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<p>『モンハン』原寸大で「狐刀カカルクモナキ」を再現したら、約150kgに!「堺市」コラボ展示でハンターの凄さを実感 | Game*Spark – 国内・海外ゲーム情報サイト</p><p>『モンハン』原寸大で「狐刀カカルクモナキ」を再現したら、約150kgに!「堺市」コラボ展示でハンターの凄さを実感</p><p>7月9日より大阪府堺市「さかい利晶の杜」にて、『モンスターハンター』シリーズ×「堺市」とのコラボレーション展示展が始まります(9月4日まで)。一足早く開催された、プレスイベントと内覧会のレポートをお届けします。</p><p>7月9日から9月4日まで大阪府堺市「さかい利晶の杜」にて、『モンスターハンター』シリーズ×「堺市」とのコラボレーション特別展が開催されます。 同イベントでは、 (※銃刀法上の刀剣類にあたるものではなく、金属素材を用いた造形物として制作)」をメイン展示物としつつ、『モンスターハンター』シリーズに登場するハンターの武器や防具、最新作『モンスターハンターライズ:サンブレイク』の設定原画資料などを展示。また、堺の街巡りを楽しんでいただける「モンスターハンター」のフォトラリーも実施されます。 本稿では7月8日に開催された、プレスイベントと内覧会のレポートをお届けします。 同日は、堺市長・永藤英機氏、『モンスターハンター』シリーズプロデューサー・辻元良三氏、「狐刀カカルクモナキ」の刀身制作を担当した水野淳氏、木彫を担当した前田暁彦氏、彩色を担当した山口雅和氏が登壇。 左から、彩色担当の山口雅和氏、刀身担当の水野淳氏、木彫担当の前田暁彦氏、堺市長の永藤英機氏、プロデューサーの辻元良三氏。 中世に自由都市・貿易都市として発展した堺市は、千利休によって大成した茶の湯の文化、刃物・線香・自転車などの伝統産業など豊かな歴史文化を持ち、日本を代表する仁徳天皇陵古墳を始め、由緒ある多くの寺社や古い街並みなど観光地としても知られています。そんな堺市が大阪府に拠点を置くカプコンにコラボレーションを呼びかけたことから、本企画が実現。 永藤英機市長も今回のコラボ展をきっかけに改めて『モンハン』をプレイしたとのこと。ゲームでは太刀を愛用しているそうで、「モンハンと堺市の新たなコラボレーションによる世界観を楽しんでほしい」と呼びかけました。 プロデューサー・辻元良三氏も、当初から面白そうな企画だと思って一緒に取り組んだことを明かし、太刀「狐刀カカルクモナキ」の再現度の高さを絶賛。「プレイヤーが振り回しているシーンが多いんですが、こんなに大きな武器を本当に振り回せるのか?」と、ゲーム内でも最も人気が高い太刀の実物大を目の当たりにした驚きを伝えました。 ◆3年がかりで完成した太刀「狐刀カカルクモナキ」 当初、「狐刀カカルクモナキ」の制作は刀匠である水野淳氏に依頼されましたが、日本刀の一般的な刃の長さが約70cm、柄まで含めると約95cmであるのに対し、資料上から算出した「狐刀カカルクモナキ」は刃だけでも約2m、柄まで含めると約2.2mという長さに。重量も約150kgと非常に重く、通常の日本刀にように打ち込んで製造することを断念。どのように造ったらいいのか、構想に1年ほど費やしたと明かしました。 「頂いた資料から算出したら、日本刀としてはあり得ないような数字になった。試しに木造で型を造ってみたところ、約150kgもの重さになりましたので、実際に打つとなると一人では無理です。そこで、鉄を工房である程度レーザーカットしてもらって、クレーンで吊るしながら研磨などを手作業でやりました」(水野淳氏) 水野淳氏が使ったのは極めて炭素含有量が少ない「極低炭素鋼」で、一般の刀剣製造過程とは全く異なる造り方をしたものの、普段から刀だけでなく庖丁(ほうちょう)も造っていて、そういった加工する技術が役立ったと語りました。 こうして刀身部分の目処はたったものの、柄や鞘など含めた装飾部分、さらには全体の彩色など自分だけでは期限内に終えるのは難しいと判断。同年代で交流のある前田暁彦氏に木彫りを、山口雅和氏に彩色を頼むことに。 前田暁彦氏は軽く引き受けたものの、新ためて資料に目を通したら「鱗とかどうやって表現したらいいんだろう?」と悩んだことを明かしました。そもそも、これだけ大きな太刀に使えるだけの欅の木材を探すのも大変だったそう。乾いていない木材を掘ると途中で割れてしまうので、「しっかり乾燥したものであること」という条件もハードルをより高くしました。 木彫はパーツをつなぎ合わせたのではなく、一つの木塊から掘り出した一刀彫りという高い技術を見せています。柄の部分は稼働式で伸縮できる点など、細部にわたって再現。ただし、あくまでも刀剣ではなく造形物として造っており、刀身の先幅と元幅が均等の厚みになっているため、鞘に収めることはできないそうです。 最後は山口雅和氏が彩色を担当。水野淳氏は「刀身と木彫りが出来上がってからでないと彩色ができないため、山口雅和さんに皺寄せが行ってしまった。しかし、彼が一番職人だった」と絶賛しました。山口雅和氏は彩色にあたって『モンハン』の映像を100時間くらい観て、シーンによっては色が変わっていることに難儀したそうです。 「角度によって光の当たる量で色が変わる塗料を使いました。その際、塗料は重さで抉れてくるので剥がれにくく非常に硬い塗料を選びました。一方で、水属性のドラゴンから造り出した太刀ということでしたので、硬い塗料でも滑りを表現したのが工夫した点です」(山口雅和氏) なお本来は漆を使ったほうが見栄えが良いものの、外気に強くて経年劣化しにくい化学的な近代塗料や薬品をあえて選んだ背景もあるとのこと。こうした伝統技術と近代技術の融合によって、ファンにも満足してもらえる「狐刀カカルクモナキ」が完成したわけです。この完成度にプロデューサー・辻元良三氏は、「すごいとしか言えない。うちのスタッフも喜ぶ」と手放しで褒め称えました。 ◆『モンスターハンター』×堺の刃物展示 コラボ展示は全4章のエリアに分かれており、『モンハン』の世界観だけでなく、泉州刀や堺銃、堺包丁など境の歴史を紹介するコーナーもあります。 第1章では、『モンハン』に登場する装備を原寸大で展示。雷狼竜ジンオウガや千羽竜セルレギオスなど、モンスターの姿と装備を見比べて、素材が使用されている部位を確認するなんて観察もできます。 第2章では、日本でも有数の刃物の生産地・堺の職人が1本ずつ手作りで仕上げる「打刃物」の技術で再現した「狐刀カカルクモナキ」を展示。 メインの展示物以外にも、最新作『モンスターハンターライズ:サンブレイク』の設定原画資料や、“『モンハン』肉”が実物大で展示されています。 第3章と第4章では、堺の泉州刀と大鎧、火縄銃、庖丁(ほうちょう)を展示。泉州刀は、加賀四郎派(14~15世紀)の刀剣を2振、文殊士郎派(16世紀)の刀剣2振と小柄1本を展示しています。 また、「さかい利晶の杜」グッズショップでは、コラボレーション限定グッズとして、クリアファイルやコースター、キーホルダー、湯呑などが販売されています。 そして、期間中は堺の街を巡ることで、コラボポストカードやノートを獲得できるフォトラリーも。路面電車(阪堺電気軌道)には、コラボラッピングした車両も走ってます。こちらも可愛くて、必見! ◆千利休が伝えた茶道を体験できる 最後に、コラボ展を見に「さかい利晶の杜」を訪れたなら、ぜひとも「立礼席・茶の湯体験」に立ち寄りましょう。 堺は刀剣・庖丁だけでなく、茶道を大成した千利休ゆかりの地であり、現代もその末裔である茶道三千家(表千家・裏千家・武者小路千家)が存在。その三千家の先生が日替わりでたててくれたお茶を、和菓子と一緒に味わうことができます。 お茶をたててもらうという“非日常感”や、千利休が伝えた心意気と技術を体験できる貴重な機会をお見逃しなく。こちらでも『モンハン』アイルーのシールが貼られた紙ふきんが出てきますよ。 ちなみに抹茶をいただく時は紅茶のように少しずつ飲むのではなく、お菓子を食べて口を甘くしてから一気に飲み干すのがポイント。そうしないと、抹茶がどんどん沈殿していくからです。 ◆特別展「モンスターハンター×堺の刃物」展示・「堺のいにしえの技」展示詳細 開催期間:@2022年7月9日(土)~9月4日(日)※7/19(火)、8/16(火)は休館日 会場:さかい利晶の杜 企画展示室 ※上記料金に、特別展「モンスターハンター×堺の刃物」展示・「堺のいにしえの技」展示、さかい利晶の杜常設展「千利休茶の湯館」・「与謝野晶子記念館」観覧料含む。 ※常設展示のみをご覧の方の観覧料は、以下となります。 大人:300円 高校生:200円 中学生以下:無料 ※ご来館時の注意</p>