米下院議長ペロシ氏の台湾訪問後、米中間の緊張関係が高まっている。日本を含む各国の有識者がさまざまな考察を行うなか、タフツ大学政治学准教授のマイケル・ベックリー氏とジョンズホプキンス大学高等国際研究大学院教授のハル・ブランズ氏は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに「The Coming War Over Taiwan(=来たるべき台湾戦争)」との表題で論考を寄せている。
両氏の主張はかなり強硬だ。以下、両氏の記事の引用部分はグーグル翻訳による。
米国は、西太平洋で激変する戦争を防ぐ時間がなくなっています。ウラジーミル・プーチンのウクライナ侵略に世界が注目している一方で、習近平は台湾に対するさらに重大な猛攻撃に備えているようだ。
と書き出し、中国による台湾の武力統一の可能性を提示した。
新興国家が衰退期を迎えると、武力使用の危機が高まるという。
前世紀の最も悲惨な戦争は、台頭する楽観的な勢力によってではなく、1914年のドイツや1941年の日本のように、頂点に達し衰退し始めた国によって開始されました。現在、中国はこの弧をたどっています。爽快な上昇の後に厳しい下落が予想されます。
中国の経済成長は近年鈍化しており、経済的な見通しは楽観視できないという。
中国の未来はそれほど明るくないようです。Covid-19が政府に主要都市の無期限の封鎖を強いる前に、かつての猛烈な成長はすでに劇的に減速していた。水、農地、エネルギー資源が不足しています。
一人っ子政策の余波
今後、中国は急激な少子高齢化社会を迎えると言われている。一人っ子政策は2016年に廃止され、すべての夫婦が2人目の子を持てるようになった。さらに、21年に3人目の出産を認めた。だが、21年の出生数は建国以来最低となる1062万人だった。今後は、人口問題がアキレス腱になると両氏は指摘する。
一人っ子政策の遺産のおかげで、中国は人口統計上の大惨事に近づいています。今後10年間で7,000万人の労働年齢層が失われ、1億2,000万人の高齢者が増加します。
中国はすでに成長のピークは終えたのかもしれない。だが、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、米国の軍事費8010億ドルに対し、中国の軍事費は2930億ドルにとどまる。中国の人民解放軍は兵力こそ約200万人と世界最大を誇るが、総合的にはまだまだ米軍に太刀打ちできないと見られている。
台湾の親中派の政治評論家である黄智賢氏は、中国紙「環球時報」の取材に対し、こう語っている。
ペロシ氏は台湾の民主を支持すると言っているが、アメリカは「台湾カード」を使って中国と対抗するために台湾を利用しているだけです。
南沙諸島、香港、新疆ウイグルなど、アメリカはこれまでさまざまなカードを切ってきた。今度は台湾カードを切ってきたのです。
ペロシ氏は副大統領に次ぐナンバー3のポジションだが、バイデン大統領はペロシ氏の台湾訪問に反対していたと伝えられている。中国は8日、台湾周辺での軍事演習を継続すると発表。中国脅威論を過度に煽るのは賢明ではないものの、米中間の緊張はまだしばらく続きそうである。