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持続化給付金9.6億円を家族ぐるみで不正受給したとして詐欺容疑で指名手配されていた谷口光弘容疑者が、逃亡先のインドネシア・スマトラ島で現地警察に身柄を確保されたことが報じられた。同国内で不法滞在の疑いで逮捕された。

beyhanyazar /iStock

国外逃亡犯の身柄確保に、ツイッター上では安堵の声が広がった。

日本政府:谷口光弘容疑者にパスポート返納命令!
↓現地日本大使館:返納されないためパスポート無効化!
↓インドネシア政府:パスポート不所持、不法滞在で捜査開始!
↓インドネシア警察:指名手配の男を逮捕!
って流れらしい。インドネシア警察優秀すぎるw

谷口容疑者もう捕まったん?
え、インドネシアてそこその人口おるよね
え、すげ

海外逃亡という壮大な脱走劇のわりには、意外と早く捕まったという感じた人が多いようだ。過去の海外逃亡事件を振り返ってみると、逮捕まで長期化したものも珍しくない。

レバノンに逃亡中のゴーン被告(2013年撮影:Norsk Elbilforening /flickr CC BY 2.0)

最近の国外逃亡事件と言えば、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏が記憶に新しい。

金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)や会社法違反(特別背任)で逮捕され、保釈中だった日産自動車元会長のカルロス・ゴーン氏は、2019年12月31日にレバノンへと逃亡。日本の司法で裁くことは、ほぼ不可能な状況となっている。国際刑事警察機構(ICPO)はゴーン氏の身柄拘束を求める「国際逮捕手配書」をレバノン法務省に送ったが、レバノン政府はゴーン氏を日本に引き渡すことに同意していない。

2020年には、2003年に東京・奥多摩の山中で切断遺体が見つかった事件で国際指名手配されていた紙谷惣容疑者が、逮捕された。紙谷容疑者は事件後、南アフリカ共和国に逃げていたが、「金がないから日本に帰りたい」と現地の日本大使館に出頭してきた。

国際手配に強制力はない

少し古いところでは、1991年に発覚した戦後最大規模の経済不正経理事件「イトマン事件」を起こした許永中氏の存在も大きい。許永中氏は6億円の保釈金を支払い保釈を受けたあと、妻の実家の法要を理由に韓国に出国。宿泊先のホテルで倒れ、ソウル市内の病院に入院した後、逃亡した。逃亡から2年後の1999年に東京都内で身柄を拘束され、その後、実刑判決を受けた。現在は出所している。

また、芸能界では元グラビアアイドルの小向美奈子氏が、2011年に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕状が出された後、フィリピン・マニラに逃亡したと見られたが、2週間ほどで帰国し、逮捕された。

日本の場合、他国との間で容疑者の身柄引き渡しを容易にする「犯罪人引き渡し条約」を結んでいるのは、米国と韓国の2カ国のみ。多くの場合、ICPO(国際刑事警察機構)に国際手配を要請することになるが、ICPOの国際手配に強制力はないため、ゴーン氏のようなケースも生じる。

谷口容疑者は今後、日本に送還され逮捕されると見られる。9.6億円は戻ってくるだろうか。