではだんだんと路面が滑りやすくなっていく。13時05分からのグループXでは、完全にウエットとなってしまった。この結果、グループ1/グループXでのAドライバー総合予選順位は、ST-Qクラスの3号車ENDLESS AMG GT4の小河諒が1分28秒893でトップタイム。2番手に大塚隆一郎の500号車5ZIGEN AMG GT4が続き、3番手にST-Xの16号車ポルシェセンター岡崎 911 GT3Rの永井宏明がつける結果となり、ST-XとST-Zの“逆転現象”が起きてしまった。

 グループXの予選後、一時天候は好転し、グループ2のBドライバー予選はふたたびスリックで走れる状況が生まれた。グループ1のBドライバー予選もまだコンディションは良かったが、今度はグループXのBドライバー予選でまた雨が強くなってしまう。

 その結果、3号車ENDLESS AMG GT4の川端伸太朗が1分27秒085でトップタイム。2番手には310号車GRGarage水戸インター GR SUPRA GT4の坪井翔が続き、10番手の244号車Nissan Z Racing ConceptまでST-Q/ST-Z車両がGr.1のトップ10を占め、またも“逆転現象”が起きた。A+Bの合算でも3号車ENDLESS AMG GT4がトップ。2番手には500号車5ZIGEN AMG GT4がつける結果となった。ST-Xの最上位は総合9番手につけた16号車ポルシェセンター岡崎 911 GT3Rだ。ふだんはST-X→ST-1→ST-Q/Zという順位が多いが、ほぼST-Q/Z→ST-X→ST-1という予選順位となってしまった。

2022スーパー耐久第3戦SUGO グループ1の公式予選の様子
2022スーパー耐久第3戦SUGO グループ1の公式予選の様子
2022スーパー耐久第3戦SUGO グループXの予選時、急に雨脚が強くなりスリックからウエットへの交換を強いられるポルシェセンター岡崎 911 GT3R
2022スーパー耐久第3戦SUGO グループXの予選時、急に雨脚が強くなりスリックからウエットへの交換を強いられるポルシェセンター岡崎 911 GT3R

■逆転現象からさらにグリッドが変化

 7月10日14時から行われるグループ1の決勝は、天気予報では曇りとなっているが、ドライとなった場合当然ST-Xの方が速くなる。各チームからは安全面を考えST-Xを前のグリッドに置く案も示されたが、最終的にこの予選順位でグリッドが決まることになった。

 ところが、続いて行われたCドライバー予選で、A+Bの合算でトップだった3号車ENDLESS AMG GT4がピット入口のホワイトラインカットのペナルティを受けてしまい、予選結果から2グリッド降格となってしまった。これで、Gr.1の総合ポールポジションは、500号車5ZIGEN AMG GT4が獲得することになった。

 チームにこのことを聞くと、まだ3号車ENDLESS AMG GT4のペナルティが届いておらず、驚きと喜びをもって受け止められた。

「太田選手、そしてCドライバーの金石年弘選手が頑張ってくれたおかげですね」というのは、Aドライバーの大塚だ。毎戦コンスタントなスピードをみせており、開幕から3戦連続でのST-Zのポールポジションを奪っているのは大塚の功績と言っていいが、チームメイトを讃えた。

 そしてBドライバー予選で5番手につけた太田は、「今まで2戦の予選よりも今回はまとめられたと思います。スーパーフォーミュラ・ライツでもSUGOはポールポジションを獲れましたし、最近SUGOはすごく走っているんです。クルマは違いますが、そこで得るものが多かったですね」と総合ポールポジションを喜んだ。

 開幕2戦を終えて、500号車5ZIGEN AMG GT4は885号車シェイドレーシング GR SUPRA GT4と僅差のランキング首位争いを展開している。「これで3戦連続のST-Zのポールポジションですし、大きいですね」と太田はST-Zのチャンピオン争いにとっても重要なポールだと語った。ちなみに、TEAM 5ZIGENのレース総合ポールポジションは、チームによれば「フォーミュラ・ニッポンに参戦していた頃以来ではないでしょうか」とのことだ(2005年第9戦鈴鹿で松田次生がポールを獲っている)。

 一方、賞典外のST-Qクラスからの参戦ながら、ブレーキやサスペンションの開発を進めてきた3号車ENDLESS AMG GT4にとっては、合算での総合トップは嬉しいところながら、ポールポジションを逃す少々悔しい結果ともなった。

「今季ST-Qクラスに出場することを許可していただき、第2戦富士24時間ではブレーキパッド無交換、今回は結果使えませんでしたがSDGsを意識し、持続可能な素材を使ったパッドを試してみたりと、ST-Qでしかできないことをさせていただいているので、やり甲斐はあります」というのは小河諒。

 しかし、3号車ENDLESS AMG GT4は開発を続けるST-Q車両であり、本来の目的を見失わずレースを戦いたいと小河は語った。

「クルマの足元を支える我々としては、ブレーキやサスペンションでモータースポーツ界を支えていくというコンセプトでやっています。今回もエンドレスのバネを使い良いタイムを出せました。ST-Z車両を使い、ST-Zよりも好タイムが出せていますし、決勝も3時間レースをフルプッシュで走り壊れないことを証明してSUGOを終えたいですね」

ENDLESS AMG GT4の小河諒と川端伸太朗
ENDLESS AMG GT4の小河諒と川端伸太朗
2022スーパー耐久第3戦SUGO 5号車5ZIGEN AMG GT4
2022スーパー耐久第3戦SUGO 5号車5ZIGEN AMG GT4
Gr.1の総合ポールポジションからスーパー耐久第3戦SUGOを戦うTEAM 5ZIGEN
Gr.1の総合ポールポジションからスーパー耐久第3戦SUGOを戦うTEAM 5ZIGEN