8月後半もものすごい酷暑が予想されている。こんな時期に炎天下に置かれたクルマは車内温度が50度以上にもなるため、乗り出すときは地獄のような暑さと戦わねばならない。
こんなときできるだけ早く車内を冷やすにはどうすればいいのか、JAF(日本自動車連盟)の実験結果などをもとに対策を紹介しよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、Adobestock(トップ画像=ichikei@Adobestock)
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停車しているより走り出したほうが早く冷える
最近はリモコンエンジンスターターなども充実しており、乗車前からエンジンをかけてエアコンを作動させておけるクルマも増えている。とはいえ50度以上にもなった車内を密閉状態のまま冷やすには相当のエネルギーを消費するので、ガソリン代(EVの場合は電気代)が気になる人はほどほどの使用にとどめたほうがいいだろう。
そんな装備がない場合はどうするか。覚悟を決めてクルマのドアを開けたらエンジンをかけ、助手席の窓を開けた状態で運転席のドアを素早く開けたり閉めたりしてみよう。JAFが2016年に埼玉県で実施した調査によれば、5回開け閉めするだけで55度の車内温度が47.5度まで低下した。ヒンヤリするには程遠いがエアコンの吸気温度を下げられるため、冷却効率アップには有効といえそうだ。
車内に乗り込んだら窓はすべて全開にし、エアコンは外気導入のLo(最低温度)、風量最大に設定しよう。注意したいのは、ここの状態で停車しているよりも、さっさと走り出したほうが圧倒的に早く冷えるということだ。JAFの調査で車内が30度まで下がる所要時間を見てみると、走り出した場合がおよそ1分30秒なのに対し、停車したままの状態(エアコンON/外気導入/窓締め切り)ではおよそ9分かかっている。走り出して走行風を入れることがいかに重要か分かる結果だ。
内気循環がおすすめだがNGな場面も
車内が明らかに冷えてきたと思ったら、エアコンの温度を快適と思われる値に設定し、空気の流れを外気導入から内気循環へと切り替えよう。30度以上にもなる外気を取り入れて冷やすよりも、すでに冷えている車内の空気を使ったほうがエアコンの効率が高まるためだ。
ご承知とは思うが両者の違いを解説すると、外気導入は車外の空気を取り入れて冷却する仕組みで、内気循環は外気を取り入れずに車内の空気を循環させる仕組みだ。単純にこう書くと「ずっと内気循環にしとけばいいんだな」と思われるかもしれないが、内気循環で気を付けることが2つある。
ひとつは雨など湿度が高い場合だ。車内の空気は、雨による湿気はもちろん、乗員の呼気や衣類などから蒸発する水分によって外気以上に湿度が高くなる。その場合、エアコンの除湿機能が追い付かず、フロントウインドウなどが曇ってしまう場合があり得る。
もうひとつは、車内の空気の劣化だ。JAFも調査を行っているが、長時間内気循環でエアコンを稼働させておくと、人間の呼吸によって二酸化炭素が増え、車内の二酸化炭素濃度が外気の6倍にもなることが実証されている。二酸化炭素が増えると注意力が低下し、眠気の原因ともなるので窓を開けるなどして換気を行おう。JAFでは最低でも1時間に1回程度を推奨している。
ちなみに花粉が気になる人は内気循環を選びがちだが、最近のエアコンはフィルターの精度が高まり、ほとんどの花粉をシャットアウトできる。エアコン経由の花粉よりも、乗車時に衣類などについた花粉を払い落すほうが効果は高いようだ。
もうしばらくうんざりする暑さは続きそう。エアコンを賢く使って少しでも快適なカーライフを送ろう。
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