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そこは麦畑で、初夏には黄金色の麦を刈り取る作業を祖父が一人でしていた。このたいして広くもない畑の隅に手作りの粗末な小屋があった。窓がなく、板の隙間から外の光が差し込んでいた。祖父はそこで昼ご飯を食べたり、昼寝をしたりしていた。真ん中に作った炉に真っ黒にすすけた薬缶(やかん)がかか…