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★東レ

 東レの2022年4~6月期決算は、全セグメントで増収となったが、原燃料費の高騰や中国のロックダウンの影響を受け、事業利益は減益だった。ただ、バッテリーセパレーターフィルムを手がけるハンガリー子会社の株式譲渡に伴い、非経常項目として238億円を計上し、営業利益以下は大幅増益となった。売上収益は前年同期比17・9%増の6059億円、事業利益は24・9%減の271億円、営業利益は41・8%増の509億円、純利益は34・3%増の399億円。

 セグメント別の事業利益をみると、機能化成品は樹脂事業が自動車生産台数の減少や中国ロックダウンの影響により低調だったことなどから39・5%減の169億円。繊維は原燃料高騰や産業用途で自動車減産の影響を受け26・2%減の87億円。炭素繊維複合材料は風力発電など一般産業用途が拡大し24億円の黒字に浮上した。環境・エンジニアリングは水処理事業の逆浸透膜などが堅調に推移し2・3%増の35億円。

 通期の予想は、価格転嫁に加え円安も後押しするとして、売上収益を1250億円上方修正し2兆6250億円としたが、各利益は据え置いた。

★日清紡HD

 日清紡ホールディングス(HD)の2022年1~6月期業績は、売上高が前年同期比2・7%減の2568億6500万円、営業利益は同33・2%減の129億6200万円、経常利益は同21・6%減の176億8200万円、純利益は同22・8%減の131億9600万円となった。同社は期首より会計基準等の変更を適用しているが、変更影響を除いた前期値比較では増収減益となった。アナログ半導体を主とするマイクロデバイス事業は好調なものの、物流混乱を背景とした顧客の生産調整や原材料および部材価格高騰が影響した。

 事業別にみると、無線・通信事業は減益。マリンシステムは増益となったが、ソリューション・特機、ICT・メカトロニクス、モビリティが減益となった。マイクロデバイス事業は民生用が減速したが、車載向けやFA機器用の伸長によりセグメント利益は倍増した。ブレーキ事業は、タイでは回復がみられるものの、日本、北米ではエネルギー価格の高騰が影響し、事業全体ではセグメント損失となった。

 化学品事業は、断熱製品、カーボン製品、燃料電池用カーボンセパレーターとも受注増となり増益。繊維事業は、ビジネス衣料の回復を受けたものの、原料価格高騰によりセグメント損失となった。

★クレハ

 クレハの2022年4~6月期決算は、とくにPVDF(ポリフッ化ビニリデン)など高付加価値品が伸張したことで大幅な増収増益となった。売上収益は前年同期比30・2%増の493億円、営業利益は91・4%増の81億円、純利益は65・3%増の55億円。

 セグメント別の営業利益は、機能製品が5倍以上増え56億円だった。リチウムイオン2次電池(LiB)用バインダー向けのPVDFが車載用途で好調に推移し、ポリフェニレンサルファイド(PPS)やポリグリコール酸(PA)なども伸びた。化学製品は、農業・園芸用殺菌剤などが売り上げを伸ばしたが、原燃料費の高騰が響き減益。樹脂製品も家庭用ラップの売り上げが減少するなどし減益だった。

 業績の動向を踏まえ、上半期の予想を上方修正した。円安や価格転嫁に加え、農薬出荷の前倒しなどもあり、売上収益を100億円増の1000億円、利益面では高付加価値製品の売り上げ増を見込み、営業利益を30億円増の130億円、純利益を20億円増の95億円とした。

★東邦アセチレン

 東邦アセチレンの22年4~6月期連結決算は、主力のガス関連事業が堅調に推移し増収増益を達成した。売上高は前年同期比8%増の76億6600万円、営業利益は83%増の3億4400万円、経常利益は75%増の3億9100万円、純利益は78%増の2億200万円だった。ただ原料価格動向を慎重にみており、通期予想は据え置いた。

 主力のガス関連事業は、酸素は電炉・鉄鋼向け、溶解アセチレンは圧接向けでそれぞれ需要が減少した。一方、窒素が保安検査向け、アルゴンが発電所工事向け、食品用ガスが外食産業向けでそれぞれ需要が増えた。販売価格改定に加え、前年同期に実施した多賀城工場の大規模定修がなかったこともあり増益だった。

 池田悦哉社長は「原材料やエネルギー価格が引き続き高い水準にあり、先行きは不透明。現状を丁寧に説明し客先の理解を得ながら価格交渉を進めるとともに、食品用や医療用ガスなどの高機能分野に注力していく」とコメントした。

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The post 化学関連企業の決算分析 first appeared on 化学工業日報.